日本冷凍空調学会23代会長
川村 邦明
Kuniaki KAWAMURA
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大正14年に設立し95年を超える長い歴史を創り上げてきた本学会が、冷凍空調分野において、今後とも益々発展し、さらに社会貢献を目指したいと考えています。
日本冷凍空調学会は冷凍、空調における唯一の学術団体で食品保存・快適環境・ヒートポンプなど、生活に不可欠な技術を扱う団体です。技術交流、学術講演会、セミナーなどの活動を益々充実させ多くの方々に学会活動を伝える一方で、国内、海外の関連学協会、団体との良好な関係性を構築し、相互連携を図ることに力を注いでいきます。
国際交流では、国際冷凍学会IIRとの連携、アメリカ、中国、韓国、台湾など過去から長く交流のある学術団体との親睦を深め、さらにフランス、ノルウェイ、イギリスなど他の国々、地域の学術団体との交流も進めて行きたいと思います。
世界的課題としては地球温暖化問題、エネルギー問題、食品問題があります。温暖化対策は待ったなしですし、食品廃棄ロスは世界的にも30%を超え続けています。また国内でのフロン冷媒回収は30%台で低迷していますし、人類が使い続けられる環境負荷の小さい冷媒の調査・検討、エネルギー効率の高い冷凍空調システムの調査・検討、ヒートポンプのさらなる活用の検討、食品分野での世界的なコールドチェーン構築など課題は山積みです。
昨年は年初から新型コロナ感染(COVID-19)の渦に全世界が巻き込まれました。冷凍空調を取り巻く業界の経済動向も大変厳しい状況でした。学会もWEBセミナーの開催を9月より開始しました。また、12月に京都で開催を予定していた、自然冷媒の会議『グスタフ・ローレンツェン国際会議(GL2020)』もWEB開催するなど、対応に追われました。
COVID-19の感染は昨年後半から第3波に入ったように世界的に拡大しました。WITHコロナはしばらく続くものと覚悟が必要です。AFTERコロナを想定したニューノーマル生活での冷凍空調の課題も検討が必要です。空調環境での換気とエネルギー消費、新たな食品コールドチェーンの検討などが挙げられます。
日本は10月に2050年までのカーボンニュートラル(CN)への挑戦を宣言しました。EUでは既に実施計画に入っています。さらに前倒しとする国も出てきています。CN対応にも温暖化対策で進めている冷媒の選択、機器の省エネ化、ヒートポンプの開発・普及が有効であると考えられており、更なる取り組み強化が期待されています。本学会では技術情報の提供・交流として、国際会議を多数開催してきました。昨年12月のGL2020に続き、2021年6月にはHFO国際会議を予定しておりますので、成功裏に開催して世界的な課題の議論に貢献したいと思います。
本学会がさらに発展し技術的に社会貢献するために3名の副会長を筆頭に50名の代表会員(内 理事19名)と一致協力して活発に活動し成果に結びつけるようにしたいと思っております。
また、本年度、学会Webサイトのリニューアルを実施しました。学会活動の情報発信の重要な機会とし今後とも充実させて参りますのでご期待下さい。
今後とも、会員の皆様のご協力、ご理解が不可欠ですので、よろしくお願い申し上げます。
2021年2月26日
公益社団法人 日本冷凍空調学会 会長 川村 邦明
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