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ピクトグラム 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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平昌オリンピック・パラリンピックの熱戦が終わり,いよいよ2020 年東京オリンピックを間近に感じている方も多い のではないだろうか.外国人観光客の増加も見込まれる中,駅や大規模な商業・公共施設など,街の至るところで「ピ クトグラム」が普及している.最近ではパッケージエアコンのリモコンに採用しているメーカもある.ピクトグラムと は「案内用図記号」であり,言葉によらない,目で見るだけで案内を可能とするものである.日本ではJIS Z 8210(案内 用図記号)で規格化されており,ISO との整合も図られている.
 じつはこの「ピクトグラム」は1964 年の東京オリンピックから始まってい る.文化や風習の異なる外国人へどう伝えるか,当時のピクトグラムは「陸 上競技」「漕艇」「体操」などの競技種目を表すものから,「トイレ」や「公衆 電話」など公共施設や設備を表すものまで様々作成された.特に,オリンピッ クの競技種目を表すピクトグラムが体系的に作られたのはこのときが世界初で, それらが高い評価を受けたことで,その後のオリン ピックでも開催各国がそれぞれにデザインを変化さ せて受け継いでいる(図1).
 2020 年の東京オリンピックに向けて,2017 年7 月20 日に7 種類の案内用図記号が変更され,15 種類の新しい案内用図記号および「ヘルプマーク」 が追加された(図2,3).無線LAN の記号など はすでに駅や店舗でよく見かけるのではないだろ うか.
 また,日本を代表する電化製品の一つである「温 水洗浄便座」も2018年1 月に国際規格(ISO7000: 機器・装置で用いる図記号-登録図記号)に追加 登録された(図4).国際市場で展開する際に必要 となるだけでなく,メーカごとにばらばらだった 記号が統一されたことで外国人観光客にも日本人 にとってもわかりやすくなった.
 優れたピクトグラムにはデザインがシンプルで,時代を超え て伝わる普遍性が求められる.日本人は,気持ちや情報がひと 目で伝わる簡素なデザインを作りだしたり,活用したりするこ とが得意なのかもしれない.こうしたピクトグラムは,まさに 日本人の「おもてなしの心」であろう.

 参考: 平昌オリンピック公式ホームページ,経済産業省ホーム ページ

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