ユビキタス(Ubiquitous)
ユビキタス(Ubiquitous)

  「ユビキタス」あるいは「ユビキタス・コンピューティング」は,ゼロックスのパロアルト研究所の故マーク・ワイ ザー(Mark Weiser)氏が提唱した概念で,「利用者がどこに移動しても,同じような性能の計算機の能力を利用できる 環境」を指している.このユビキタス(Ubiquitous)という言葉は,「あまねく存在する」という意味のラテン語に由来 している.
  したがって,ユビキタス環境・社会・時代におけるコンピューティングとは,パソコンのような情報機器だ けでなく,身の回りで日常使用している多様な「物」の中にコンピュータが組み込まれており,その機能を「いつで も・どこでも・だれでも・簡単に・安心して・適正な端末価格」で利用できる状況を意味している.
  たとえば,携帯電 話の未来像について,「すべてのナレッジが携帯電話から取り出せる『ユビキタス』社会の実現へ」などと語られている.
  このような「ユビキタス社会」では“身の回りにあるもの”が情報の検索や計算をしていて,これらの情報は「ユビ キタス・ネットワーク」により簡単に閲覧・検索・交換が可能となる.
  このように,“コンピュータで何かをする”の ではなく,「人間の行動に従ってコンピュータが気を利かせる」のがユビキタス社会である.たとえば,「電子レンジで 冷凍餃子をもっともおいしく解凍したい」と思ったら,スーパー内の冷凍ショーケースでも,家庭用冷蔵庫や電子レン ジでもボタン一つで,内蔵されているコンピュータが応対してくれる.
  さらに,ユビキタス社会は多くの企業や研究者 がめざす夢の社会であり,特に,不況にあえぐ産業界にとっては,「ユビキタス社会」実現のための機器とその利用法 の開発が大きなビジネスチャンスであると考えられている.
  その結果,ユビキタス製品の開発競争も激化の様相を呈しており,たとえば最近発売された液晶薄型テレビにはイー サネット端子が搭載されており,リモコンのボタン1 つで家族そろって楽しめる生活情報,たとえば宅配便の収集依頼 やグルメ情報の検索といった機能が多種類ラインナップされている. また,近い将来,市販食品にIC タグを付け,IC タグリーダー搭載冷蔵庫による品質管理,家族の栄養管理などが可能になり,さらにIC タグで管理する図書館も実現 すると予測されている.

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