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ダイヤモンドライクカーボン
                             

 ダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)は,その様々な特長から,現在多方面に用途が広がりつつある 注目の材料である.部材にコーティングして用いることが多く,CVD(化学蒸着)法やPVD(物理蒸着)法などの気 相成長法により,母材に成膜させる手法が用いられる.結晶構造としては,ダイヤモンドの立方晶とグラファイトの六 方晶が混在するアモルファス構造となる.成膜条件により,特性を変化させることができ,たとえば,ビッカース硬さ (HV)でおよそ1 500 ~ 7 000 HV の範囲で製造することが可能である.特長として,高硬度,耐蝕性,低摩擦性,低攻 撃性,平滑性,抗菌性,高ガスバリア性,透明性などが挙げられる.用途としては,高硬度の特性を生かした切削加工 バイト,剃り刃,はさみなど,耐蝕性,低摩擦性を生かした自動車などの摺動部品,金型など,また平滑性を生かした ビデオカメラ部品,最近注目を集めている高ガスバリア性を生かしたペットボトル内面などの例がある.冷凍空調分野 への応用としては,高負荷が作用するロータリ圧縮機のベーン部品へのコーティング事例がある. 摺動部品にDLC をコーティングする場合,注意が必要な点に剥離の問題がある.母材とあまりにも硬度差が大きす ぎたり,膜厚が厚すぎる場合に,コーティング膜と母材との界面で大きなずれや歪が発生し,剥離が起こってしまう. 各成膜メーカーは,添加剤をいれたり,多層化したりすることで,耐剥離性に優れたDLC コーティングを提供してい る.今後ますます,発展や応用が期待される技術である. ダイヤモンド            DLC               グラファイト
図 炭素系材料の各種結晶構造

文  献
1)ウィキペディア(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/‘DLC’
2)Tech On HP http://techon.nikkeibp.co.jp/‘DLC’
3)ふくはうちテクノロジー㈱HP http://www.fukuwauchi.co.jp/

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