85 高温超電導
超電導とは,-273 ℃(0 K)近くにおいて電気抵抗が0になる現象で,1911年に発見された.
超電導状態の物質へ電流を流すと,それは補給なしでも流れ続ける.
この現象を利用すると非常に効率のよいシステムの具現と,電力,交通,情報・通信,医療の
先端的インフラ(発変電,送電,電力貯蔵,電気自動車・列車,船舶,超高速素子,各種超高性
能センサー)など,広範な分野への応用が可能になる.
実用化へのブレークスルーは,安価で「臨界温度」の高い物質を得ること,すなわち
「高温超電導」物質によってイニシャルとランニングコストが低減できることである.
1986年に発見されたセラミックス系材料は,LN2による冷却で安価に超電導状態を
得ることができたが,強度や加工性に難点があった.
最近これらの問題点を克服した金属系材料の発見や開発に
期待が寄せられ,研究も盛んに進められている.このようにコスト,加工性に恵まれた
「高温超電導」による線材やデバイスの実用化は遠い将来のことではなくなってきた感がする.
(参考資料:日経新聞)
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