集中巻モータ
集中巻モータ


  近年,地球環境保護の観点から省エネルギーが叫ばれていることは言うまでもないが,エアコン・冷蔵庫の省エネル ギー化としてコンプレッサの高効率化が計られている.コンプレッサの効率は大きく分けて機械効率とモータ効率に分 けられ,それぞれ高効率化が計られている.
    そのエアコン・冷蔵庫用コンプレッサのモータは,商用モータに始まり,回転数を変化できるインバータモータ,AC モータからDC モータ,分布巻から集中巻(直巻)へとその主流が変わってきた.
    集中巻モータとは,図1のようにステータ巻線をステータティースに絶縁物を介して直接コイルを巻き付ける,直巻 方式のことである.
    従来のモータにおいてステータ巻線は,あらかじめ巻き取られたコイルをステータスロット内に入れる.この方式は 分布巻方式と呼ばれ,1 つのコイルが約1/4 周区間のステータコア端面を渡っているため,コイル周長が長くなるとい う欠点がある.
    これに対して新方式(集中巻)では,直接コイルを巻き付けるため,ステータコア端面を渡るコイルを非常に少なく できるため,コイルの周長を大幅に短縮できる.したがって,太い電線を高密度に巻き付けることにより,巻線抵抗を 大幅に低減できるのでモータ効率が向上する.また,従来のモータに対して巻線の使用量を大幅に低減でき,省資源と コスト低減に寄与している.さらに,ステータコイルエンドの高さを従来モータの約半分にでき,小型・軽量化を実現 している(図2参照).
    そのほかにも,生産設備を大幅に軽量化し,設置スペースも大幅に減少できる,使用する電線量を大幅に削減できる ことにより,電線の表面積も大幅に減少し,ここから漏れる電流も大幅に低減できるなどの特徴がある. このように,集中巻モータは今後のエアコン・冷蔵庫用モータの中心になっていくと思われる.

(冷凍機分科会 奥田正幸)

  参考文献
    稲葉好昭,川村清隆,今澤和基: 東芝レビュー,55(1),68―71(2000).