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インダイレクトシステム 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい。



 
  一般に、冷凍システムでは、熱力学的特性に優れた作動媒体(冷媒と呼ぶ)を閉サイクル中に循環して相変化を生じ させ、この相変化を利用して目的の冷熱(または温熱)を得る。ここで、冷媒と目的被冷却物と直接熱交換させることを ダイレクトシステム、冷媒と目的被冷却物の間に中間冷媒(慣用的に「ブライン」と呼ぶ)を介在させることをインダイレクトシステムと呼ぶ。
 これまで、ダイレクトシステムは、直接被冷却物を冷却することから、熱損失が少なく中間熱交換器が不要であり、熱効率上有利なシステムと されてきた。
 しかし最近、環境問題から、有力冷媒であったCFC、HCFC系冷媒の使用禁止とHFC系冷媒の使用削減(COP3京都会議で掲名)が決定されるにいたり、 冷速システムは、冷媒の選択および使用量削減が重要な要素となってきていて、冷媒として環境負荷のないNH3を代表とする自然系冷媒を 使用したインダイレクトシステムが注目されている。
 すなわち、現在注目されているインダイレクトシステムとは、毒性、可燃性等の理由で取扱いに注意が必要な自然系冷媒を 使用し、これらを冷媒保有量の徹底した削減、完全自動化、工場生産化(コンパクト化)、メンテナンスフリー化)をコンセプトにして ユニット化し、そこから冷却ブラインを自由に取り出し、目的被冷却物の冷却の用に供するようにして、環境と製品安全を両立させたものである。
 これらの事情はHFC冷媒にとっても同様であり、従来、ダイレクトシステムの「冷媒洩れ」は現場工事の不備や経年使用によって避けられない ものとされてきたが、今後、社会責任上、冷媒洩れは厳に慎まなければならない事情にあり、HFC冷媒使用のシステムにおいてもインダイレクトシステムが 必要とされてきている。
 また、環境保全は、冷媒使用量とともにCO2発生量の削減も必要とされ、これらは基本的に熱効率向上と夜間蓄熱による ピークカットによるが、これらの特性改善の技術課題も克服されつつあり、例えば、ブライン流体も従来は塩化 カルシウムとグリコール類に限られていたものが、現在では、エタノール、シリコン等の顕熱ブライン、または氷スラリー、各種開発 されている低温潜熱ブライン等多様となり、用途に合わせて選択できるようになってきている。今後、自然系、HFC系ともにインダイレクト システムの普及発展が期待されている。

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