74. アルベード(albedo)
アルベード(またはアルベド)とは反射係数で、天体表面の太陽光線などの反射率を
あらわす。日本の最近の気候は大都市だけでなく地方都市においても、いわゆるヒートアイランド
現象(島状の部分的温暖化現象)が顕著になってきている。特に今年の夏は今までにない高気温を
記録し、昼間のみならず夜間でも高温の熱帯夜が続いた。熱帯夜という言葉も一般化している。
東京、大阪のような大都市はヒートアイランドと言うよりは、近辺都市と
不規則に広がったスプロール現象により、ヒートアイランドともいうべき異常な状態になってきている。
これは夏冬、昼夜問わず恒常化している。
この都市空間の熱収支は次式によって表される。
S+W=R+H+E+G (単位W/m2)
ここにS:日射受熱量,W:人工発熱量,R:輻射熱交換量,H:乱流熱交換量
E:蒸発、凝縮による潜熱交換,G:地中への熱伝導量
式の左辺、地表に入る熱量S+Wは、右辺の地表から出る熱量の両者がバランスして地表または都市空間の温度が決まる。
【アルベートの例】
裸地 0.1~0.2 | 道路 0.2~0.25 |
草地 0.15~0.3 | 海面 0.05~0.4 |
森林 0.05~0.15 | 雪面 0.4~0.7 |
複雑な様相を示す地表面の平均反射率アルベードは、これの大小によって熱収支に大きな影響を
与える。建築物の空調負荷もこのアルベードは一つの要因となる。日本の大都市は緑地,草地,森林など
アルベードの小さなものが少なく、舗装道路と建築物で密集して構成されているためのアルベードが大きい。
これが熱収式のR輻射熱交換量を増加させ、大気温度を上昇させる。
地球温暖化の防止対策としても、公園、池、噴水、植栽、河川、森林、そして低アルベードの建築外装など、
都市の総合再計画によって熱負荷の低減を図ることが緊急かつ重要な課題になっている。
(文献)木村建一:「環境工学」2巻,pp.10,影国社,東京(1988).
|