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2次元シンボル (Two Dimensional Symbol)
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バーコードシンボルは、1950年代にアメリカの流通業界において、POS(Point of Sales 販売時点情報管理)システム、
すなわち買物代金の精算作業における省力化、正確性向上を図るために開発された自動読取りが可能な情報技術である。
その後、1960年代後半にPLU(Price Look Up)という商品の価額をあらかじめコンピュータに登録し、商品には価額情報を
表示せず、POS識別する商品番号のみを表示する考え方が提案された。日本では、1974年(社)日本事務機械工業会にPOS
識別標準化研究会が設立され、バーコードシンボルの標準化に関する研究に着手した。なお。日本工業規格(JIS X 0500)
においてバーコードシンボルは、「光学的反射率の高い部分と低い部分との組み合わせで情報を表示し、機械読取り可能とした
情報担体の総称。1次元シンボル及び2次元シンボルが含まれる」と定義されている。
1. 1次元シンボル(1次元バーコードシンボル)
1次元シンボルは、インタリーブド2オブ5、コード39、EAN/UPC、コード128の4種類がISO国際標準となっており、
主にアメリカとヨーロッパで活用されているが、規格統一されていないコーダバーと2003年新たに国際提案されたRSSがある。
一方、日本では1978年EAN(European Article Number)コードをもとにJIS化されたJAN(Japanese Article Number)
コードが使われている。JISにおいて1次元シンボルは、「長方形のバーとスペースの配列で情報を表示し、バーおよび
スペースに対し垂直方向に走査することによって機械読取り可能なバーコードシンボル、シンボルキャラクタ、クワイエットゾーン
およびキャラクタ間ギャップによって構成する」と定義されている。標準タイプは、図1に示すように,
13桁の数字の組み合わせで表している。JANコードの1~2行目は国(日本:は49または45、イギリス:50、韓国880)、3~7桁目は
商品メーカ、8~12桁目は商品アイテム、13桁目は読取りミスを検出するためのチェックデジットを表している。
 | 49 国 | 12345 メーカ | 67890 商品 | 4 チェックデジット |
図 1 JANコード
2. 2次元シンボル(2次元バーコードシンボル)
1次元シンボルは、POSシステムに幅広く利用されるが、近年、高度情報化時代に対応し得るよう、より多くの
情報を表現するために2次元シンボルが開発された。JISにおいて2次元シンボルは、「バーコードシンボルの情報を読むために、
バーコードシンボルに対し、水平および垂直の両方向を走査することによって機械読取り可能なバーコードシンボル」と定義されている。
2次元シンボルは、図2に示すようにPDF417、データマトリックス、マキシコード、QRコードの4種類がISO国際
標準になっており、そのほかに2003年新たに国際提案されたマイクロPDF41、マイクロOR、RSSコンポジット
が開発された。このほか、構造的にマルチロー式(PDF417、マイクロPDF41、RSSコンポジット)とマトリックス式
(データマトリックス、マキシコード、QRコード、マイクロORコード)がある。マルチロー式は、1次元シンボルを縮小し、
縦に複数段に積み重ねた構造であり、長方形で、左右のクワイエットゾーンとスタートキャラクタ、符号化領域、
スタップキャラクタで構成される。マトリックス式は、セルと呼ばれる黒と白とのマス目パターンで表現し、正方形で
シンボルを容易に見出すための位置検出パターン、ひずみを検出する位置合わせパターン、符号化領域で構成される。
2次元シンボルの特徴としては、
①膨大な情報量の表示が可能)、
②情報の高密度化(1次元シンボルの情報量であれば1/30のスペースに印刷可能、レーザマーキング式により情報を半導体や電子部品に直接表示可能)、
③誤り検出および訂正機能(NASAで開発されたリードソロモンという誤り訂正機能を持ち、最大30%程度の情報が欠損しても情報の復元が可能)、
④高速読取り機能(マトリックス式は切り出しシンボル、L型のガイドセルを設けることにより高速にコードの位置特定(360度読取り)が可能)、が挙げられる(表1)。
図 2 2次元シンボル
表 1 2次元コードの特徴および情報量
コードの種類 | 情報量 | 主な特徴 | 主な用度 | 数字 | 英数字 | バイナリ |
PDF417 | 2725 | 1850 | 1108 | 大容量 | OA |
マイクロPDF417 | 366 | 250 | 176 | 小型化:7.5×10mm | 基板 |
RSSコンポジット | 1次元コンポジット:最大48桁 2次元コンポジット:最大2361桁 | 1次2次元コンポジットで構成 | 物流 |
データマトリックス | 3116 | 2355 | 1556 | 省スペース | FA |
マキシコード | 138 | 98 | | 高速読取 | 物流 |
QRコード | 7089 | 4296 | 2953 | 大容量省スペース | 全分野 |
マイクロQRコード | 35 | 21 | 15 | 省スペース | 電子部品 |
日本においてバーコードシンボルは、1977年POSシステム用共通商品(JAN)コードがスタートして以来、流通分野
のみではなく、工場の自動化(FA:Factory Automation)やオフィスオートメーション(OA:Office Automation)サービス業界、
医療分野、エレクトロニクス分野、自動車分野など多岐の分野で急速に普及している。最近はカメラ付携帯電話で2次元シンボル(QR
コード)を撮影すると、簡単にホームページにアクセスできるようになっている。図3は、本学会のホームページアドレスをQRコードに
変換したものであり、QRコード対応機種の携帯電話で撮影すると本学会のホームページにアクセスすることができる。
(注:当学会ホームページは現在はまだ携帯対応にはなっておりません。ご注意ください)
文 献
(社)日本自動車認識システム協会:「これでわかった2次元シンボル、バーコードのすべて」、オーム社、東京(2004)
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