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 "キガリ"改正 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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 ヒートポンプ技術を活用した製品の販売・製造および関連技術を研究されている本誌読者は既に十分に知った内容で あるかとは思うが,2016 年10 月10 日から14 日にかけ,オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第28 回締約国会合(MOP28)がルワンダ・キガリにて開催された.特筆すべきは,オゾン層破壊物質ではない代替フロン冷 媒のハイドロフルオロカーボン(HFC)について,温室効果が高いなどの理由から,生産および消費量の段階的削減義 務等を負う規制対象とする旨の議定書の改正(キガリ改正)が採択されたことと言えよう.なお本改正議定書は,20 か 国以上の締結を条件に,2019 年1 月1 日以降に発効される予定である.
 削減スケジュールを下記に示す.日本を含めた先進国は,2011 年から2013 年の平均値(CO2 換算)を基準として2019 年から規制を開始(10 %減)し,2036 年までに段階的に85 %削減するという内容であり,また開発途上国については, 2 グループに分かれ,およそ先進国の10 年遅れの内容となっている.
 日本の目標値に関しては,経産省傘下のWG は1),「国内フロン排出抑制法に基づく取組みを着実に進めれば,2025 年までの削減目標の達成は可能であり,2025年以降の削減目標についても,研究開発を進めて行けば,十分に達成可 能」との見解を示している.言い換えると第3 ステップとなる「2029 年までに70 %削減」達成のためには,新技術の投 入が是非とも期待されるといえよう.一方,途上国に目を向けると,将来の削減スケジュールの基準値はこれから訪れ る2020 年から2026 年までの使用量で決定される形であり,国により対応が分かれる可能性がある.
 高い目標とは思うが地球環境保全のため,更に研究開発を促進し,日本が世界を牽引する立場となることを期待したい.
 さて,国際情勢に詳しい方,または地理に詳しい方や海外渡航歴が多い方以外にはあまりなじみがないと思われる, 本会議が開催された「ルワンダ共和国,首都キガリ」について,以下で簡単に紹介したい.
 地理: アフリカ大陸の中央にあり赤道から緯度で南に2 度ほど(約120 km)に位置する内陸国で,北部はウガンダ, 東部はタンザニア,南部はブルンジ,そして,西部はコンゴ民主共和国と国境を接しており,文字通りアフリ カの心臓部にあたる.また,その国土が草原となだらかな丘陵で構成されることから別名『千の丘の国』とし ても知られている.5 つの火山に囲まれ,23 の湖と複数の河川があり,河川の中にはナイル川の源流を形成し ているものもある.
 面積: 2.63 万平方km(参考,九州:3.68 万平方km,四国:1.83 万平方km)
 人口: 1 210 万人(2014 年,世銀),アフリカでもっとも人口密度が高い国であり,人口の98 %が50 歳以下.
 気候: 温帯.赤道から緯度で2 度の位置ではあるが海抜が高いため(もっとも海抜が低いのはルジジ川の950 m, もっとも海抜が高いのはカリシンビ山の4 507 m).
 産業: 農林漁業が,GDP の3 割以上,労働人口の約8 割(2011年,世銀)を占め,多くの農民が小規模農地を所有. 主要作物はコーヒー,お茶.現ポール・カガメ大統領によってIT 立国を目指した20 年計画が進められている.
 公用語:ルワンダ語,フランス語,英語.ルワンダ語がほぼ100 %の国民に理解されるサブサハラアフリカでは稀有 な単一言語的な国である. 言語に関し,同国はベルギーによる植民地支配以来続いているフランス語圏であったが,英語圏であるウガ ンダに逃れていたカガメ大統領をはじめとする現政権の多くが主に英語話者でありフランス語が話せなかった ことと,現政権と関係の深いアメリカとイギリスの後押しもあり,2008 年,公用語にそれまでルワンダとまっ たく関連の無かった英語が追加された.政府要人には英語を学ぶように要求しているなど,実質的にフランス 語圏から英語圏への転換を図っている.既に政府などの公的機関のウェブサイトは英語版のみであり,また学 校教育でも英語での授業が取り入れられているようである. 日本との相互関係:2017 年7 月国交開設55 周年
    在留邦人数:162 人(2016 年5 月現在),在日当該国人数:68 人(2015 年6 月現在)
 その他: 絶滅危惧種に指定されているマウンテンゴリラもルワンダを生息地としている.
 参考資料
 1)経済産業省 フロン類等対策ワーキンググループ(第9 回):「配布資料5:MOP28 の報告及び今後の検討方針」.
 2)外務省:ルワンダ共和国,基礎データ.
 3)EMBASSY OF THE REPUBLIC OF RUWAND, JAPAN.

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