110. カスケードサイクル
(カスケードコンデンサー) 一般に,冷媒の沸点またはそれ以下の蒸発温度で冷却する冷凍設備は,COP向上のため単一冷媒による多段圧縮式が 使われる.現在,超低温冷蔵倉庫などの冷却システムにはR 22 二段圧縮式が使われているが,庫内温度が- 55 ℃以下 の場合などは,COP の良い二元冷凍方式の設備が多く採用されている.この場合,低温側(庫内冷却側)にはR 23(単 段圧縮)を,高温側はR 22 の二段圧縮式によることが多い.R 22とR 23 の沸点は下記の通りである. R 22 - 40.75 ℃ R 23 - 82.05 ℃ 二元冷凍サイクルの系統図を,図1に示す(カスケードサイクルともいう).ここで,低温側サイクルの凝縮器は高 温側の蒸発器である.この熱交換器をカスケードコンデンサーという. カスケードコンデンサーの構造はシェルアンドチューブ形の熱交換器が多く使われる.このようなカスケードサイク ルによる再液化設備はエチレン運搬船にも採用されているが,冷蔵倉庫などと異なり,低温側には冷却器(蒸発器)は なく,エチレンの輸送中タンクの防熱を通して侵入する熱により,エチレン液が蒸発するのは避けられない.そこで, この蒸発ガスをガス圧縮機に吸入して圧縮し,冷却して液化させ,この液を再び減圧弁を通じてタンクに戻すようにし, タンク内の圧力を0.101 ~ 0.128 MPa.absの低圧に保持する再液化装置なのである. このエチレンガスを液化するカスケードコンデンサーは,R 22 の高温側冷凍機により冷却される.エチレンの沸点 は- 103.65 ℃である.このカスケードサイクルの系統図を図2に示す. |