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スマート家電
                             


 スマートフォン,スマートカード,スマートグリッドなど,世の中,「スマート」という言葉を聞くことが多い.「ス マート(smart)」を英語の辞書で調べてみると,「すばやい」「頭のよい」「身なりのきちんとした」など,少々感性的な 意味あいが強い.そのような中,最近「スマート家電」という言葉をよく見かけるが,どのようなものか簡単に説明記 載する.
 従来白物家電は,スタンドアロン(単体で動作すること)が基本だったが,昨今の家庭内ネットワーク・インフラ基 盤の普及でAV 機器と同様に,機器同士が連携しあう,または機器の前に行かなくても操作ができるという,従来のリ モコンではできなかった新たな附加価値提案が登場しつつある.
 たとえば,外出先からエアコンの運転状況が確認できたり,冷蔵庫の扉の開閉回数などの情報が取得でき節電意識の 向上に役立ったり,洗濯機では洗剤・柔軟剤の種類によって最適投入量を知ることができたり,レシピに沿って電子レ ンジの調理モードや調理時間の設定が簡単にできモード選択の煩わしさを解消したり,体重や血圧など日々の測定デー タを簡単に集計やグラフ化することで健康管理に役立ったりする家電製品が登場している.これらの特徴は主にスマー トフォンを活用し,クラウドと連携することで可能となる.
 以前にもインターネットに接続することのできる家電製品が「ネット家電」と呼ばれた時代があったが,当時は非常 に複雑なシステムと操作手段を伴うため,あまり普及はしなかった.しかし,携帯電話の普及と進化でスマートフォン が登場するとこの課題は激減したと考える.今では,アプリケーションを変更することで,簡単に新たな可能性が生ま れる.
 これらを総合すると,現段階の「スマート家電」とは,主にスマートフォンと連携させた家電製品,もしくはスマート グリッドなどとの連携により,エネルギーの消費を自動的に最適化できる家電製品と定義されるのではないかと考える. ただし,このような遠隔操作による新しい附加価値提案が増えるにつれ,白物家電特有のネットワークセキュリティ や製品安全性へのリスク対応を,今以上に考える必要がある.
 
 文献 1)「パナソニックプレスリリース」

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