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ICタグ
                             


 最近、新聞などでICタグに関する記事をよく見かけるようになった。これは小さなICチップとアンテナを内蔵した 無線タグのことであり、この中に個別の識別情報などを格納し、電波を利用して読み書きすることで、「自動認識システム」 に利用することが可能なタグ(荷札)のことである。電波を利用することで、接触することなく読み書きすることや、 複数個のタグの情報を同時に読み取ることが可能である。ICタグ自体は1980年代に登場したが、当初は大型で高価であり、 機能も制限されていたため、一部の利用にとどまっていた。近年、技術開発による小型化・低価格化・高機能化が進展し、 「大容量・高速伝送」なもの、「超小型・低価格」のものなど、活用領域や目的に応じ多くの種類が開発されてきており、 様々な試みが行われている。ICタグは主に以下の特徴を持つ。
1)データの送受信が可能
2)バッテリーがなくても作動
3)薄く・小さなタイプは、モノに埋め込むことも可能
4)IDの読み出し機能のみの安価な製品から情報の読み書きなどが可能な高機能製品まで多くの種類が存在
 
 自動認識システムとしては「バーコード」「光学文字読取(OCR)」などがあり、ICタグはバーコードの次世代版と して紹介されることが多い。ICタグとバーコードとの違いは保存できる情報量で、バーコードが数十桁の情報を保存するのに対して、 ICタグはチップのメモリ容量にもよるが、数千桁以上の情報を保存できるとされている。また、ICタグは情報を読ませるだけでなく、 書き換える事も可能。もちろん繰り返し使えることができ、様々な応用が考えられている。現在、ICタグはチップのメモリ容量にもよるが、 数千桁以上の情報を保存できるとされている。また、ICタグは情報を読ませるだけでなく、書き換えることも可能。 もちろん繰り返し使えることができ、様々な応用が考えられている。現在、ICタグに非常によく似たシステムとしては、 JR東日本のICカード乗車券の「Suica」がある。Suicaはソニーが開発したICカード技術「FeliCa」を利用しており、ICカードに前もって 運賃をチャージしておくことができ、改札ではリーダに対してICカードをかざすだけで入出ができるシステムである。
 ICタグはバーコードなどに比べて多くの優位性を持っており、この優位性を生かすことで多用な用途で利用されることが 期待されている。その利用は様々な製品の製造から、流通、サービスまでと幅広く活用されることが考えられる。 たとえば、物流工程においては、段ボールやパレットに製品を混載したまま、一括で情報を読み取ることができるため、 業務効率を向上させることが可能になる。また、倉庫や店舗においても単品管理や一括棚卸が可能となる。
 ここで、スーパーマーケットにおいて、商品の1つ1つにバーコードの代わりとしてICタグをつけた場合を想定してみる。 顧客が野菜を手に取り、カートに入れると、カートのディスプレイに野菜の生産地や出荷者、出荷日、お勧めのレシピが表示される。 同時に野菜棚に設置されたリーダが、棚から野菜がなくなったことを感知し、スーパーマーケットのネットワークシステムを通じて、 本部に対して在庫を補充するように通知する。カートをいっぱいにした顧客はレジカウンターに並ぶが、顧客はたくさんいても ほとんど待つ必要はなく、同時に複数のICタグをリーダに読ませることが可能なことから、顧客はカートに商品を詰め込んだまま ICタグのリーダが付けられたゲートをくぐるだけで自動的に購入商品が計算され、顧客のクレジットカードから代金が引き落とされる。 もちろん、購入した商品のリストや金額は、重要な顧客情報としてスーパーマーケットのデータベースに保存され、今後の マーケティングの材料として分析されることになる。このように、ICタグは単なるバーコードの代替としての利用だけではなく、 ネットワークシステムとの連携により、幅広い分野で有効に高度利用される可能性を持ったものである。
 無線ICタグ内のICチップは数mm以下と小さく、ICタグ自体も数mm~数十mm程度の円板形、円筒形やラベル形などの様々な 形状が考えられているが、電波出力の有無、データの読み書きなどで、数種類のものに分類される。自ら電波をだすことができるものを アクティブタグ、自ら電波を出さないものをパッシブタグと呼んでいる。電波出力の有無およびデータ読み書きについて注目して 比較すると、以下(1)、(2)のようにまとめられる。
  
(1)パッシブタグとアクティブタグ
 現在、我が国においては、135kHz, 13.56MHz,2.45GHzの3つの周波数帯が電子タグに使用可能であり、これらの周波数帯は 全世界において電子タグに使用可能な帯域である。
  
  
電力/電波
価 格
到達距離
特 徴
パッシブタグ電源を持たず、自ら電波を出さない。安い
現状では50円~500円
数mm~数m・小型、計量
・半永久的に使用可能
・一般的にタグはIDだけ格納し、データはネットワーク側で管理
アクティブタグ電池またh電力供給を受け、自ら電波を出す。高い
現状では1000円以上
数十mm~数百m・電池寿命がある(1~10年)
・タグ側からリーダまたは他のタグへアクセス可能
・センサがついた高機能品もある

  
(2)データの読み書き
  
  
概 要
価 格
特 徴
読み取り専用低コストを目指し、最低限のIDの機能だけを搭載したタイプ安い
小容量メモリで安価
・ID機能のみ
・バーコードの進化版
低コストを徹底追求
・ネットワークサーバなどとの連携が前提
書き換え可能ID機能に加え、データの書き込み機能を持っているタグ高い
中~大容量メモリで価格は機能相応
・Read/Write可能
・データ保持機能
・タグとリーダ/ライタ間の通信だけで作業可能
・センサがついた高機能なものもある

 以上、ICタグの概要についてまとめたが、ICタグの活用はまだ始まったばかりであり、現状は発展段階にあるため、 今後ますますバリエーションが広がり、それぞれの機能は強化し、重複し、ユーザーの利用シーンに応じて変化していくと 考えられる。最近では生酒などの温度管理を温度センサ付き無線ICタグで行う実証実験も発表されており、今後もますます 冷凍空調業界に非常に関わってくる技術と考えられる。

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