最近気になる用語 257
  猛暑日,熱波  
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
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 2015 年,今年の夏は暑かった.本記事を書いている時点で,既に東京の「連続猛暑日」は観測史上最長となった.また, 世界的に見ても今年は暑く,5,6 月のインド,パキスタンでは厳しい「熱波」に見舞われ多くの方が亡くなられた.日 本では,気象情報の中で「熱波」という用語をほとんど耳にしないが,気象庁は「熱波(Heat wave)」を「広い範囲に 4 ~ 5 日またはそれ以上にわたって,相当に顕著な高温をもたらす現象」として説明し,「猛暑日」は気温そのものの高 さで「日最高気温が35 ℃以上の日」と定義している.猛暑日は継続期間や出現範囲を示さないので,すなわち東アジア の広い範囲で4 ~ 5 日にわたって猛暑日が続けば,これが熱波となる.しかしながら日本は,北は北海道から南の沖縄 まで南北に長く,およそ異なる気象条件を持つため,国内での熱波発生とはならないのであろう.
 さて,日本国内の歴代の1 日の最高気温と,1 日の最低気温の最高温度ランキング(極値)を下記に示す.最高気温 は高知県江川崎での41.0 ℃(2013 年8 月13 日)であるが,ランキングのほぼすべてが中部,東日本の内陸部となってお り,九州,沖縄地方は存在しない.これは,盛夏季に赤道付近で積乱雲の発生が活発となり,日本の南に位置していた 太平洋高気圧,チベット高気圧の張り出しが強まり上空の偏西風が北上し,およそ東日本以南が温かい空気に包まれや すくなること,加えて,太平洋高気圧の張り出しで下降流が発生し上空の空気が地上に下降,圧縮されることで気温が 上昇,内陸部ではさらに日射の影響による温度上昇が加わるためである.また,特に東海地方では上空の風が西寄りの 場合,風下で山脈を下降するフェーン現象(湿った空気が山を越える時に雨を降らせ,その後山を吹き降りて乾燥し気 温が高くなる現象.または,上空の高温位の空気塊が力学的に山地の風下側に降下することにより乾燥し気温が高くな る現象)で高温となることがある.一方沿岸部では,海風の影響で気温上昇は抑えられる.
 なお,亜熱帯海洋性気候に属する沖縄地方は,国内の他の地域に比べ年間を通じ温暖な気候のため冬でも暖かく,夏 冬の温度差が小さいが,上述のとおり真夏でも海から吹く風のため猛暑日となることは稀で,1920 年から2104 年にか け3 日しか記録されていない.地球温暖化現象,ヒートアイランド現象で都心部での猛暑日が多く予想される将来,沖 縄に避暑に出かける時代が来るのだろうか.

 
 参考資料
 国土交通省気象庁:各種データ資料,知識・解説(日本の気候).
 沖縄気象台:気象統計情報.

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