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異常気象
                             


  梅雨が明け,本格的な夏が訪れた日本は連日猛暑が続いており,今年は秋口まで残暑が厳しいとの報告もある.この ような異常とも思える気象状況は日本だけでなく,今年は特に世界の各地でも見られる現象である.
たとえば,ロシアでは記録的な猛暑が続き,西のシベリアや東のモスクワを中心として1 日の平均気温が平年より9 ~ 10 度も高く,特にモスクワでは130 年ぶりの酷暑となっており,干ばつによる農作物の被害や自然火災だけでなく, 水の事故も多発している.
また,中国では,1 月に過去60 年間で最悪の豪雪が江蘇省で発生し交通網や電力への被害が出たと思いきや,4 月以 降は中部や南部を中心に豪雨や洪水被害が相次いでいる.長江流域は7月では100年来はじめての大雨と洪水となり,降 水量は平年の1.3 ~ 2 倍近くになっている.
一方,南米では寒波による被害が多発している.ペルーの高地では気温がマイナス24度まで下がり,ボリビアやアル ゼンチンでは数回の寒波に襲われ,暖房器具がない家庭では凍死や暖房器具の不具合による事故が多発している.
このような気象現象を一般的に異常気象と呼んでいるが,改めて調べてみると異常気象とは「平均気温や降水量が平 年より著しく偏り,その偏差が25 年以上に1 回しか起こらない程度の大きさの現象」と世界気象機関では定義している. また気象庁では「過去30 年間の気候に対して著しい偏りを示した天候」と定義している.いずれにしろ,極端な気象, 稀にしか起こらない気象という概念だが,今年のような状態が頻繁に続くとなかなか気付きにくくなり,異常気象の概 念や定義が変わる可能性もある.
異常気象の原因は,地球温暖化問題や自然破壊問題の影響を中心に様々な因子が関係している.気象庁によると,今 年の世界各地の異常気象は偏西風の蛇行が原因と説明している.偏西風とは中緯度付近の上空を西から東に向かう大気 の流れであり,偏西風が南北に波打つように蛇行するとその内側に大気の上層から下層にいたる「背の高い高気圧」が 形成される.したがって,偏西風が北上する東側では高気圧が発達して気温が高くなりやすく,夏には暖かな風が吹き 降りてきて一部の地域では猛暑になる.また,南半球では偏西風の蛇行により冬には南極からの冷たい風が赤道側に引 き込まれ,一部の地域では寒波となるとみられる.つまり,偏西風の蛇行は赤道と北極と南極の間の熱搬送を担ってい るともいえる.
話を国内に戻すと,記録的な猛暑でエアコンの販売台数が7 月3 週間で前年同期と比べて16 %強も増加しており,暑 さが続けばまだまだ販売が伸びると予想され,われわれ冷凍空調事業の関係者にとってはうれしい悲鳴である.反面, 熱中症による死者が30年前の6倍となっており,最近では65歳以上の高齢者が半数以上を占めている.特に,体力が弱 っていたり持病などがあると死に至りやすく,冷暖房などに慣れ,気温や湿度の急激な変化に対応する体力が衰えてい るとも考えられる.単なる省エネを追及した環境機能だけでなく,世界の異常気象に対応した「人にやさしい空調機能」 も,今後の冷凍空調に携わる開発者のテーマかもしれない.
 
参考資料

・国土交通省気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/index.html
・世界気象機関 http://www.wmo.int/pages/index_en.html
・厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
・ウィキペディア http://ja.wikipedia.org

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