最近気になる用語 51
 
遺伝子組換え体(2)
                                


  遺伝子組換え食品の流通にあたって、消費者が危惧する安全性に対し、最も関心が持たれる「表示」のあり方について、 この程農林水産省の「食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会」で最終報告書(8月10日)が発表された。これによって 改正JAS法に基づく品質表示基準の原案作成に着手し、JAS調査法、パブリックコメント、WTO通報等の手続きを 経て平成12年4月に告示(更に実施猶予期間1年)が予定されている。
 よってその表示案の内容および実施の方法(骨子)を表1に、また参考まで各国の表示報告書の状況を表2に紹介する。
(資料:「大きな目小さな目」1999.9月,第47号農林水産消費技術センター)
 
表1 遺伝子組換え食品の表示の内容及び実施の方法(骨子)
食品の分類
品 目
      表示方法      
①組成、栄養素、用途等に関して従来の食品と同等でない遺伝子組換え農産物およびこれを原材料とする加工食品 <指定食品(予定)>
高オレイン酸大豆並びに同大豆油およびその製品
(現在、安全性評価申請中で確認後指定予定)
・「大豆(高オレイン酸・遺伝子組換え)等の義務表示
  ②従来のものと組成、栄養素、用途等は同等である遺伝子組換え農産物が存在する作目 (大豆、トウモロコシ、ジャガイモ(ナタネ、綿実))に係る農産物および これを原材料とする加工食品であって、加工工程後も組換えられたDNAまたは これによって生じたタンパク質が存在するもの <指定食品(予定)> 豆腐・豆腐加工品、凍豆腐、おから、ゆば、大豆(調理用)、枝豆、大豆もやし、納豆、豆乳、味噌、煮豆、大豆缶詰、きな粉 、煎り豆、コーンスナック菓子、コーンスターチ、トウモロコシ(生食用)、ポップコーン、冷凍・缶詰トウモロコシ
 これらを主な原材料とする食品
ジャガイモ(生食用)
大豆粉を主な原材料とする食品
植物タンパクを主な原材料とする食品、コーンフラワーを主な原材料とする食品、コーングリッツを主な現材料とする食品
・遺伝子組換え農産物を原材料とする場合
→「大豆(遺伝子組換え)」、「大豆(遺伝子組換えのものを分別)」等の義務表示
 
・遺伝子組換えが不分別の農産物を原材料とする場合
→「大豆(遺伝子組換え不分別)等の義務表示
 
・生産・流通段階を通じて分別された非遺伝子組換え農産物を原材料とする場合
→「大豆(遺伝子組換えでない)」。「大豆(遺伝子組換えでないものを分別)」等の 任意表示または表示不要
③従来のものと組成、栄養素、用途等が同等である遺伝子組換え農産物が存在する作目 (大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿実)に係る農産物を原材料とする加工食品であって、 組み換えられたDNAおよびこれによって生じたタンパク質が加工工程で除去・分解等されることにより、 食品中に存在していないもの 醤油、大豆油、コーンフレーク、水飴、異性化液糖、テキストリン、コーン油、ナタネ油、綿実油、 マッシュポテト、ジャガイモでん粉、ポテトフレーク、冷凍缶詰・レトルトのジャガイモ製品
 これらを主な原材料とする食品
・表示不要
・ただし、生産・流通段階を通じて分別された非遺伝子組換え農産物を原材料とする 加工食品にあっては、「なたね(遺伝子組換えでない)」、「なたね(遺伝子組換えでないものを分別)」 等の任意表示が可能

  (「冷凍」平成11年12月号に掲載)
「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表