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改正消費生活用製品安全法(消安法)
                             


   平成18 年11 月,第165 回臨時国会において,「消費生活用製品安全法」の改正法が全会一致で成立し,12 月6 日公布 され,平成19 年5 月14 日施行された.今回の改正は,消費生活用製品に係わる製品事故に関する情報の収集および提 供などの措置が新たに設けられ,製品事故の再発防止を図ろうとするものである.
 消費生活用製品(主として一般消費者に生活の用に提供される製品)の製造者または輸入業者は,重大製品事故が生 じたことを知ったときは,発生の事実を知った日から起算して10 日以内に,当該消費生活用製品の名称,事故内容な どを経済産業省製品安全課に報告しなければならない.報告を怠ったり,または虚偽の報告をした場合には,改善を義 務づける「体制整備命令」が出され,違反すると一年以下の懲役や百万円以下の罰金が科される.経済産業省は報告を 受けてから,明らかに報告対象でない事例を除き,原則,一週間以内に同省のウェブサイトで事故を公表し,事故発生 概要について記者発表を行う. 重大製品事故とは,製品事故のうち危害が重大なものであって,以下のものをいう.
 (1)一般消費者の生命または身体に対する危害が発生した事故のうち,危害が重大であるもの.
 ① 死亡事故
 ② 重傷病事故(治療に要する期間が30 日以上の負傷・疾病)または後遺障害事故
 ③ 一酸化炭素中毒事故
 (2)消費生活用製品が滅失し,またはき損した事故であって,一般消費者の生命または身体に対する重大な危害が生 ずる恐れのあるもの.
 ① 火災(消防が火災として確認したもの)
 報告対象となる重大事故例を以下に挙げる.
 (1)家庭向けにも販売されているガス湯沸器を事務所で使用し,一酸化炭素中毒死亡事故が発生した.
 (2)家に設置されている雨戸(金属製のシャッター)において,子供が指を挟み,指を切断した.
 (3)業務用ガスオーブンとして海外で製造されたものを一般家庭での需要が見込まれるため家庭向けにも輸入・販売 していた製品が,家庭で爆発事故を起こし,家屋が半焼する火災が発生した. 報告非対象となる例を以下に挙げる.
(1)レストランの厨房に設置されている業務用冷凍ケースから漏電があり,火災が発生した.(業務用であっても一 般消費者が容易に購入可能な場合は消費生活用製品の対象になる場合がある)
(2)家屋の床下の柱が設計よりも細かったため座屈して,住人が重傷事故を負った.(床下の柱は,建築物と考えら れ,また,一般消費者が市場で購入するようなものではないことなどから,消費生活用製品には当たらない) 判断に迷ったら,とにかく幅広く経済産業省に相談する.(経済産業省製品安全課製品事故対策室 電話: 03-3501- 1707 e-mail : seihin-anzen@meti.go.jp)
 また,重大製品事故以外の製品事故を知った場合は,独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite :ナイト)に報告す る.

 出典経済産業省「新しい消費生活用製品安全法について」,(平成19 年2 月版).

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