最近気になる用語 210

                             


  昔から疑問に思っていたことがある.それはなぜ2 月が28 日しかないのか.1 月から年が始まり,次の2 月がなぜか 28 日しかない.小学校でも中学校でも納得いく説明はなかったかと思う.
 この前,ある本を読んでいてようやくその疑問が解決した.その起源は太陽暦が作られたエジプトにある.暦はナイ ル川流域で農業をする上で重要であり,洪水などの出来事を記録し子孫に伝えていく必要もあった.特に重要なのが種 蒔きの時期であり,このため年の始めは春分の日を起点としていたらしい.これを引継いだ古代ローマでも暦は今の3 月から始まり12 月までの10 か月で終わっており,残りの2 か月には名前がなかったということである.この時期は農 閑期にあたり暦が必要なかったのかもしれない.
 たしかに,September の「Septem」は英語のSeven,October の「Oct」はOctpus を連想するように8 を意味 し,December の「Deci」は1 デシリットルでわかるように10 を意味するラテン語である.日本語に直訳すると, September は七の月,October は八の月,December は十の月とでもいうのであろうか.今の1 月,2 月は後から加え られたので,一番最後の2 月が28 日しかないことになったのだという.納得した次第である.
 話は変わるが,1 週間は月曜から始まるのか日曜から始まるのか.これも以前から気になっていた.
 我々の祖先は,使いやすい暦を作るのに苦心をしたのであろう.1 年は日の出日没の位置でわかる(太陽暦).また, 1 か月は月の満ち欠けで知ることができる(太陰暦).しかし,それでも生活の上ではもう少し細かく区切りたいと思っ たに違いない.
 そこで夜空を見上げると,北極星を中心に回転する星とは別の動きをする天体(惑星)に着目した.なぜ規則正しく 天空を回らないのか不思議であったのだろう.その天体は太陽,月,水星,金星,火星,木星,土星であり,1 週間が この7 つの天体に関係していることはご存知のことと思う.古代ローマではすでに1 日を24 分割(といっても時間の 移り変わりは日の出,正中,日没しかわからなかったので,かなりあいまいだったらしい.昼夜をそれぞれ12 等分し たのであろう)して,1 時間ごとに1 つの惑星が順に支配するものとした.その順番は,天球上の動きの遅いものから 土星,木星,火星,太陽,金星,水星,月と決められ,1 日の最初の時間の惑星がその日を代表する惑星とされていた. 24 時間を7 つの惑星で割るので,1 日を支配する惑星は毎日変わっていき7 日で一回りする.土,木,火,…と続ける と2 日目の最初は太陽(日),次の日からは順に月,火,水,木,金となる.したがって,昔の1 週間は土曜から始まっ ていたらしい.ここまできて1 週間の順番はわかったが,結局,週の始まりは月曜が最初か,日曜が最初かはいまだわ からない.安息日と関係するのであろうが,諸説あるようである.どなたかわかりやすくご教示願えれば幸いである.
 参考:「古代文明 天文と巨石の謎」,監修 吉村作治,光文社文庫.
 

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