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レトロフィット
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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レトロフィット【retrofit】とは旧型式の機械を改造して新しい型式にすることを意味する.また,旧型のものを改良
することによって存続させることとも言われている.機械を更新するのは多大なコストと時間がかかるため,レトロ
フィットにより機械を長年存続させる傾向もある.
近年,各種機械は省エネ化や部品の電子化が進んでおり,冷凍機分野ではそのほかに冷媒の変化がある.環境問題に
より冷媒は大きく変化している.そのため,昔の機械に使用されている冷媒がすでに入手不可能だったりする.冷凍機
を使用するユーザーには長年使用しているユーザーもおり,中には整備を繰り返し,40 年以上使用されている冷凍機も
ある.昔の冷凍機の場合,冷媒の入手に苦労するため冷媒を新しいものに取り替えることも行われる.冷媒を入れ替え
ると環境問題や冷媒の入手問題も一気に解決できる.冷媒を変えることにより新しくすることはレトロフィットの一つ
である.
レトロフィットには,新しい型式にすること以外にも改良することによって存続させることも含まれる.存続のため
改良するとは,主に部品の交換を指している.これがだんだん難しくなってきた.冷凍機の部品が故障した場合や交換
時期が来た古い部品は,新しい部品に交換しなければ存続できない.しかし,この部品が製造中止となり入手不可能
だったりすることがある.部品一つのために機械が稼働しなくなるのは困るので,何とか代替品を捜したり作ったりす
る.こうした代替品を作る中で,近年の電子化されてきた部品の場合,機械専用に開発された部品(主に基板など)が
あり,製造中止となると入手が絶望的な状況になる.その場合,現在の部品を使って新たに開発をするか,需要を見込
んで事前に在庫するかの選択を行う.ずっと昔に製造中止となっているある古い規格のパソコンが今でもわずかではあ
るが需要があるのは,各種工場の生産システムなどがその規格のパソコンを使用しており,それが故障すると生産シス
テムが停止してしまうからであると言われている.このように今では使用されなくなった古い部品でも,完全に無くな
ると支障を来す部品や製品は数多く存在する.
電子化が始まる前の冷凍機の場合は,構成部品が簡単なため代替品は比較的容易に見つかり入手しやすかったので,
苦労することなく部品の供給も当たり前に行われてきた.しかし,電子化が始まって以降の機械は複雑になり,一旦部
品が製造中止となると,本腰を入れて取り組まないと解決できなくなってきている.レトロフィットと言っても簡単に
はできなくなってきている.近年,電子化が始まった頃の機械の構成部品が製造中止となることが多くなってきている.
レトロフィットということが言われ始めるようになってきたのは,省エネ化に加えて冷媒の変化と電子化が寄与してい
る気がする.
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