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PCR 検査
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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新型コロナウイルス感染症の世界的流行により毎日のように耳にする「PCR 検査」.「PCR」とは「Polymerase Chain
Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)」の略であり,ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法である.
新型コロナウイルスでは検査精度や効率性を考慮してreal time RT(reverse transcription)-PCR 法という手法が用い
られている.real time とは,検査途中でもウイルスの量(対象とする遺伝子のコピー数)の測定値を測ることができる
方法であり,通常のPCR(途中での結果を見ることができない)よりも10 倍から100 倍に検出感度が高い,つまり少な
いウイルス量でも測ることができる方法である.また,reverse transcription(RT)とは,新型コロナウイルスはRNA
ウイルスなので,測定を行うためにRNA からDNA を作り出す過程を表している.
検査の精度=「感度」と呼ぶが,100 %かというとそうではなく,検体を採取した場所(鼻腔や咽頭),感染からの時
間経過により感度が変わってくる.最近の論文では検体の採取場所としては咽頭よりも鼻腔の方が感度が高く,唾液検
体の方がより感度が高くなると報告されている.また発症日に検査した場合は90 %前後,発症10 日後では50 ~ 70 %
程度であることが報告されている.疑わしきはすぐに検査という理由はここにもある.
検体の採取場所については厚生労働省から「発症9 日以内であれば唾液からのPCR 検査も可能」と通知されている.
鼻咽頭を拭う方式に比べて検体採取に係る感染防御や人材の確保の負担が軽減されるとしている.「感度」も大事だが,
検査従事者の安全性や検査数の確保も改善していくことを期待する.
PCR 検査は誰でも受けられるわけではなく,PCR 検査センターや新型コロナ外来(帰国者・接触者外来)を受診し,
医師が必要有りと判断した場合に検査を行う.PCR 検査のような遺伝子検査法では「検査時間が長い(1 ~ 5 時間)」「専
用の機器,熟練した人材が必要」「高コスト」という短所がある.これに対して感度はやや低いが短時間(検体採取から
約30 分)で結果の判定が可能な抗原検査法のキットも供給が開始されている.
治療薬やワクチンの開発が待たれる中,各個人で検査を受ける必要が無いように気を付けて行動したい.
参考:一般社団法人日本疫学会ホームページ,厚生労働省ホームページ.
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