ISO14001適合 自己宣言 1. ISO14001 への取り組み 不法投棄による土地の汚染,工場からの有害物質の排出,油の流出による海の汚染,フロン放出によるオゾン層の破 壊,人の活動による地球温暖化,などで生活環境が破壊されつつあるという現実を突きつけられ,社会の環境に対する 関心は非常に強い.企業は環境法規遵守を含め,環境への適合を社会へ証明する必要に迫られ,自治体もまた市民への 説明義務を負う.これに対して現在11,000 を超えた組織がISO14001 環境マネジメントシステムの認定を取得している (日本適合性認定協会HP 2003.11.28 より).ISO14001 規格は組織の活動に伴う環境影響を管理する規格であり,組織活 動の環境面が市場から評価されるツールとして,品質活動のISO9001 規格とともに,普及している. ISO14001 規格に伴う活動は,組織の経営者が環境方針を定め,組織が具体的な計画を策定し,実施・運用し,活動 結果を点検し,不備な部分を是正し,経営者はこれを監視,見直して継続的に環境マネジメントシステムを高めてゆく ものである.組織は,審査資格がある第三者機関に環境活動に対する審査を依頼し,この認定を受けることで,組織の 環境活動が妥当なものであることを利害関係者に説明できる.一方,これに対しては審査費用が発生する.大きな組織 では必要経費と人材を投入してこれに対応できるが,この負担をきらい,ISO14001 認定取得をためらう組織もある. また組織の環境活動に対し,第三者認証を必要としない組織もある. 一方,環境マネジメントシステムは包括的な側面を持ち,たとえば工場単位では,その工場全体での環境影響を評価 し,部分的に抜け落ちることが許されない.これは対象となる組織が大きくても同じ性格があり,その組織が購買する 製品,労務提供先へも環境配慮を要求する場合がある. 2. ISO14001 適合 自己宣言 組織の活動が環境に適合していることを主張したい場合,外部審査を受ける以外に自己宣言する手段をISO14001 の 規格に規定している. JIS Q 14001「環境マネジメントシステム・仕様及び利用の手引き」の「1.適用範囲」に「この規格は,次の事項を 行おうとするどのような組織にも適用できる. a)環境マネジメントシステムを実施し,維持し及び改善する, b)表明した環境方針との適合を保証する, c)その適合を他者に示す, d)外部審査による環境マネジメントシステムの審査登録を求める, e)この規格との適合を自己決定し,自己宣言する.」 と規定してあり,この中のe)項が自己宣言を可能とした項目である. すでにこれを実施している組織が,長野県飯田市をはじめ,数件がホームページ上で見受けられる.この場合も ISO14001 規格に添った活動は同様に行うが,その活動の証明をISO の認定する審査機関に求めない.審査の様子をホー ムページでみると,従来の審査機関が自己宣言に対応した審査をしている,各種の団体が名乗りをあげて審査を行って いる様子などがうかがえる.いずれも低額な費用で済むとしており,ISO の規定に添って環境活動の正当性を外部に証 明する必要がない組織にとって,低額で済むことは非常に有利であろう.ただ,この活動はまだ確定していないようで ある. 環境活動の正当性を自力で証明しようとすれば,かなりの習熟と熱心さと労力が必要と推測される.このことから自 己宣言による環境配慮への主張が評価され,受け入れられた場合は,かえって高い評価を受けたということになるか, これからの展開をみたい. 「最近気になる用語」 学会誌「冷凍」への掲載巻号一覧表 |