最近気になる用語 155
LOHAS
                             


 近頃,よく耳にする「LOHAS(ローハス)」とは,“Lifestyles Of Health And Sustainability”の頭文字からつくられた 略語で,1998年にアメリカの社会学者,ポール・レイ博士と心理学者のシェリー・アンダーソン博士が提唱した.両博 士は,1986 年から全米約15 万人を対象に,15 年間に渡って調査した結果,これまで見られなかった新しい価値観,世 界観,ライフスタイルを持った人々を発見し,LOHASの中心層であると位置付けた1).
 LOHAS は,「人間の健康と環境の保護を最優先し,持続可能な社会のあり方を追及する,新時代のライフスタイル」 というコンセプトであり,具体的には,スポーツジムやヨガに通い,食生活に気を配り,アートに興味を持つなど自己 啓発に努め,省エネやリサイクルに関心が強く,社会貢献している企業の製品や環境負荷の低い商品を購入するという ような,心と体の健康と地球環境に配慮したライフスタイルを言う.このような健康と持続可能性を重視する人々が米 欧で急速に増え,アメリカでは4 人に1 人,ヨーロッパでは3 割がLOHAS 的なライフスタイルを送っているそうである.
この点,アメリカは国の環境方針の消極性と個人の環境意識の高さが乖離しているように思える.一国の環境対策は, 政府広報や企業の技術開発だけでは実現困難であり,今後,個人のレベルでLOHAS 的なライフスタイルを送る人々が 増えることが必要不可欠になるだろう.
 実は日本人も知らず知らずのうちに約3 割がLOHAS 層であることが様々な意識調査からわかってきており,特に主 婦層にもかなりのLOHAS 志向が育っているという調査結果もある.このようなLOHAS 層は,自分のライフスタイル に合った価値観を持ち,積極的に行動する.環境面では,無理なく続けられる独自のエコライフを実践したり,家電品 では,便利で生活を豊かにするもの,より消費電力の少ないものを多少値段が高くても購入する傾向にある.この傾向 が従来のニーズとは異なる市場を形成しつつあると言われている.
 企業から見れば,LOHAS な人々に使って頂く商品,コンテンツを提供することが,限りある資源,自然を消耗する ことなく持続可能な社会とする上で最大の任務であり,環境問題を個人レベルまで社会全体で解決する道であると考え る.

参考文献:
1)http://www.lohasclub.org/100.html

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表