最近気になる用語 201
第二種吸収ヒートポンプ
                             


  地球環境保護の観点からヒートポンプが注目を集めている.ヒートポンプにもいろいろな種類があるが,その中に 吸収サイクルを使ったものがあり,これはさらに第一種吸収ヒートポンプと第二種吸収ヒートポンプに種類が分かれ ている.
 ヒートポンプは,低温熱源温度TL から高温熱源温度TH へ熱量を移動させることができる装置であり,冷房には低 温側の吸熱を利用し,暖房や給湯には高温側の放熱を利用している.家庭用のエアコンや給湯機では電気入力による圧 縮機でヒートポンプサイクルを駆動しているが,吸収ヒートポンプでは熱エネルギーによりサイクルを駆動するので, 前述の温度レベルTL,TH 以外に,駆動熱源温度TW が作用し,三段階の温度レベルでサイクルが構成される.
 図1に示す第一種吸収ヒートポンプではTW > TH > TL となっており,高温熱源温度TH よりも高いTW の駆動熱 源のエネルギーを使って熱を汲み上げている.駆動熱源の代わりに圧縮機を持ってくれば,エアコンと同様な作用を 行っていることがわかる.
 これに対して,図2に示す第二種吸収ヒートポンプではTH > TW > TL となっている.高温熱源温度TH が駆動熱 源温度TW よりも高いので,温度が低下して利用できなくなった排熱や太陽熱を駆動熱源として,100 ℃以上の蒸気発 生や産業用の加熱等に利用することができる.高温熱源で得られる熱量は駆動熱源の約半分となるが,昇温することに より熱エネルギーの利用価値を飛躍的に高めることができる.ヒートポンプを駆動するのは駆動熱源以外には作動媒体 を循環するためのわずかな動力のみであり,多量の熱を使う産業用,業務用分野での省エネルギーには非常に有効な装 置である.作動原理は古くから知られているものであるが,最近の環境負荷低減の要請が高まる中でその有用性が見直 されており,様々な分野で実用化が広まりつつある.
図1 第一種吸収ヒートポンプ       図2 第二種吸収ヒートポンプ

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表