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テレワーク 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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「テレワークとは勤務形態の一種で,「情報通信技術(ICT,英:Information and Communication Technology)を活用 し,時間や場所の制約を受けない柔軟な働き方」と定義される.Tele(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語で, 職場から離れたところで働くことを意味する.テレワークは,まず「雇用型」と「自営型」に大別され,雇用型はさら に自宅で働く「在宅勤務」,移動中や出先で働く「モバイルワーク」,本拠地以外で働く「サテライトオフィス勤務」に 分類されることが一般的である.自営型は非雇用型とも呼ばれ,企業に雇われない個人事業主が自宅などで行う在宅 ワークを指す.
日本では1980 年代半ばよりテレワークを取り入れる企業が出始め,バブル期には地価高騰の影響もあり導入が加速す るが,バブル崩壊とともにその動きは勢いを失うこととなった.その後2006 年に,安倍首相が所信表明演説の中で「自 宅での仕事を可能にするテレワーク人口の倍増を目指すなど,世界最高水準の高速インターネット基盤を戦略的にフル 活用し,生産性を大幅に向上させる」と宣言.この頃から,再びテレワークに関心が集まりだした.最近では2017 年よ り,厚生労働省,総務省,経済産業省,国土交通省などが東京都,経済団体と連携して「テレワーク・デイ(ズ)」を設 定し,テレワークの一斉実施を呼びかけている(2017 年は7 月24 日の1 日間,2018 年は7 月23 ~ 27 日の5 日間,2019 年は7 月22 日~ 9 月6 日の約1 か月半の間).特に今年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中においては交 通混雑が予想されるため,テレワークや時差出勤といった公共交通機関の混雑緩和に向けた各企業・団体の積極的な取 り組みが求められている.
テレワークがこのように推進される背景としては,上記以外にも,労働力人口の減少や,労働生産性の向上といった 働き方改革の実現を目指す上で,テレワークなどの柔軟な働き方がしやすい環境整備が欠かせないことが挙げられる. また,地域活性化(地方での勤務を可能にする)や環境問題(交通渋滞や大気汚染の緩和)解決の手段としても期待さ れる.
テレワークを導入するためには,労務管理制度の見直しや社内ルールの制定,執務環境の整備などの準備が必要とな り,その導入効果が見えにくいことと合わせてテレワーク普及の妨げになっていると考える.しかしながら,年明けか らの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて,パンデミック対策として緊急措置的に在宅勤務や時差出勤を導入する企 業が増えている.今回のことを契機に,今後テレワークが浸透していけば,首都圏における通勤地獄も過去のものとなっ ていくかもしれない.
参考
「テレワークの動向と生産性に関する調査研究 報告書」,平成22 年3 月,総務省.
「テレワーク導入・実践ガイド」,第一法規.

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