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SDGs(Sustainable Development Goals) 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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SDGs(Sustainable Development Goals)は,「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通 の目標であり,2015 年の国連サミットにおいてすべての加盟国が合意した「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」 の中で掲げられた.同年,12 月に採択された地球温暖化対策としての「パリ協定」と両輪となって,世界を大きく変え る(SDGs のアジェンダでは,“Change”ではなく,“Transform”という単語が用いられ,より大きな変化を目指している) 道しるべとなっている.2015 年というと最近ではないが,2030 年を達成年限としているため,残り 10 年となり再度注 目されている.
SDGs は,17 の持続可能な開発目標(ゴール)と,ゴールそれぞれに 5 ~ 19,計 169 の達成基準(ターゲット)から 構成される.17 のゴールは,「貧困や飢餓,教育などの社会面」,「エネルギーや資源,働き方の改善,不平等の解消な どの経済面」,「地球環境や気候変動などの環境面」といった世界が直面する課題を網羅している.SDGsは,これら3側面 から捉えることのできる 17 のゴールを,総合的に解決しながら持続可能なよりよい未来を築くことを目標としている.
17 のゴールの一部を紹介する.我々「冷凍」の読者にも馴染みの深い気候変動が 13 番目のゴール(ゴール 13:気候 変動に具体的な対策を)に設定されている.ゴール 13 では,「気候関連災害や自然災害に対する強靭性及び適応力を強 化する」,「気候変動対策を国別の政策,戦略及び計画に盛り込む」,「気候変動の緩和,適応,影響軽減及び早期警告に 関する教育,啓発,人的能力及び制度機能を改善する」などのターゲットが設定されている.また,気候変動のキーワー ドは,ゴール 13 だけではなく,ゴール 1 の「貧困をなくそう」,ゴール 2 の「飢餓をゼロに」のターゲットにも用いら れており,一つのゴールへの取り組みは,他のゴールへの取り組みにも繋がるよう関連付いている.
国連サミットでの合意内容のため,世界各国の政府や自治体中心の取り組みと思われがちだが,民間企業でも SDGs に対して取り組む気運が国内外で高まっている.2019 年 5 月に経済産業省がまとめた「SDGs 経営ガイド」によると, 機関投資家は企業の価値を測る材料として,SDGs や ESG(Environment,Social,Governance)に関する感度を上げて いる.ESG を推進する国連責任投資原則(PRI)の署名機関は年々増加し,2019 年 3 月時点で,機関数は 2 300,運用規 模は 85 兆円を超えている.また,PRI には日本の年金積立金管理運用独立法人(GPIF)も署名している.企業として も,SDGs や ESG をコストではなく,挑むべき事業成長の機会として捉え経営方針に盛り込まないと,市場から充分な 資金を調達できない時代となっている.また,先に述べたようにゴールは他の複数のゴールとも関連付けられているこ とから,SDGs の事業を考える場合は,SDGs を網羅的に捉える必要がある.
近年では,気候変動が要因と考えられる世界的な大規模自然災害の増加,そして本年は新型コロナウィルス感染症の 地球規模での拡大など,地球および人類の持続可能性が疑われる事象が相次いでいる.持続可能でよりよい社会の実現 に向け,一人ひとりができることを改めて考えていきたい.
参考:
外務省HP:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組,
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf
経済産業省HP:SDGs経営ガイド,
 https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003-1.pdf
環境省HP:持続可能な開発目標(SDGs),
 http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-honpen_ver2.pdf

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