食品の品質表示基準
108.食品の品質表示基準


  (1)JAS 法と品質表示基準
  
  JAS とは「日本農林規格」のことをいい,「Japanese Agricultural Standard」を略して「JAS」と呼ばれている.
  
  「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」に基づいて,農林水産大臣が必要と認めた食品に「JAS 規 格」を定めている.「JAS 規格」には,二つの基準「品質(農林水産物の規格)」と「表示(品質表示基準といわれ,品 質の表示を求めるもの)」がある.この両方を満たしていることが第三者機関(農林水産省の機関,都道府県,あらか じめ登録されている検査機関)の検査(格付け)を受けて合格して,初めて「JAS マーク」を表示できるようになる.
  しかしながら,この検査を受けて「JAS マーク」を表示するかどうかは製造メーカーの自由意志に任されていることと, 「JAS マーク」の普及率が業界により格差があるため,消費者保護の観点から,品質表示の適正化を図る目的として, 「JAS 規格」を定めている食品のうち「政令で指定されているもの」について,「JAS マーク」をつけていない食品を含 め,すべて「品質表示基準」に基づく表示が義務づけられている.
  また,食品の多様化により「JAS 規格」の制定が困難である農林水産物資で,一般消費者が購入の際に品質を識別す るのが困難なものに対しても「品質表示基準」を定め,製造業者などに表示を義務づけている.
    
  (2)食品に関する品質表示基準
    
  ① 加工食品品質表示基準
    平成13 年4 月から適用開始.
  加工食品とは,製造または加工された飲食料品のことをいい,この加工食品(容器に入れ,または包装されたものに 限る)の表示は「加工食品品質表示基準」に基づいて行う必要がある.この表示基準はすべての加工食品に適用される が,飲食料品店などで販売されるもの(いわゆる業務用品)や,一般消費者向けのものであってもバラ売りや量り売り のものは適用除外になる.またこの表示基準とは別個に,個別に品質表示基準が定められている品目については,「個 別品質表示基準」を優先する形での表示が求められる(表1).
  加工食品の中には様々な食品が含まれるが,共通する表示事項は,名称,原材料名,内容量,賞味期限,保存方法, 製造業者名(輸入品にあっては輸入業者名),輸入品にあっては原産国名,国産原材料の使用割合(国産原材料使用を 表示する場合)になる.
  
  ② 生鮮食品品質表示基準
  平成12 年7月より適用開始.
  生鮮食品とは,農産物(主に米穀,雑穀,豆類,野菜,果実),畜産物(主に肉類,食用鳥卵),水産物(主に,魚類, 貝類,水産動物類,海産哺乳動物類,海草類)が該当する.つまり加工食品以外の飲食料品のことをいい,これらの生 鮮食品の表示は「生鮮食品品質表示基準」に基づいて行われる必要がある.主たる内容は,名称と原産地を表示するこ とにある.生鮮食品の中でも水産物については「水産物品質表示基準」に基づいて解凍また養殖の表示が求められ,玄米, 精米については「玄米及び精米品質表示基準」に基づいて産地,品種,産年,精米年月日,内容量の表示が求められる.