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マイニング(暗号資産)
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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暗号資産の取引の際に行われる「マイニング」という作業では膨大な電力を使用することから,環境に及ぼす影響が
懸念されている.暗号資産と言えばビットコインがよく話題に上るが,ビットコインなど暗号資産の取引では一定期間
の取引データをブロック単位にまとめ,複数のコンピュータ同士で検証し合いながら正しい記録をチェーン(鎖)のよ
うにつなぎ蓄積する,ブロックチェーンの技術が活用されている.これには膨大な量の演算が必要で,数多くの個人や
企業が高性能なコンピュータを用いて取引データの真正性を証明している.この作業がマイニングであり,その見返り
としてビットコインが支払われる.
ビットコイン事業の電力消費量は膨大で,多くの国々の消費電力量を上回っている.2021 年 5 月の時点で世界 27 位
の電力消費国相当だ.また,ビットコインの 1 取引あたりに必要な電力量を車の CO2 排出量に換算すると,2 500 km 走
行時の CO2 排出量に匹敵するとのことである.この結果,ビットコイン事業により排出される温室効果ガスだけで,今
後 30 年以内に地球の平均気温が 2℃上昇するとも言われている.これら試算には反論もあり,ビットコインネットワー
クで消費される電力の 73%が再生可能エネルギー由来であり,電力消費量は金や銀行の取引システムより低いともされ
ている.マイニング作業は,このように膨大な電力がかかるがゆえに現状は赤字ではあるが,将来のビットコイン価格
上昇を夢見て参入している事業者も多いようだ.
暗号資産業界でも,脱炭素社会に向けた対応は取られてきている.前述のように,再生可能エネルギー由来の発電が
活発な地域へのマイニング施設の移転,建設や環境に配慮したシステムへの移行などが挙げられる.多大な電力および
高性能コンピュータを必ずしも必要としないシステムへの移行も計画中のようだ.今年も日本,世界各地で豪雨や熱波
による被害が出ており,今回紹介したマイニングに限らず,気候変動問題への対応は急務である.
参考文献
1)国際通貨研究所:「暗号資産産業における脱炭素化の取り組み」.
2)https://news.yahoo.co.jp/articles/3b62701cf1250a22d5f3bc5f0d60ad516d531c5e
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