最近気になる用語 144
ISO 22000
                             


 最近、狂牛病問題、食品添加物、残留農薬など、生命維持にかかわる食品汚染ニュースが多い。 そんな中、食品の安全性を確保するため、食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO 22000が 2005年9月1日に発行された。いずれ日本工業規格(JIS)となろう。
 この国際規格の英和原題は次のとおりである。
“Food saftey management systems―Requirements for any organization in food chain”
“食品安全マネジメントシステム―フードチェーンの組織に対する要求事項”
この規格は、先に発行された品質マネジメントシステムISO9001に、米国NASA宇宙飛行士の 食中毒防止のために開発されFDA(米国食品医薬局)により国内規格として制定されて世界に広まった 「危害分析重要管理点」であるHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)を組み込んだものである。
食品の安全はISO9001の要求事項だけでは実現できず、またHACCPだけでも不十分で、これらが補完し合って 初めて確保できる。
規格制定の経緯
規格の序文に制定の目的が次のように記されている。 「食品安全は消費(消費者による摂取)の時点で、食品に由来するハザード(危害)の存在に関係する。 食品安全ハザードの混入は、フードチェーン全体での適切な管理が不可欠である。 したがって、食品安全は、フードチェーンに関わるすべての関係者の一丸となった努力を通じて確保するために、 一般の認識されている主要素を組み合わせた食品安全マネジメントシステムに対する要求事項を規定している」
規格の主要構成
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語の説明
4.食品安全マネジメントシステム
5.経営者の責任
6.資源の運用管理
7.安全な製品の計画及び実現
8.食品安全マネジメントシステムの妥当性確認、検証及び改善
条項4~6には製品の品質と同様、共通の要求事項が食品安全に関して書かれており、 ISO9001のそれとあまり差はない。しかし条項7~8では食品の要求事項が食品安全に関して書かれており、 ISO9001にない要求事項がある。
たとえば7.2項前提条件プログラム(PRP),7.4項ハザード分析,7.6項HACCP,7.9項 トレーサビリティシステム(原産地から消費者の手元にくるまでのルートを追跡できる仕組み)があり、 牛肉偽装などの事件からここ1~2年で急激にこのトレーサビリティの仕組みが重要視されている。
審査登録
ISO22000とその審査登録制度については現在、(財)日本適合性認定協会(JAB)を中心に(財)食品衛生協会および 消費技術センターが共同で事務局となり、システム開発委員会を設立し、認定・認証の基準、審査登録機関に要求される事項 、審査員に要求される事項などについて検討中である。

「最近気になる用語」
学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表