61. B1カツオ
B1カツオとは、遠洋鰹一本釣漁船が釣上げたカツオ類を活きたまま食塩ブライン凍結倉に投入し、
ブライン浸漬式凍結により一定の条件で急速凍結した「ブライン凍結一級品」のカツオ類(ビンナガを含む)のこと。
カツオ一本釣漁はカツオの群を見つけ、その群の中に船を乗り入れ船上から生きたイワシを撒餌しながら
カツオの群れを留め、群れから竿で一尾づつカツオをデッキ上に釣上げる漁法である。一回の漁獲量が大量であるため、
大量凍結に有利な食塩ブラインによる浸漬式凍結で、カツオは凍結され鮮度保持される。
B1カツオは、凍結したカツオ類を解凍して刺身やタタキにして肉色や食味が漁獲直後の生鮮品に優るとも劣らない
品質を目指す。カツオ類の高付加価値化の対策の一つとして開発され、1983年以降刺身市場やタタキ等で高い評価を
得るようになった。
B1カツオを作るための諸要件
1)カツオ類に凍結魚はすべて釣上げ直後の活きの良い生きた魚であること。
2)凍結倉の食塩ブラインはカツオ投入前に-20℃に冷却されていること。
(食塩ブラインの共晶点は-21.2℃である)
3)カツオの凍結倉への投入は、投入器により一尾づつ倉の底部より循環ブラインの一部とともに送りこむ。
投入器とは倉口上部より倉内に降ろしてある円筒の筒で、この中には常に循環ブラインの一部が流れている。
投入器上部へは舷側ベルトコンベアをカツオが流れており、各艙口毎にコンベアにつながるシューターがあり、ここからカツオが投入器に入って行く(艙口から底部までは3m位の高さがある)。投入器を通って倉内上部に浮上してくる
魚は低温ブラインで急速に冷却されるので、表面が素早く凍り変形が少ない。
4)倉内にカツオを入れすぎないこと。カツオの投入によりブライン温度が上昇するが、その上限は-14℃とし、
これ以上の温度上昇がないよう投入量を抑える。投入量は一般凍結の約1/3の量で大体0.25トン/m3の投入量とする。
5)カツオ投入後、全力運転でブライン温度を-20℃まで冷却し、その後は恒温(-20℃)運転を続ける。
一般に凍結終了の目標は魚体中心で-15℃としているが、魚体の大きさにより凍結時間は決まり、凍結終了
(魚体中心-15℃)後も約2時間恒温運転(ブライン温度-20℃)を続け、凍結を完了する。
6)凍結を完了したカツオは、一尾づつ口中やエラ内のブライン切を行ない保冷倉に積替えし、急速に魚体を
-45℃以下に冷却・保蔵する。もし魚体に変形や傷のある場合はB1として扱わない。
7)使用するブラインは汚れのないもので、常に濃度管理を行なう。
このように、厳選されたカツオ類ときびしい凍結作業条件のもとに凍結されたものだけがB1で、「ブライン凍結一級品」として
流通されるが、同じ凍結倉で凍結されても、B1の基準によらないで凍結されたカツオ類はB1と区別し、Bと称している。
ここにB1カツオと一般の船凍(ブライン)カツオについて検査したデータを参考に示す。
(解凍後室温20℃保存下の計測値による)
K値:鮮度を示す値で、数値が低いほど鮮度が良い。解凍直後からの時間の経過とK値の変化を図1のグラフで示す。
メト化率:色の鮮やかさを示す。数値の低いほど色鮮やか。解凍直後からの時間の経過とメト化率の変化は下記のごとくである。
| 解凍直後 | 1時間後 | 2時間後 |
B1 | 14.17(%) | 17.67 | 16.83 |
その他の船凍カツオ | 25.33 | 27.50 | 24.00 |
図1 K値の変化
|