96 屋上緑化
日本各都市の平均温度は少しずつ上がっており,東京都心では100年前に比べ冬季の最低気温が3℃程度上昇していると言われている.アスファルトやコンクリートからの輻射熱,自動車の排気ガス,空調用屋外機からの排出熱などが原因のヒートアイランド現象が環境の変化をもたらしている.このヒートアイランド現象を緩和するために「屋上緑化」が注目されている.「屋上緑化」とは,簡単にいえば建物の屋上に緑(植物)を植えることである.植物が屋上表面温度を最大30℃程度低くでき,建物の省エネルギー効果が期待できる.最近全国の自治体でも積極的に「屋上緑化」に取り組んでおり,東京都は都自然保護条例を改正して,新築ビルに「屋上緑化」を義務づけている.
屋上を緑化するにはいくつかの課題が挙げられる.
・屋上の荷重制限
建築基準法の荷重制限を守るために,植物を植える土壌の軽量化の開発,植物や土壌を支えるコンクリートの開発が行われている.
・維持管理
日常の水やり,植物の管理をする人が必要となる.
・適正植物
ビルの屋上の風の影響を受けにくい植物を選定する必要があり,それらの開発が行われている.
・その他
屋上の防水,土砂や枯葉による排水管の詰まり,屋上からの落下物による第三者への影響など,の対策の必要がある.
今後「屋上緑化」は地球規模の環境問題である「地球温暖化現象」防止対策の一環として期待される.
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