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炭酸ガス(CO2)
                             


 近年,地球温暖化,オゾン層破壊などの問題より,温室効果ガスの削減に関心が高まっている.温室効果ガスの中で も炭酸ガスが占める割合が最も高く,各国で炭酸ガスの排出量削減の取組みが行われている.ここではその炭酸ガスに ついて述べる.
 炭酸ガスは,燃焼反応の最終生成物であって,大気中にもわずかながら存在し,その濃度は約0.03 %含まれている. 炭酸ガスの近代工業化の発展は,1823年“液化”に成功したことに始まり,その後,1834年に固形炭酸(ドライアイス) の製造に成功し,1925 年アメリカでドライアイスの工業的生産を開始した.日本においては,1917 年液化炭酸ガスを, 1930 年にドライアイスの生産を開始した.
 炭酸ガスは学術的には「二酸化炭素」「Carbon Dioxide」といい,CO2 の化学記号で表す.「気体」のものを一般に炭 酸ガスという.「液体」のものは「液化炭酸ガス」「液体炭酸ガス」と呼び,大気中では「固体」のものを「ドライアイ ス」「固形炭酸」「固体炭酸」と呼び,大気中では-56.6 ℃で徐々に表面より昇華する.
 炭酸ガス性質を下記する.
 [性質]
  1. 無色,無臭である.
  2. 不燃性である.ゆえに消火用に使用される.
  3. 空気より重い.
    0 ℃,1 気圧の空気の比重量は1.295 kg/m3 であり,CO2 は1.977 kg/m3 で,空気に比べ約1.5 倍になる.
  4. 人体に対する影響を下表に示す.
空気中のCO2濃度3~4%15%以上30%以上
危害状態頭痛から脳貧血を起こす致命的仮死状態を起こす致死量となる
  1. 水に溶けやすく,水溶性は弱酸性であり,pH は3.2 ~ 3.7 である.
  2. 熱伝導率は空気より小さい(保温効果がよい).空気: 0.084 kJ/mh ℃  CO2 : 0.05 kJ/mh ℃

 炭酸ガスは,圧縮冷却すれば液体となるが,臨界点以上ではいくら圧縮しても液化せず,また液化炭酸をノズルを通し て急激に圧力を落とすとジュールトムソン効果により,温度が低下し,三重点以下になり,ドライアイスが生成される. したがって,液体の炭酸ガスは臨界点と三重点の範囲内でしか存在しない.
 
※臨界点
 ・圧力7.68 MPaA
 ・温度+31.1 ℃
※三重点
 ・圧力0.54 MPaA
 
・温度-56.6 ℃
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