冷凍サイクルの書き方(2)

p-h線図に冷凍サイクルが書けると、 冷媒の性質をこの図によって簡単に求めることができます。 第2回目は「冷媒の状態の変化」について勉強します。

冷媒の状態の変化
冷凍サイクルの中で、冷媒の状態は次々に変化しています。代表的なものを以下に示します。

1) ガスの断熱圧縮(圧縮機)
圧縮機でガスを圧縮すると「等エントロピー線」に沿って1→2へ変化します。 これを「断熱圧縮」または「等エントロピー圧縮」と言います。 圧縮するに従いガスの圧力と温度は上り、高温高圧の「過熱蒸気」になります。 (注:蒸気・ガス・気体は同じ意味です)

2)圧力一定の放熱(凝縮器) 2→Bは凝縮器入口近くに位置し、冷媒は「過熱蒸気」、つまり高温のガスです。 B→Cで冷媒は次々に液化し「湿り蒸気」となります。液と蒸気は混って流れ(2相流)、温度は「凝縮温度」で一定です。 Cで全て液となります。C→3は「過冷却液」であり、飽和温度からの温度低下を「過冷却度」と言います。

過冷却度=凝縮温度―膨張弁前冷媒温度

3)冷媒液の膨張(膨張弁)
高圧の液を急に減圧すると「等エンタルピー膨張」します。 これは膨張弁やキャピラリを流れる冷媒の変化です。 3→E(飽和液線上)間は液のままで、温度も一定です。(1相流、単相流) E→4で冷媒は一部が蒸発して温度が下り、「湿り蒸気」となります。(2相流)

4)圧力一定の吸熱(蒸発器)
4→Aで冷媒液は熱を吸収して次々に蒸気になります。 この間、液と蒸気は混って流れ(2相流)、温度は「蒸発温度」で一定です。 Aで液は全て蒸発して飽和蒸気になります。 その蒸気は温度上昇して、蒸発器出口1では「過熱蒸気」となるのが一般的です。 飽和温度からの温度上昇を「過熱度」と言います。

過熱度=圧縮機吸込ガス温度―蒸発温度

   この冷凍サイクルは理想的なサイクルを示しています。 実際のサイクルでは、配管での熱の出入、圧力変化などがあります。 また圧縮機も実際には等エントロピー変化からずれた変化をします。

   冷凍サイクルの書き方から、 冷媒の状態の変化について2回シリーズでまとめてみました。 参考になりましたでしょうか。


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