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バイナリー発電
                             


バイナリー発電とは,温水などの低温(70 ~ 130 ℃)の加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させて,その蒸気で タービンを回し発電する方式である.熱源系統と作動媒体の二つの熱サイクルを利用して発電することから『バイナリー (binary:二つから成るの意)』と呼ばれる.作動媒体としては代替フロンやアンモニアなどが使用される.
 バイナリー発電は地熱,バイオマス,焼却炉,工場廃熱など比較的低温で,これまで利用できなかった熱ででも発電 できるシステムである.この発電方式は日本において制度上や規制の関係で広くは普及しなかったが,技術的には確立 されている.用語的にも「今頃…」という感じがしなくもない.しかし,近々の『再生可能エネルギー買取制度(FIT)』 や『低温小型バイナリー発電設備への規制緩和』などの政策支援により,低温の加熱源でも可能な地熱利用やバイオマ ス利用の発電方式として注目され,普及のきざしが見えてきている.
 システムの一例として,温泉熱を利用した小型のバイナリー発電方式を図1 に示す.作動媒体として有機物(代替フ ロン・HFC 245fa)を用いたオーガニックランキンサイクルで,源泉を熱源として発電を行い,熱交換したあとの適温と なった温泉水を風呂や暖房などに利用する例である.
 
文献
1) 神戸製鋼所カタログ

図1 温泉利用による低温小型バイナリー発電のシステム例
【機器の機能】
① 蒸発器:温水の熱により作動媒体を気化させる.
② 発電機:蒸発した作動媒体によりスクリュータービンを回すことによって発電する.
③ 凝縮器:冷却水により作動媒体ガスを液化させる.
④ 作動媒体ポンプ:作動媒体を制御し蒸発器に送る.
⑤ インバータ/コンバータ:インバータで発電機に制動をかけ直流部に回生する.
コンバータで直流部を商用電源に回生する.
⑥ 発電端出力/送電端出力:送電端出力は発電機で発電された出力(発電端出力)から発電 ユニット内で消費される動力(冷媒ポンプなど)を差し引いた正味の発電出力を示す.

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