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 エビングハウスの忘却曲線 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
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 本誌読者の年齢比率は50 代以上が多いと聞いており,5 年後,10 年後がやや心配だが,少子高齢化が進む日本では腑 に落ちる数字でもある.しかし,中高年にはなっても,所属する組織や業界を支える一員として,多くの会員の方々が 自己研鑽に取り組まれていることと思う.
 自分でも感じていることだが,一般に中高年となってくると,どうしても新しい知識の吸収(記銘),覚えた情報の保 持,思い出す力(再生)が以前と比べて機能低下する.そんな記憶と忘却の関係を理解するために,「エビングハウスの 忘却曲線」という有名な実験結果があるのをご存知だろうか.ドイツの心理学者,ヘルマン・エビングハウスは,意味 のない3 つのアルファベットの羅列を,被験者にたくさん覚えさせて,その記憶がどれくらいのスピードで忘れられて いくか実験を行った.その結果をグラフ化したものが「エビングハウスの忘却曲線」である(図1).この実験では,20 分後に42 %,1 時間後に56 %,1 日後に74 %,1 週間後に77 %,1 ケ月後に79 %が忘れられてしまうという結果が出 ている.すなわち,記憶は覚えた直後にどっと半分近く忘れられてしまい,残った記憶はゆっくりと忘れられるが長く 保持される傾向がある.そこで,効果的な記憶法としては,記憶が安定したところで適切なタイミングに繰り返し復習 することで,記憶の保持率を向上させることが考えられる.さらに,様々な経験を積んできた中高年の場合,情報を相 互に関連させて体系的な知識として整理することで,機能低下に適応しうると思われる.
 最近,中高年の物忘れ改善をうたう市販医薬品の発売が続いて おり,売れ行きは好調という.主成分には漢方薬の「オンジエキ ス」が使われており,東洋医学では「健忘」に効くとされている. 厚生労働省が一般医薬品向けの生薬製造法や効能のガイドライン を示したことで,各社の発売が続いているようだ.中高年になる と物忘れを深刻に受け止めがちだが,まずは睡眠不足や運動不 足,食生活の乱れなど,毎日の生活習慣を振り返り,脳や体への ストレスに気を付けて,健康的な生活を心掛けたい.しかし, それでも困ったときには,漢方薬を試してみるのもいいのではな いか.
 文献
1) フリーアカデミー(Free Academy),いつでも,誰でも,無料で学べる学習サイト
http://free-academy.jp/index.php?FrontPage
2) 各製薬会社ホームページ.

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