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地球温暖化と海面上昇問題
                             


 SF映画「The day after tomorrow」を見た方もいると思うが、地球温暖化により南極の大氷床が崩落し、 海水濃度低下により海流変動が生じ、大気循環変化のため一転して極寒の氷河期が訪れるというストーリーである。 現実にも、「海面上昇問題」は南太平洋のツバル諸島をはじめ日本も含めた低海抜地帯の多い国々で、高い関心を集めている。 また、地球温暖化による平均気温の上昇は、異常気象の発生、陸域の気候区分の変化、生態系への影響など多くの問題を抱えている。
 
1.海面上昇の要因
 地球温暖化による平均気温上昇のため、海水温度が上昇して海水の膨張が起こるとともに、氷河と陸氷の氷の一部が 融解するため、海水量が増加して海面が上昇すると考えられている。過去100年間の海面上昇では、海水も熱膨張による 分と、氷河・氷冠の融解によるものがほぼ半々の割合と見られる。今後の地球温暖化では、100年で1~3.5℃の気温上昇で、 約15~95cmの海面上昇が予測されている。
 現在の地球の平均気温は14℃であるが、2万年ほど前の氷河期では5~9℃程低かったと言われており、間氷期である 1万年前ごろまでに大陸氷河はほとんど融解し、海面は100m以上も上昇したと考えられている。ここで、気温上昇スピードは 平均7×10-4℃/年 程度であるが、今後の温暖化では平均2.3×10-2℃/年 程度となり、30倍以上の 変化率となる。これにより、現状がいかに急激な変化に向かいつつあるかが想像ができる。
 
2.海面上昇の影響
平均海面の上昇に加え、降水量の変化などにより、海岸・低地の水没、高潮と洪水による氾濫の変化、海岸侵食の激化、 河川と地下水への塩水の浸入、潮汐の変化、河川が運ぶ土砂の堆積パターンの変化、海底への光量減少による海藻などの光合成 阻害などが想定される。
 
3.海面上昇への対策
対策として、①臨海部からの撤退、②海面上昇への順応と防護があるが、山地が多く平野部の少ない日本では、②を選択せざるを得ない。 そのため、交通、流通、漁業、レクリエーション、防災、国土保全、自然環境保全など総合的な計画の立案とその実施が必要となる。 運輸省港湾局による試算では、海面上昇1mを想定した場合、港湾施設のかさ上げや補強の費用7兆9,000億円、 海岸の護岸や堤防の対策費用11兆5,000億円である。
  
 二酸化炭素の排出による地球温暖化を防止する取組みが、産業、運輸、民生の各分野で進められているが、海面上昇による 深刻な問題発生を危惧する地域が増えている状況でもあり、海面上昇監視体制の強化や適切な対策が今後必要である。 また、気象学、海洋学などに基づくメカニズムと原因の更なる究明、地球温暖化防止およびエネルギー資源の持続についての 取り組み強化がますます重要になると考えられる。
 
参考文献:環境省ホームページ/COP3/関連情報/地球温暖化解説

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