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超伝導と超電導
                             


 物質を冷却することで電気抵抗がゼロとなる現象を,我々は超伝導あるいは超電導と呼んでいる.ワープロで漢字変 換するとどちらの単語も出てくるし,同じ意味で使用している.官庁では文部科学省が「超伝導」,経済産業省が「超 電導」を使用しているし,新聞でも各社ごとにどちらかに統一しているようである.巷では「超電導」の使用が優勢の ように思える.
 語源は英語の「Superconductivity」でありelectric という言葉は見つからない.このため「超伝導」が本来の訳語で あるといえそうである.とすると,そもそもSuperconductivity とはどういう現象なのであろうか.電気抵抗がゼロに なる以外に何かありそうである.
 調べたところ,正確な説明には量子力学の理解が必要とのことなので興味のある方は専門書を紐解いてもらうとして, 「超伝導」になるということは冷却することで物質の相変化が生じNormal からSuperconductivity に転移すること,と ある.相変化というと我々は,水(液相)が氷(固相)になったり水蒸気(気相)になる変化(これを1 次相転移とい う)を想像する.しかし,Superconductivity は2 次相転移といい,体積の不連続な変化や潜熱の発生がなく,その代 わりに比熱や磁性などがその前後で不連続に変化した結果であるということである.2 次というのは温度や圧力で2 階 微分すること(比熱は自由エネルギーを温度で2 階微分したものである)を指し,相転移によりその値が不連続に変化 する,と述べられている.したがって見た目にはわからないことになる.
 この現象が発見された当時,物質がSuperconductivity となると,電気抵抗(電気伝導)だけでなく熱伝導なども変 化することから,これを表したのが「超伝導」という言葉といえる.しかし,我々にとりSuperconductivity の興味は リニアモータなど電気的な面に偏っている.そのことから,「超電導」という言葉でSuperconductivity を表すことは必 ずしも間違いとはいえないと思える.もし,超伝導状態になっても電気的性質が変わらなかったら,その現象は一部の 科学者の研究対象となるのみであったことであろう.「超電導」という言葉は,Superconductivity の用途を実によく表 しているといえるのである.
 電気・交通などは経済活動や個人生活に必要不可欠な社会インフラである故そのエネルギー消費量も多大であり,限 られた資源の中で経済発展と環境保護を両立させるために大幅な省エネルギー化が課題である.今年3 月の東日本大震 災により,このことを我々はさらに強く意識することになった.このような状況下において,「超電導」技術は電気抵 抗がなく大電流,高磁界を容易に作り出せるため,社会インフラに対する早期実用化が強く望まれているところである. 1911 年に発見されたSuperconductivity 現象は今年で100 年を迎えた.当初,数K という極低温下でしか発現しなかっ た「超伝導」現象が,研究者の努力により前世紀末には80 K を超えるところまでとなった.「超伝導」の発現に冷凍機 は必要不可欠な存在であり,ここにも一層の高効率化,高信頼化,低コスト化が求められている.冷凍業界においても 「超電導」の実現に向け「超」のつく技術革新が必要となるかもしれない.

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