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 土壌環境 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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 昨今,食品の安全性や人の健康のリスクに対する問題により,土壌環境の保全への関心が再び高まっている.そこで, 「土壌環境・土壌汚染」について今一度法体系などを整理してみたいと思う.土壌が有害物質に一度汚染されると長期間 にわたり汚染が続くこととなり,人の健康への影響や生活環境・生態系への影響などが考えられる.人の健康への影響 は,土壌に直接触れたり口に入れたりする直接摂取のリスクや,汚染土壌から溶出した有害物質で汚染された地下水を 飲んだり,溶出した汚染物質を吸収した農産物や魚介類を食するなど 間接的に摂取するリスクがある.
 土壌汚染対策の基本となる健康リスクの考え方は,概念的には「土 壌汚染による健康リスク」=「汚染土壌の有害性の程度」×「ばく露量」 と考えられている.これが意味するところは,有害物質を直接触れる 機会がない,あるいは溶出した有害物質を含んだ水を飲まない場合は ばく露がない(ばく露量がゼロ)と考えられ,健康リスクを問題視す る必要がないこととなる.
 有害物質には,ベンゼンやトリクロロエチレンなどの揮発性有機化 合物,カドミウムやシアン化合物などの重金属,PCB や有機りん化合 物などの農薬などがある.これら有害物質による土壌汚染が判明し, 人の健康に係る被害が生ずる恐れのある場合には,必要な措置を講じ ることが「土壌汚染対策法」に定められている.
 対策としては,直接摂取を防止するため,汚染土壌を掘削除去する 方法や舗装,盛土などで汚染土壌のばく露を防ぐ方法などがある.地 下水経由の有害物質の摂取防止のためには,汚染土壌の不溶化やコン クリートなどによる封じ込めによる方法もある(図参照).
 当然のことではあるが,土壌汚染対策を円滑に実行していくために は,住民,事業者,自治体といったすべての利害関係者が,リスクな どに関する情報を共有して,相互に環境リスクや対策への理解を得る ことが必要不可欠である.
 
 引用文献 環境省ホームページより,パンフレット『水・土壌環境行政のあらまし』
 16.土壌環境の保全 http://www.env.go.jp/water/water_pamph/pdf/16.pdf
 17.土壌汚染対策法の体系 http://www.env.go.jp/water/water_pamph/pdf/17.pdf

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