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電子書籍(Digital Book)
                             


 ○電子書籍とは?
 最近,スマートフォンやタブレットPC など情報携帯端末の普及で電子書籍が注目を集めている.電子書籍とは紙と インクを利用した印刷物ではなく,電子機器のディスプレイで読むことのできる電子データ化された書籍のことである. 通常,電子書籍のコンテンツはインターネットサイトから購入しダウンロードすることで読むことができる.
 電子データなので場所を取らず,一度に何冊から何千冊も持ち歩くことができるうえに自宅の本棚が本であふれかえ ることもない.電子書籍では写真だけでなく動画も楽しめるほか,音声読み上げ機能がついているので混雑した電車内 ではヘッドホンで聴いたり紙の書籍とは違った楽しみ方もできる.
 国内の電子書籍市場は音楽配信や映像配信に比べ遅れを取っていたが,米国のアマゾンが電子書籍専用端末(キンド ル)を発売し,新刊などを含む豊富なコンテンツを紙よりも安く提供し始めたことでブームとなり,それを受けて日本 国内においても新しいサービスや電子書籍専用端末が市場投入され活気が出てきたようだ.年内にもキンドルの日本版 が発表されるといわれており,日本でも本格的な市場ができるといわれている.
 ○どうやって購入するの?
 電子書籍を扱うインターネット上のサイトから,マンガ・書籍・雑誌・写真集など様々な種類の本を24 時間いつでも 買うことができる.サイトへの会員登録を行うことで購入した書籍データはクラウド上の専用本棚で管理され,複数の 端末で読書ができるサービスもある.購入後の書籍データは一元管理され,たくさんの本の中から読みたい本をすぐに 見つけられる機能も便利だ.
 また,多くの電子書籍は紙の本と同様,購入する前に内容の一部をサンプルとして「立ち読み」することもできる. 急いで情報を集めたいときなどは便利だし,中身を確認できるので安心して購入しやすい面もある.
 ○価格はどのくらい? 印刷された書籍より少し安い(7 ~ 8 割程度)価格設定がされているものが多いようだ.紙と比べると電子書籍を出 版することは容易と思えるが,取引条件や権利関係の複雑さから現状は必ずしもコストメリットがあるものでもないよ うだ.
 ○今後について
 今後,情報端末の高性能化や低価格化が進む ことで,さらに書籍の電子化が普及することと 思う.紙の本が持つ良さが失われてしまうとい う声もあるが,ネットや映像,音楽と書籍が組 み合わさることで書籍の利用価値は向上し,読 書の楽しみ方も拡がるものと思う.
 また,一方では書籍を裁断・スキャンして電 子化する「自炊」という行為がはやっており, 個人が自分で利用する場合は問題ないが,業務 として書籍を電子化しデータを譲渡する行為は 違法性があるともいわれている.
 電子書籍の普及には著作権保護の問題やコンテンツの充実,情報端末の進化などの条件が揃う必要がありそうだが, 大きな流れとしては電子書籍への移行が進むものと思う.

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