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 食品ロス削減国民運動 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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 消費者庁が関係5 府省庁と連携して,事業者と家庭,双方における食品ロスの削減を 目指し,国民運動「NOFOODLOSS プロジェクト」1,2)を展開していることを,ご存知だろうか. 「食品ロス」とは,まだ食べられるのに捨てられる食品のことで,日本国内の食品ロ スは年間約500 万~ 800 万トン と試算されており,世界全体の食料援助量の約2 倍,国内のコメの収穫量(2011 年 産水稲の主食向け約813 万トン)に 匹敵する.食品ロスのうち,約半分の年間約200 万~ 400 万トンが家庭から発生 し,残りは食品関連事業者,すなわち, 食品メーカー,小売店,飲食店などで発生している3)
 家庭における食品ロスの発生要因は,食べられる部分も廃棄する過剰除去,直接廃 棄,食べ残しが挙げられる.平成 26 年度の世帯食(家庭において朝食,昼食,夕食および間食のため調理,飲食した もの)の食品ロス率は3.7 %で,そ のうち過剰廃棄は2.0 %,賞味期限切れなどによる直接廃棄は0.7 %,食べ残しは1. 0 %である4)
 一方,食品関連事業者においては,業界における商慣習(製造日から賞味期限までの 期間を概ね3 等分して,納品期 限や販売期限を決めるルール)などに起因して,流通・調理・販売の過程で発生する 過剰在庫品や破損品,売れ残りな どが食品ロスとなっている.
 このような状況において,平成24 年4 月から食品廃棄物の発生抑制の重要性が高い 業種について,環境省および農林 水産省が食品リサイクル法に基づく「発生抑制の目標値」を設定し,食品ロスの削減 の推進を図っている.さらに,我々 消費者の食品に対する過度な鮮度や品質の要求が,流通段階の食品ロスを発生させる 要因の一つになっていると言われ ているので,消費者庁の「食べもののムダをなくそうプロジェクト」1)や,農林水 産省の「食品ロスの削減・食品廃棄 物の発生抑制」2)で取り組み内容を紹介し,事業者・消費者双方の意識改革などを 進めている.
 食料の自給率が低い日本は,多くの食料を海外から輸入している.「もったいない」 という気持ちを再認識したい.
 参考資料:
 1) 消費者庁,食べもののムダをなくそうプロジェクト http://www.caa.go.jp/adjustments/index_9.html#m02
 2) 農林水産省,食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制 http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/
 3) 消費者庁:「平成26 年版消費者白書」,第3 節 食品ロスの現状と削減への取組.
 4) 農林水産省:「農林水産統計」,食品ロス統計調査・世帯調査(平成26 年度).

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