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水分活性 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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水は,分子が自由に動きまわることができ,微生物が利用できる自由水と,食品中の他の成分(たんぱく質や炭水化 物など)と水素結合で結びつき,分子の運動が束縛され,微生物に利用されることはない結合水からなっている.
1957 年 Scott は食品中の自由水の割合を示す指標として,水分活性(Water Activity)を提唱し,水分活性と微生物 の増殖限界の関係を示した.以下にその定義を示す.なお,水分活性はその定義上,25℃での相対湿度(ある温度の大 気中に含まれる水蒸気量/その温度の飽和水蒸気量× 100)を 100 で割った数字となる.
水分活性 Water Activity(Aw)= P/Po
Po:一定温度条件下で密閉容器中に純水を入れ蒸発させた場合の平衡蒸気圧
P :同条件下における被検食品の平衡蒸気圧
*一般的に 25℃で水分活性は測定される
水分活性は食品微生物の増殖限界(下限)を示すことから,日本において食品衛生法の容器包装詰加圧加熱殺菌食品, 清涼飲料水,魚肉練り製品,食肉製品の製造基準として活用されている.たとえば,容器包装詰加圧加熱殺菌食品(缶 詰・レトルト食品)においては「pH が 4.6 を超え,かつ,水分活性が 0.94 を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあっ ては,中心部の温度を 120℃で 4 分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること.」と定められて いる.これはボツリヌス菌の増殖下限である水分活性 0.94(pH の場合は 4.6)以下の場合は,ボツリヌス菌を殺菌対象 として考えなくて良いことを示す.
アメリカにおいては,食中毒菌でもっとも低水分活性で増殖する黄色ブドウ球菌の毒素産生限界である水分活性 0.85 が FDA 低酸性食品規制の下限であり,病原微生物対策不要な「中間水分食品(0.60 ~ 0.85)」と病原微生物対策不要で 常温での長期間保存可能な「低水分食品(0.60 未満)」に分類されている.なお「中間水分食品」は病原微生物対策不要 だが,カビ・酵母による変敗の可能性は残り,変敗を考慮した賞味期間設定が必要とされている.代表的な中間水分食 品の事例として,醤油(0.80),はちみつ(0.75),小麦粉(0.70)があげられる.
日本,アメリカなど国による規制値の違いはあるが,水分活性は病原微生物による食中毒防止の指標として用いられ, 食品衛生における重要な指標のひとつでもある.

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