最近気になる用語 245
 2020年東京オリンピック  
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
また、お問い合わせに対しては答えられませんのでご了承下さい
                             


 実に56 年ぶりに2020 年7 月24 日,東京にてオリンピックが開幕する.前回の東京大会が開催された1964 年と現在 を比較すると,人口の増加に対し高齢化の傾向で,人口は約1.3 倍(9 718 万人⇒ 1 億2 729 万人)であるが,65 歳以上の 人口比率は約4 倍(6 %⇒ 25 %)となり,当時とは違った世代が中心になりつつある.さらに,GDP で約16 倍(29.5 兆 円⇒ 478.4 兆円),平均賃金で約8.6 倍(41 万円⇒ 352 万円)となり,世界第3 位の経済大国となって,先進国家として 世界から注目されている.
 このような背景の中,気がかりなのは開催時期である.ご存知のように前回は10 月10 日に開会式があり,先般まで 「体育の日」として秋の国民の休日であったが,2020 年東京大会は7 月24 日から8 月9 日まで開催される計画で,真夏 の祭典となる.ここで大会開催日の東京地区の気象データを比較してみると,1964 年と2013 年の10 月10 日の平均気 温は,9.1 ℃(1964 年15.9 ℃⇒ 2013 年25.0 ℃)も上昇している.さらに,実開催日に近い2013 年7 月24 日の平均気温は 29.5 ℃,同年8 月9 日の平均気温は31.0 ℃と,まさに夏真っ盛りに競技が開催される.したがって,課題の一つに暑さ 対策があげられる.
 たとえば,バレーボールや柔道など屋内競技は,冷房のきいた体育館で行われ,快適に競技や観戦ができるが,サッ カーやマラソンなど屋外競技ともなれば選手も観客も,かなりタフなイベントとなるであろう.もちろん,夜間や早朝 に行う手段もあるが,日本独特の蒸し暑さは残る.このまま,ヒートアイランド現象が続けば,7 年後の2020 年東京は どのような気温になっているか,想像しただけで汗がでてくる.思わず,筆者などは1970 年8 月の大阪万博見学時の暑 さを思い出してしまう.
 もちろん,開催関係者の方々は苦労しながら暑さ対策を考えられていると思うが,我々,冷凍空調技術に携わるもの にとっては,単なる既存の冷房機器や設備の提供だけでなく,新しい価値を生み出すチャンスと考え,前回大会とは違 う市場環境を分析し,ソリューション手段を提供すべきではないかと考える.1964 年の東京オリンピック以降は,新技 術や新商品が次々と生み出されてきたように,暑さ対策のような心配事を打ち消してくれる,日本発のわくわくする新 商品や新ビジネスモデルが2020 年に出てくることを期待する.
 参考文献
 ・総務省統計局「統計データ」  ・内閣府「統計データ」  ・国税庁「統計」  ・国土交通省気象庁「過去の気象データ」

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表