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↓「最新号」の要旨を以下に紹介します。 



日本冷凍空調学会論文集Vol.33,No.4 (発行日:2016/12/31)
研究レビュー
主題 アイススラリーの流動と熱伝達特性
著者名 熊野寛之,浅岡龍徳
本論文では,アイススラリーの流動特性および熱伝達 特性に関する研究動向を,2000 年代後半以降の,詳細な 特性の把握を試みた研究や,応用的な研究に関する報告 を中心に,最近の展開について整理した.1990 年代に始 まったアイススラリーの基礎的特性の把握を踏まえ,近 年では,さらに詳細な物理現象の把握に繋がる試みがな されているとともに,汎用の熱交換器を対象としたより 実機に近い研究へと展開されている.これらの成果に基 づき,アイススラリーの特徴について概説した.さら に,アイススラリーを空調用途だけでなく,食品の冷 蔵・冷凍や医療分野などで幅広く活用するために必要な 検討項目など,今後の研究の展望についても言及した. キーワード 蓄熱,混相流,アイススラリー,流動特性,熱伝達 特性

原著論文
主題 SPMによるナノスケールで測定された銅板上で 破壊を伴わない氷の付着力の温度依存性
著者名 松本浩二,南谷和行,関根幸輝
冷却固体面への氷の付着は様々な状況で発生し,重大 な事故の原因にもなる.よって,氷の付着現象,特に金 属面への氷の付着力を解明することは非常に重要であ る.従来の金属表面への氷の付着力は,マクロスケール において金属表面−氷界面にせん断力を加えることで測 定されたが,この場合,測定される氷の付着力は氷を破 壊する力を含む見かけの値となってしまう.そこで,筆 者らは破壊を伴わない正確な氷の付着力を測定するため に,走査型プローブ顕微鏡を用いたナノスケールでの氷 の付着力の測定方法を開発した.本研究では,これまで の銅の表面エネルギーの温度依存性の結果とマクロス ケールでの従来の方法によるせん断応力の測定結果との 比較により,本測定方法により得られた銅板表面への破壊 を伴わない氷の付着力の温度依存性の妥当性を検討した. キーワード 氷,凍結,氷の付着力,銅,SPM,ナノスケール, 表面温度,表面エネルギー


原著論文
主題 円管内における相変化エマルションの層流熱伝 達特性
著者名 森本崇志,熊野寛之,富樫憲一
本研究では,高機能蓄熱熱輸送媒体として期待される 相変化エマルションの実用化を念頭におき,円管内流動 時の熱伝達特性についての調査を行った.相変化エマル ションの層流域における熱伝達特性に影響を及ぼす因子と して,壁面熱流束,相変化物質の質量割合および粒子の 状態を選び,それぞれの因子と熱伝達率の関係を明らかに することを目的とした.相変化物質にはn-hexadecane お よびn-octadecane の2 種類を用いた.相変化物質の融 解を伴った場合のヌセルト数は単相流体のヌセルト数経 験式より算出される値に比べ増加し,約1.3 〜 1.8倍と なった.加えて,相変化物質を20 mass%含有した相変 化エマルションのヌセルト数は数値解析より算出された 値と良好な一致を示した. キーワード 融解,熱伝達,対流,蓄熱,エマルション

原著論文
主題 TBAB 水溶液への電圧印加による過冷却解消 効果に関する研究
著者名 熊野寛之,後藤陽紀
本研究では,常温のTBAB 水溶液に金属電極を用い て電圧印加を行い,電圧印加後の試料を凝固点以下の 所定の温度で冷却することにより,TBAB 水溶液の過冷 却解消に対する電圧印加の影響を明らかとすることを目 的として,実験的に検討を行った.水溶液濃度,電圧を 印加する時間,電極の材質などを変化させ,過冷却解消 確率を求めた.その結果,銅電極を用いた試料では,電 圧を印加していない試料と比較すると,顕著な過冷却解 消効果が見られることがわかった.この効果は,生成す るTBAB 水和物の種類によらず有効であることがわかっ た.また,銅電極のほか,亜鉛,銀を電極とした場合に も,同様な効果が得られることがわかった.一方,アル ミニウム,炭素を電極とした場合には,高い過冷却解消 効果は見られなかった. キーワード 過冷却,凍結,蓄熱,TBAB 水和物,電圧印加,電極 材質

原著論文
主題 未利用エネルギー利用を目的とした吸収式氷ス ラリー生成機に関する研究
副題 臭化リチウム・水・エタノール系吸収式冷凍機 の性能評価
著者名 浅岡龍徳,藤村克己,舩山 蔵
低温の未利用熱の活用を目的とした吸収式氷スラリー 生成機を提案し,その性能評価を行った.この装置で は,冷媒をエタノール水溶液,吸収剤を臭化リチウム・ 水・エタノールの3 成分混合物とする吸収冷凍サイクル により,蒸発器内に氷スラリーを生成する.本報ではま ず,性能評価に必要な物性値であり,過去に報告のない 3 成分混合物の飽和蒸気圧の測定を行い,任意の組成・ 温度における値を近似的に求める推算式を得た.それを 用いて性能評価を行い,この装置の理論吸収冷凍サイク ルのCOP が一般的な吸収式冷凍機と同等であること, ダブルリフト型のサイクルを用いることで製氷温度 −15 ℃以下の用途まで適用可能であることを示した.ま た,必要な入熱温度が比較的低いことから,低温の未利 用熱活用の用途に適することを示した. キーワード 省エネルギー,氷スラリー,冷凍サイクル,吸収冷 凍機,氷蓄熱

原著論文
主題 氷スラリーによる高温平板の急速冷却に関する 研究
著者名 麓 耕二,高田信哉,川南 剛
本研究は,水平に置かれた加熱平板に対して,氷スラ リーの衝突噴流による急速冷却効果を明らかにすること を目的としている.特に実験では,氷スラリーの融解潜 熱の影響を明らかにするため,氷スラリーと同様の流動 様相を有し,相変化が生じない物質を混濁した擬似スラ リーを用いて同様の実験を実施し,結果を比較検討して いる.また,氷スラリーおよび擬似スラリーと比較する ため,固体物質を含まない単相液体による衝突噴流試験 を行っており,噴流量および氷充填率を含む各種実験条 件の下,熱伝達特性の検討を行った.実験結果より,氷 スラリーによる冷却効果が,他の試験流体よりも高いこ とが示された.また,流量と氷充填率を変化させ,平板 表面における氷スラリーの流動様相と熱伝達特性の関係 を明らかにした.特に氷充填率の比較では,氷充填率が 高く,かつ流速が低い場合,氷粒子が加熱平板面に停滞 し堆積することにより,流動は抑制されるが,融解潜熱 の影響により高い冷却効果が得られることがわかった. キーワード 氷スラリー,急速冷却,衝突噴流,熱伝達

原著論文
主題 樹脂製微小矩形管を用いた氷結晶方向制御
著者名 寺岡喜和,小泉公彦,榎本啓士,稗田 登
樹脂製矩形管内の過冷却水中を成長する氷単結晶がど のような結晶方向へ変化するかについて実験を実施し, 矩形管断面の長辺を含む内壁面に対してc 軸が垂直とな る結晶の出現頻度が高くなることを明らかにした.ま た,内壁面垂直方向と氷結晶c 軸のなす角度が15 度未 満となる確率について調べ,ステンレス製曲げ細管と比 較して,その確率が高く,低温度域においても結晶方向 の制御が可能であることを確認した.さらに,矩形管に 90 度のねじり加工を施したツイスト管で実験を行い, 高温度域での確率の低下があるものの,低温度域で大幅 に向上することがわかった.これらの結果から結晶方向 変化について議論し,使用温度に適したツイスト管を製 作することによって,高温度域においても高精度な結晶 方向制御の可能性を示唆した. キーワード 凍結,氷結晶成長,過冷却,結晶方向制御,結晶異方性


原著論文
主題 流動性を有する高温用潜熱蓄熱材の基礎特性
副題 エリスリトールスラリーの流動特性と蓄熱性能
著者名 阿部駿佑,浅岡龍徳,小笠原和貴
太陽熱や未利用熱の集熱・蓄熱に利用可能な,中低温 温度域に適する高性能な熱媒体として,エリスリトール をスラリー状にした高温用潜熱蓄熱材を提案する.実験 では,初期濃度50 〜 80 wt%のエリスリトールスラリー について,その流動特性と蓄熱性能について検討した. 流動特性について,エリスリトールスラリーは,適切な 固相率の範囲において,高い蓄熱性能をもちつつ流動性を 維持できることを確認した.蓄熱性能について,エリスリ トールスラリーは,純水やエリスリトール水溶液よりもみ かけの比熱が大きく高い蓄熱性能が得られることを確認し た.以上の検討の結果より,エリスリトールスラリーは高 い蓄熱性能をもちつつ液体と同じように配管輸送が可能で あり,熱媒体として有望であることが確認できた. キーワード スラリー,固液相変化,エリスリトール,圧力損失, 比熱,太陽熱,蓄熱


原著論文
主題 水平管内における混合冷媒R 245fa/R 134a の蒸発および凝縮特性
著者名 渡邊和英,地下大輔,井上順広
本研究は,高温ヒートポンプ機器やオーガニックラン キンサイクルを利用したバイナリー発電装置の作動媒体 として期待されている混合冷媒R 245fa/R 134a の水平管 内における蒸発および凝縮特性に関する実験的研究であ る. 混合冷媒R 245fa/R 134a は90/10,80/20,65/35, 55/45 mass%の4 組成を用いて,質量速度100 および 200 kg/(m2s),蒸発実験は平均飽和温度40 ℃,凝縮実 験は平均飽和温度60 ℃となる圧力条件下で実験を行っ た.混合冷媒の蒸発および凝縮熱伝達率は純冷媒に比し て低く,本実験の組成比範囲内においてR 134a の質量 分率の増大とともに低下した.同様に,混合冷媒の摩擦 圧力損失も純冷媒に比して小さく,R 134a の質量分率の 増大とともに減少した.混合冷媒の摩擦圧力損失は純冷 媒に対する従来の予測式で予測可能であった.溝付管内 における混合冷媒の熱伝達率は,純冷媒に比して溝形状 による伝熱促進効果は蒸発流では小さいが,凝縮流では 伝熱促進効果が認められた.また,冷媒組成比および質 量速度が変化した場合でも常に平滑管よりも高い値を示 した. キーワード 蒸発,凝縮,熱伝達,圧力損失,非共沸混合冷媒, R 245fa/R 134a,平滑管,溝付管


原著論文
主題 ハイブリット二重効用吸着冷凍サイクルの静的 解析
著者名 渡辺 史,秋澤 淳
本研究では,吸着熱回収型二重効用サイクルの80 degC 以下の性能を向上するために,圧縮機を組み込むことを 提案する.圧縮機が吸着冷凍サイクルの性能に及ぼす影 響を明らかにすることを目的とし,平衡状態に基づいた 静的解析により,脱着圧力がサイクル性能に及ぼす影響 を算出した.脱着圧力を調整できるため,熱源や冷却水 の外部温度によらず,吸着剤の吸脱着変化量が大きい部 分で稼働することができた.よって,ハイブリット吸着 冷凍サイクルは,効率のよい吸着冷凍サイクルを実現で き性能を向上させる.脱着圧力を調整することで,COP やSCE やエクセルギー効率を向上することができ,熱 源温度60 〜 80 degC において,COP が約1.2 得られる. キーワード 吸着冷凍機,圧縮機,ハイブリットサイクル,二重 効用,吸着熱回収,静的解析


原著論文
主題 Effects of pH on the Fluorescence Fingerprint of ATP
著者名 Md. Mizanur Rahman, Mario SHIBATA, Naho NAKAZAWA, Tomoaki HAGIWARA, Kazufumi OSAKO, Emiko OKAZAKI
Nowadays, fluorescence spectroscopy has been used as a potential method for nondestructive quality measurement of food materials. Fluorescence fingerprint(FF)of adenosine 5’-triphosphate(ATP)has been observed during the quality assessment of different raw food materials. Although the fluorescence spectra of ATP can be affected by various factors including pH, the details are not clarified yet. Thus, the study attempts to demonstrate the effects of pH(5.0. 8.0)on the FF data of ATP standard solutions(10, 5 and 1μmol/mL for both frozen and non-frozen states). The results of the present study revealed that the strength of the fluorescence signal was influenced by not only the concentration of ATP but also by the pH of samples. The highest fluorescence intensities were observed from the non-frozen ATP solutions at pH 5.0 for each concentration which declined drastically with increasing pH. The majority of frozen ATP samples showed the similar trends of wavelength conditions to get highest fluorescence intensity. Small pH changes affected the intensity and spectral characteristics of FF and it even shifted the peak wavelength conditions. The implementation of this method would be a help to ensure the validity of FF and optimize it as a technique that can be used to verify the effects of pH on many constituents of food. キーワード Frozen food, Instrumentation, Fluorescence fingerprint, Nondestructive, ATP, pH

日本冷凍空調学会論文集Vol.33,No.3 (発行日:2016/9/30)
[原著論文]
主題 冷凍メバチ肉の解凍前温度制御によるpH 維持 効果と解凍肉の品質

著者名 中澤奈穂,福島英登,和田律子,福田 裕, 岡ア惠美子
解凍収縮(チヂレ)を起こす高鮮度の冷凍魚肉を解凍 する方法として,保管温度を−10 〜−2 ℃付近まで一旦 上昇させ,一定期間経過後に解凍する温度制御方法を筆 者らは検討している.本方法は解凍収縮の緩和ならび に解凍ドリップの抑制に有効であるが,さらに肉pH の 低下を抑制し,高pH を維持する可能性が示唆されてい る.そこで本研究では,高鮮度の冷凍メバチ肉を−10 ℃ 下で0 〜 10 日間保管してから解凍し,解凍前後のNAD およびATP 含量の変化から,pH を維持する条件を調 べた.その結果,−10 ℃下で2 日間以上保管すると, NAD 含量が0.2μmol/g 未満に減少し,解凍後も高pH (6.5 以上)を維持することが確認された.NAD が減少し たことで嫌気的解糖反応が停止し,ATP 分解および乳酸 生成が抑制されたことがその一因と推測された.なお, 官能評価の結果より,解凍メバチ肉は高pH 維持によっ て刺身としての食感が向上することが示唆された.
キーワード
解凍,凍結食品,メバチ,pH,解凍前保管,NAD, ATP,テクスチャー

[原著論文]
主題 CO2冷媒用フィンチューブ型蒸発器の冷媒温度 分布に関する研究

著者名 渡部道治,石ア 聡,北村哲也
CO2 ヒートポンプ給湯器の高効率化を目的として伝熱 管を細径化した蒸発器を開発し,圧力損失の抑制のため に冷媒流路を従来の3 パスから6 パスに増やした.これ に伴い,隣接する伝熱管の間のフィンを介した熱伝導と 風速分布が,冷媒パスの温度分布のばらつきと,蒸発器 性能に与える影響を評価した.その結果,両者の影響を 抑制するパス構成によって,冷媒パスの温度分布のばら つきを低減できることを明らかにした.また,冷媒温度 分布が均一化したパス構成は,本稿で定義する過熱率が 0.6 以上の領域で蒸発器出口圧力を維持する特性を有し, 従来仕様に比べてサイクル動作点の蒸発器出口圧力を 40 kPa,過熱率を0.7 ポイント向上できることを示した.
キーワード
ヒートポンプ,給湯器,熱交換器,蒸発器,自然冷媒, 冷媒分配

[原著論文]
主題 Effect of Freezing and Immersion in Agro- Product Homogenate Treatment on the Quality of Octopus(Octopus vulgaris)

著者名 Haruka AOYAMA, Mami NAGAI, Kimie ATSUZAWA, Yasuko KANEKO, Shigeaki UENO
Effects of immersion in agro-products(kiwifruit, Japanese radish, Maitake mushroom and pineapple) homogenates and freezing on the qualities of raw octopus were investigated. Octopus muscle fibers observed under TEM were significantly destroyed after freezing at −20 ℃. Immersion of octopus in homogenates also destroyed octopus muscle fibers. The initial modulus of the octopus samples, as measured with creep meter, decreased significantly after immersion in homogenates of agro-products and freezing. However, the individual initial modulus of the samples did not show significant difference among each other. Taurine and glutamic acid concentrations were measured by HPLC and dabsylation method. The estimated taurine concentrations of the samples in all tested octopus were similar, while the glutamic acid concentrations in selected samples increased after the application of the immersion in agro-product homogenates and freezethawing treatment.
キーワード
Octopus, Softening, Agro-product, Freezing, Taurine, Glutamic acid

[原著論文]
主題 着霜環境下におけるスプリッタープレートによ る円管の伝熱性能向上

著者名 吉村祐亮,吹場活佳,佐藤颯大
着霜環境下における円管の熱伝達性能を向上させるた め,円管下流にスプリッタープレートを付加する手法を 提案し,この手法を評価するための基礎実験を行った. 比較対象となる単円管に加え,プレート長さが円管径の 1.0/2.0 倍のスプリッタープレート付き円管,ならびに同 じ伝熱面積をもつクロスフィンチューブを用意し,伝熱 性能および圧力損失を評価した.−20 ℃および−196 ℃ の冷媒を用いて実験を行った結果,スプリッタープレー ト付き円管は,同じ伝熱面積をもつクロスフィンチュー ブと比較し圧力損失の増加を抑えることが可能であり, 結果として単位圧力損失当たりの熱交換量を増大させる ことがわかった.
キーワード
熱伝達,湿り空気,圧力損失,着霜,円管

[原著論文]
主題 冷媒R 245fa の水平平滑管内蒸発・凝縮流に 関する実験

著者名 渡邊和英,地下大輔,井上順広
本研究では,内径8.32 mm の銅製平滑管を用いて, 冷媒R 245fa の水平平滑管内の蒸発および凝縮流におけ る熱伝達と圧力損失特性に関する実験を行った.蒸発実 験は飽和温度30 〜 40 ℃,凝縮実験は飽和温度40 およ び60 ℃の条件下で,質量速度50 〜 300 kg/(m2s)の範 囲で変化させて行った.飽和温度40 ℃において,摩擦 圧力損失は蒸発および凝縮流における差異は小さく,質 量速度およびクオリティの増加,飽和温度の低下とと もに増加した.熱伝達率も同様に質量速度およびクオリ ティの増加,飽和温度の低下に伴い増加するが,管内の 流動様相によって熱伝達特性が大きく異なることを確認 した.また,蒸発・凝縮流の摩擦圧力損失および熱伝達 率の実験値と従来の予測式との比較を行ったところ,冷 媒R 245fa の蒸発・凝縮流の摩擦圧力損失および蒸発熱 伝達率は従来の予測式でよく相関した.しかし,凝縮熱 伝達率は比較したいずれの予測式も強制対流凝縮が支配 的な低飽和温度,高質量速度および高クオリティ域では 過小に予測する傾向を示した.そのため,気液密度比お よび流動様相を考慮し,強制対流凝縮項を修正した冷媒 R 245fa に適用できる新たな予測式を提案した.
キーワード 蒸発,凝縮,R 245fa,圧力損失,熱伝達,高温用, ヒートポンプ,相関式

[原著論文]
主題 複数のMn系磁性材料を用いた室温磁気冷凍機 の作動温度範囲

著者名 岡村哲至,有田照平,大久保達也,「 相哲, 平野直樹,川南 剛,山下敬一朗,大西孝之, 副島 慧
室温磁気冷凍機で用いる磁性材料の候補として近年, マンガン系化合物が開発された.この材料は単位体積あ たりの磁気エントロピー変化量が大きい一方で,大きな 磁気熱量効果を発揮する温度範囲が比較的狭いという特 性を持つ.本研究では,キュリー点温度の異なる複数の マンガン系材料を配列したときの,磁性材料充填ダクト 両端での温度差(温度スパン)について,実験によって 明らかにした.その結果,複数の材料を配列したほうが, 単一材料を用いた場合より大きな温度スパンが得られ, 磁性材料充填ダクト内の温度分布が,各材料の磁気エ ントロピー変化量が最大となる温度付近に対応している ことがわかった.
キーワード 磁気冷凍,磁気熱量効果,磁性材料,マンガン系化 合物,ノンフロン

[原著論文]
主題 III 型不凍タンパク質の低濃度水溶液中で成長す る氷結晶ベーサル面上のピット形成過程の観察

著者名 小山寿恵,稲田孝明
寒冷地の生物が保有する不凍タンパク質(AFP)は, 水の凍結を抑制する機能を持つことで知られ,最近では その応用技術に期待が集まっている.魚由来のAFP 水 溶液中で単結晶氷を成長させると,氷結晶のベーサル面 上にピラミッド状のピットが形成される.本研究では, 0.5 mg/mL の魚由来III 型AFP 水溶液中でピット形成 過程を観察し,分子的にラフな状態のベーサル面では ピット形成がほとんど見られないなど,5 mg/mL の条件 で確認できなかったいくつかの現象を見出した.AFP 分 子の氷表面への吸着速度や吸着密度がAFP 濃度に依存 するため,濃度によって異なる結果が得られたと考えら れる.
キーワード 氷結晶,凍結,吸着,不凍タンパク質,結晶成長

[原著論文]
主題 数値シミュレーションとMRI 測定による過冷却 解消後の氷結晶の成長に関する考察

著者名 小林りか,Arlyn Dublin MACASERO, 松川真吾
食品の高品位冷凍技術として有望な過冷却現象を利用 した凍結法における氷結晶の生成と成長挙動を理解す るために,数値シミュレーションとMRI(核磁気共鳴イ メージング)測定を行った.過冷却解消後の氷核の発生 および氷結晶の成長についての数値シミュレーションで は,外部温度の低下が速い場合には,試料外縁部に氷核 が発生し,そこから氷結晶がバルク状に成長した.一 方,外部温度の低下が遅い場合には,試料内部にも氷核 が発生し,それらがファイバー状に伸びて試料内部に広 がったのち,外縁部からバルク状の氷結晶が広がった. 2 重円筒状構造を持ったテスト試料のMRI の測定結果 からは,外層の過冷却が解消してファイバー状の氷結晶 が広がると,内層は液体状態のまま徐々に温度が上昇 し,この時,外層の内層に接している部分から氷結晶が バルク状に成長することが観察された.
キーワード 氷結晶,過冷却,数値シミュレーション,MRI

[原著論文]
主題 Effect of Freezing and Thawing on the Quality of Durian(Durio zibethinus Murray) Pulp

著者名 Jackie Lou TAGUBASE, Shigeaki UENO, Yumiko YOSHIE, Tetsuya ARAKI
The effect of freezing, and iced and hot water thawing on the quality of durian pulp was investigated. Mature durian pulp was removed with seeds, vacuum-packed, and frozen at −20 ℃. Thawing in iced water(〜0 ℃) and hot water(〜90℃)was then applied and the quality of the pulp was assessed based on physicochemical properties(pH, moisture content, soluble solids concentration(SSC), color, sugar content(sucrose, glucose, and fructose), and organic acid conten(t succinic acid and citric acid)), texture and smell profile. Overall, the freezing and thawing conditions, particularly the hot water thawing, posed an effect to the moisture content, color, and smell profile of the durian pulp. A significant increase in the moisture content, as well as a decrease in the color brightness was observed. Furthermore, the hot water-thawing process also induced slight variation to the smell attribute and strength of the entirety of smell. Although the sugar content significantly decreased after freezing and thawing, it was only affected by the freezing process but not by the thawing conditions. No significant variations were noted in the pH, SSC, organic acids and texture of the frozen durian pulp.
キーワード
Freezing, Thawing, Durian, Texture profile analysis, Smell analysis, E-nose

[原著論文]
主題 Effect of Freezing Storage and High Hydrostatic Pressure on Microbial Viability in Liquid Whole Egg-Sucrose Mixture

著者名 Shigeaki UENO, Mayumi HAYASHI, Norihito KIMIZUKA, Toru SHIGEMATSU
Effects of freezing storage and high hydrostatic pressure on microbial(Escherichia coli)viability in liquid whole egg(LWE)-sucrose mixture were investigated. Liquid whole egg with different sucrose concentration (0, 20 or 50 wt%) was pressurized at 400 MPa and then frozen at −20 ℃ for a week. The viable cell count was estimated by monitoring the changes in absorbance values during cultivation at 660 nm with 30-min interval. Survival curves obeyed the first-order inactivation kinetics. The viable cell counts in frozen-thawed LWE-sucrose mixture was lesser than those of unfrozen samples. Effect of sucrose content on high-pressure-mediated inactivation varied at 20 wt%. Thermal analysis of LWE-sucrose mixture showed that the thermal denaturation enthalpy of LWE-sucrose content of 20 wt% was highest in all tested conditions, which also showed protective effect against thermal denaturation. LWE-sucrose(20 wt%)mixture has protective effects on pressure inactivation of E. coli, while LWE-sucrose(50 wt%)showed inactivation effect based on the strong dehydration ability on E. coli and LWE mixture by osmotic pressure.
Liquid whole egg, Sucrose, Freezing, Denaturation, Inactivation

[原著論文]
主題 凍結解凍後保存した大豆におけるGABA 生成 反応の速度論的解析

著者名 上野茂昭,笹尾翔士,荒木徹也,厚沢季美江, 金子康子,猪龍夏子
本研究では,食品加工または前処理として非熱技術を 用いて細胞構造に損傷を与え,大豆内部におけるグルタ ミン酸からγ-アミノ酪酸(GABA)への酵素反応を促 進し,GABA 生成反応の速度論的解析を行うことによ り,GABA 生成の要因を明らかにすることを目的とし た.水に予備浸漬した大豆を種々の凍結雰囲気温度にお いて凍結し解凍後,保存中のGABA 生成挙動を分析し た.凍結雰囲気温度が低いほど組織が破壊され,保存中 にGABA 濃度は増大した.GABA 生成反応は,大豆内 部のpH 低下に伴うみかけのグルタミン酸脱炭酸酵素活 性の上昇により促進されたと考えられた.
キーワード
大豆,凍結,γ-アミノ酪酸,pH,速度論的解析

[原著論文]
主題 咽頭冷却による脳低温療法のための工学的検討
副題 咽頭冷却用カフ内の流れと冷却性能について

著者名 麓 耕二,武田吉正,橋本裕志
本研究は,重症脳損傷患者を対象とした,患者の脳温 を33 ℃程度に保持することにより脳の2 次的損傷を防 ぎ,かつ神経学的予後が良好な治療方法の一つとされて いる脳低温療法のための医療器具開発を目的としてい る.特に脳低温療法のために開発された咽頭冷却用カフ に対し,工学的な見地に基づき諸特性の検討を行った. なお,カフは咽頭の約10 mm 外側に位置する総頸動脈 を冷却でき,脳温を選択的に低下させることができる. 本論文では,カフ内部における灌流液の流動様相および 温度分布を明らかにするため,3 次元熱流動シミュレー ションを実施した.結果より,数値シミュレーションは 実際の流動様相を良く再現できることを確認した.さら にカフ形状の違いによる,カフの局所的な冷却効果を明 らかにした.
キーワード
脳低温療法,咽頭冷却,医療工学,数値シミュレー ション,熱伝達

日本冷凍空調学会論文集Vol.33,No.2 (発行日:2016/6/30)
[原著論文]
主 題:揺動ピストン型ロータリ圧縮機の機械力学解析 

著 者:澤井 清・土井 学・石井徳章・中井啓晶・森本 敬
要 約:
エアコンで多く使用されているローリングピストン型ロータリ圧縮機は,シンプルな構造で高い効率を有する.最近,筆者らは,ベーンとピストンを回り対偶で組み合わせ,ピストンの自転を拘束する揺動ピストン型ロータリ圧縮機を提案している.ピストンの自転を拘束すると,ピストンによる熱輸送が抑制されて吸入冷媒の加熱が減少し,体積効率向上の可能性があると考えられる.本研究では,揺動ピストン型ロータリ圧縮機の機械力学解析を行い,部品間に作用する力,ベーンとピストンの挙動および機械効率を調べた.その結果,揺動ピストン型ロータリ圧縮機はローリングピストン型ロータリ圧縮機と比較し,定格条件において少し高い機械効率を有することが明らかになった.
キーワード:省エネルギー,ロータリ圧縮機,揺動ピストン,機械力学解析,機械効率

[原著論文]
主 題: HCFO-1233zd(E)とHCFO-1233xfの飽和蒸気圧力および飽和液体密度の測定 

著 者:田中勝之 
要 約:
 HCFO-1233zd(E) [tans-1-Chloro-3,3,3-trifluoropropene]とHCFO-1233xf [2-Chloro-3,3,3-trifluoropropene]の飽和蒸気圧力と飽和液体密度を300 K〜400 Kにおいて10 K間隔で抽出法により測定した.得られた飽和蒸気圧力の範囲は,HCFO-1233zd(E)について136〜1793 kPa,HCFO-1233xfについて167〜1981 kPa,また飽和液体密度の範囲は,HCFO-1233zd(E)について942〜1258 kg?m-3,HCFO-1233xfについて914〜1242 kg?m-3であった.測定不確かさは,温度0.028 K,圧力0.4〜3.1 kPa,密度0.9〜1.4 kg?m-3と見積もった.測定結果を用いて,飽和蒸気圧力と飽和液体密度の相関式をそれぞれ作成したところ,飽和蒸気圧力測定値の標準偏差はHCFO-1233zd(E)については0.3 kPa以内,HCFO-1233xfについては0.9 kPa以内,また飽和液体密度測定値の標準偏差はHCFO-1233zd(E)については0.4 kg?m-3以内,HCFO-1233xfについては0.2 kg?m-3以内であった.
キーワード:冷媒,熱物性,HCFO-1233zd(E),HCFO-1233xf,飽和蒸気圧力,飽和液体密度,相関式

[原著論文]
主 題: 冷媒R32の水平平滑細径管内の流動様相および 流動沸騰特性に及ぼす管径の影響 

著 者:地下大輔・佐川賢太郎・井上順広 
要 約:
 本研究では,内径2.2および3.5 mmの水平平滑細径管内での冷媒R32の沸騰熱伝達特性,圧力損失特性および流動様相を実験的に明らかにするとともに,それらに及ぼす管径の影響について検討した.熱伝達率の測定は質量速度50〜400 kg/(m2s),熱流束5〜20 kW/m2の条件で,摩擦圧力損失の測定は質量速度100〜400 kg/(m2s),クオリティ0.1〜0.9の非加熱条件下で行った.また,非加熱条件下で伝熱管出口での流動様相の観察も行った.流動様相はプラグ流,波状流および環状流が観察され,管径が小さいほど,より広いクオリティでプラグ流が観察された.熱伝達特性に及ぼす管径の影響は高質量速度条件に比べて低質量速度条件で大きいこと,また,細径化にともなう摩擦圧力損失の増加割合は高質量速度条件に比べて低質量速度条件でわずかに大きいことを明らかにした.
キーワード:沸騰,熱伝達,圧力損失,流動様相,細径管,R32

[原著論文]
主 題: LED照明が業務用建物の空調負荷とエネルギー消費に与える影響
−第1報:室内方向への放熱量の計測と空調負荷の推定− 

著 者:宮岡洋一・中山 浩・寺西勇太・吉澤 望・廣田真史 
要 約:
本研究では,近年急速に普及しているLED 照明が業務用建物の空調負荷やエネルギー消費に及ぼす影響を,従来型照明との比較の下に明らかにすることを目的とする.本報では,業務用建物に多く利用される各種の従来型照明とLED照明に対し,室内方向への放熱量を計測するとともに,計測結果を用いてBESTにより建物内の空調負荷を求めた.その結果,LED照明における室内方向への放熱割合は蛍光灯と同程度であり,ダウンライトで消費電力の18 〜 28 %,直管型照明で約50 %であった.また,家電量販店舗において蛍光灯をLEDに交換することにより,通年冷房負荷は減少する一方で暖房負荷は増加し,年間の冷房負荷と暖房負荷の割合が逆転する可能性のあることを見出した.
キーワード:負荷計算,商業建築,空調設備,省エネルギー,LED照明,BEST

[原著論文]
主 題:室内空間における冷媒漏洩濃度実測と数値解析手法の確立  

著 者:服部敬太・福岡基彦・富岡計次・村田勝則・平良繁治 
要 約:
 HFC32冷媒(以下,R32)は先進国における空調機の現行冷媒R410A(50wt%R32+50wt%R125) に対し,地球温暖化係数が約1/3と環境負荷の少ない冷媒である. しかしながら,R32は微燃性である故,空調機への採用にあたり,各種実験や解析による検証を通じて安全性をしっかりと評価しなければならない. 本報では,ハウジングエアコンのうちリスクが大きいとされる家庭用床置き室内機を対象として,室内機からのR32漏洩時における可燃リスクの評価をする為に,室内空間における冷媒漏洩濃度分布について実機システムを用いた実験的検証とそれに対応するシミュレーション手法の確立した. 本手法により,空調機内の詳細構造を再現せずに漏洩冷媒の機内での希釈効果を考慮すると共に,解析時間を大幅に短縮しつつ,実現象を捉えることが可能となった.
キーワード:数値流体力学, 冷媒, 空気調和機, R32, 漏洩, リスクアセスメント

[原著論文]
主 題:数値流体解析による食品用大型フリーザー庫内冷気流れの解明と設計へのフィードバック   

著 者:益田和徳・佐藤 浩・津幡行一・前野一夫
要 約:
 エアブラスト式の食品用フリーザーは,強制的に冷風を対象物に当てることで食品の急速凍結を可能としているが,産業用の大型フリーザーでは庫内が広くかつ構造が複雑であり,エアフローの制御が非常に難しい.また,最適な庫内構造設計のためにエアフローの制御方法の検証を実機にて行うには膨大な時間と費用が掛かるため,主として経験則に基づいた機械設計がなされている現状がある.そこで本研究では,汎用ソフトを流れ要素実験と相補的に用いた数値流体解析モデルを作成して風の流れを解析し,短時間でフリーザーの最適設計の検証を可能とするCFDモデルを提案した.さらに実機試験機による実測データと比較検証することで,同モデルの妥当性を証明した.
キーワード:数値流体力学, 食品冷凍応用装置,3次元流れ場,シミュレーション,可視化

[原著論文]
主 題: VRF型圧縮式ヒートポンプ空調機の非定常特性解析
−VRF型に固有な非定常特性の解明−  

著 者: 松本邦康・大野慶祐・齋藤 潔
要 約:
 近年,ビルや商業施設等の業務用の施設では,冷媒の相変化を利用した圧縮式ヒートポンプ空調機の導入が進んでいる.特に複数台の室内機を有するVRF(Variable Refrigerant Flow:冷媒流量可変)型空調機(以下VRF型)は,個別に制御が可能なこと等の理由により,大規模の建物等でも導入が進んでいる.しかし,既報1)で述べたように室内機の運転状態変化が他の室内機に影響を与えるため,時々刻々と変化する運転条件に対応した最適な運転条件を判別することが非常に困難となる.また,冷媒流量が大きく変化するために,冷媒の分布がシステムに大きく影響することとなる.そこで,本稿では,数理モデルにより非定常特性が評価可能なモデル構築し,実験による評価試験でモデルの妥当性を検証するとともに,本モデルを用いて非定常特性の評価を行う.室内機の運転台数変化というVRF型空調機に特有な事象について,計算により運転を再現できることを確認し,システムへの影響を評価した.
キーワード:測定,冷凍サイクル,非定常解析,冷媒エンタルピー法,ヒートポンプ

[原著論文]
主 題: 吸着材デシカントロータ内温度分布の測定とその考察  

著 者: 児玉昭雄・辻口拓也・大坂侑吾
要 約:
デシカントロータ内で生じる熱・物質同時移動現象を可視化する一手段として,ロータ内の空気温度分布を測定し,その解釈を試みた.まず,最適回転数では,ロータの空気流れ方向の全域が再生温度に達しているわけではなく,空気流れ方向位置によって温度スイングの温度域と幅が異なることを確認した.また,パージ空気は,吸着空気と同じ方向で供給する必要があり,逆方向すなわち再生空気入口側からパージした場合には,ロータ内部で不都合な熱移動が生じ,パージによる吸着材冷却効果が消失する.さらにS字形の吸着等温線を示す吸着材ロータでは,条件によって再生ゾーンで他と異なる傾向の温度変化が観察される.これは再生空気の相対湿度が,その流れにおいて吸着量が急変する相対湿度域に到達した際に生じる現象として理解される.以上,ロータ内温度分布は水蒸気吸脱着現象を色濃く反映し,デシカントロータ内の熱・物質同時移動現象の可視化手段として有用である.
キーワード:デシカント空調, 吸着,吸着材ロータ, 温度分布, 熱・物質移動

[原著論文]
主 題: 活性炭?高圧冷媒系吸着過程における熱物質移動解析シミュレーション  

著 者: 中本大志朗・宮崎隆彦・Bidut Baran Saha・小山 繁
要 約:
 吸着冷凍機の小型化と性能向上を目指した基礎的研究として,活性炭による高圧冷媒ガスの吸着 速度を実験及びシミュレーションによって解析した.吸着速度は吸着に伴う圧力変化と吸着発熱に よる吸着材温度の上昇の影響を受ける.そこで円筒状吸着器内の熱物質移動解析シミュレーション モデルを構築し,温度,圧力の変化を考慮した吸着速度解析を行った.吸着量が圧力,温度変化の 影響を受ける場合に,本シミュレーションモデルは線形推進力近似のみによる解析モデルよりも実 験値を精度よく再現することができた.また,円筒の半径方向温度分布の影響について考察した結 果,数値解析において半径方向の分割数を減らしても吸着量の体積平均値については実験値の再現 性に大きな影響を与えないことが分かった.
キーワード:吸着,吸着冷凍機,物質移動,活性炭,シミュレーション

[原著論文]
主 題: 低露点環境向けデシカント空調の制御に関する研究
−第2報:数値計算による運転変数のパラメータスタディ−  

著 者: 伊藤 卓・大曲康仁・山口誠一・齋藤 潔
要 約:
 本研究は,低露点環境向けデシカント空調を対象に給気露点温度制御を構築することが目的である.特に省エネルギーを実現できるような制御を検討する.省エネルギーとなる制御を検討するためにはまず, 給気露点温度制御を行わない場合でのシステムの消費エネルギーの特性を調査する必要がある.そこで本論文では,数値シミュレーションによりデシカント空調の運転変数に対するシステムの消費エネルギーを評価する. 運転変数をロータ回転数,再生外気取込量,再生温度,パージ風量,処理外気冷却温度の5つとして,各運転変数と消費エネルギーである冷却熱量と加熱熱量の関係を評価した.その結果, 再生外気取込量と再生温度を下げることでエネルギー消費が抑えられることや,ロータ回転数は給気露点温度には大きく影響するが省エネルギーには寄与しないなど,基本的なシステムの消費エネルギーの特性を把握した.
キーワード:デシカント空調, 除湿, 制御, 省エネルギー, 数値シミュレーション

日本冷凍空調学会論文集Vol.33,No.1 (発行日:2016/3/31)
[研究レビュー]
主題 微燃性冷媒の安全性評価
著者名 藤本 悟・平良 繁治・滝澤 賢二・今村 友彦・党 超鋲

要 約:
地球温暖化の防止のために,冷凍空調用機器に使用されている冷媒の低GWP 化が求め られている.低GWP 冷媒として,R1234yf,R1234ze(E),R32 等の冷媒や,それらの 混合冷媒が候補として考えられているが,これらの冷媒は微燃性を有している.微燃 性冷媒の幅広い実用化のためには,燃焼性に関する基礎データを集積し,安全性の評 価手法を確立することが不可欠である.本レビュー論文は,国内外における温暖化防 止のためのHFC 冷媒規制の動向を解説するとともに,冷凍空調機器の微燃性冷媒を使 用時の安全性評価を行う際に必要な冷媒の着火と消炎に関する基礎燃焼特性および冷 媒漏洩時の着火可能性についての研究成果を解説した.
キーワード:冷媒, 環境負荷, 低GWP 冷媒, 安全性, 冷媒規制, 燃焼特性, 着火特性

[原著論文]
主題 微燃性冷媒使用の家庭用エアコンリスク評価手法と結果
著者名 高市 健二・平良 繁治

2011 年から開始した家庭用エアコンの燃焼性ハザードに対するリスク評価は対象製 品の全てで評価を終了した.本レポートではそのリスクアセスメントの評価手法につ いて概括し,冷媒リークシミュレーション,着火源評価,FTA の評価などを通して, 壁掛けエアコンでの各微燃性冷媒によるリスク評価結果が得られた過程を示す.また 家庭用エアコンでリスクが高い1 対1 接続の床置き形エアコンのFTA 結果から見直し やリスク低減策により着火確率が許容値以下になった経緯も記述する.
キーワード: ルームエアコン, 冷媒, リスクアセスメント, 微燃性冷媒, R32, R1234yf

[原著論文]
主題 微燃性冷媒を用いたビル用マルチエアコンのリスクアセスメント
著者名 矢嶋 龍三郎・木口 行雄・関根 卓・佐々木 俊二・伊藤 俊太郎・山下 浩司・観音 立三

地球温暖化影響の低い微燃性冷媒R32 を使用したビル用マルチエアコンのリスクア セスメントを行い,室内・室外の使用時や保管・据付・修理・廃棄時における,最も 厳しい各設置ケースにおける着火確率を求めた.冷媒の漏洩速度や急速漏洩の発生確 率は,市場で漏洩事故を起こした製品の穴径調査や急速漏洩に伴う顧客やサービスマ ンの申告数から求めた.未対策の事故確率が許容値を超えた場合には,事故の発生確 率を100 年に1 回以下とする安全対策を提案した.これらの安全対策により,着火事 故の発生を許容レベル以下のリスクに低減出来ることを明らかにした.今後は,これ らの安全要件を技術基準としてまとめ,業界として確立していくことが望まれる.
キーワード: 冷媒, 微燃性, ビル用マルチエアコン, R32, リスクアセスメント, 温 暖化, GWP, 安全
[原著論文]
主題 微燃性冷媒を使用したチラーのリスクアセスメント
−許容可能な火災・火傷事故発生確率に抑えるための安全対策−
著者名 上田 憲治

僅かな燃焼性を有する冷媒R1234ze(E),R1234yf,R32 は地球温暖化係数が低く, ヒートポンプへの採用が期待されている.これら冷媒を機械室に設置される水冷チ ラーと屋外に設置される空冷ヒートポンプに使用した場合の火災・火傷等の事故確率 を算定した. 算定には同一構造となる従来機器の漏洩事故統計データを分析し,急速 漏れ,噴出漏れ事故を対象とした.着火源の抽出では同時期に報告された微燃性冷媒 の燃焼特性を用いた.その結果,適切な機械換気を備えることで事故確率は3.89× 10-12 件/台・年となり安全とされる値より十分小さいことが判った.
キーワード: リスク評価, 低GWP 冷媒, 微燃性, チリングユニット, ターボ冷凍機, ヒートポンプ

[原著論文]
主題 Experimental Investigation on Characteristics of Shock Wave Inside Ejectors
著者名 Zuozhou CHEN・Akihiko SHIMIZU・Eiji HIHARA・Chaobin DANG

The positions where shock waves happen inside ejectors vary based on working conditions and dimension of ejectors, and the influence from shock waves occur would finally affect the overall performance of ejectors. In this research Schlieren photography method is adapted to visualize the characteristics of shock waves inside the ejector. Comparison of driving flow characteristics between converging nozzle and de Laval nozzle are conducted in the free-jet condition, and the converging nozzle is applied into the ejector to investigate driving flow expansion inside mixing section. By combining visualization experiment and numerical simulation results, the characteristics of shock waves occur in the driving flow are concluded, and the relationship between driving flow expansion and ejector`s performance is also discussed in this research.
キーワード: Ejector, Visualization, Schlieren photography, CFD, Shock wave

[原著論文]
主題 ゴマサバおよびマサバ筋肉の硬さと凍結時の氷結晶生成との関係
著者名 橋本 加奈子・小林 正三・山下 倫明

凍結貯蔵したゴマサバとマサバの肉質の違いを明らかにするため,両種の筋肉のpH および硬さを測定し,凍結肉における氷結晶生成を観察した.未凍結肉においてpH は両魚種間で差違は認められなかったが,普通筋横断面に対する破断強度はマサバ筋 肉に比べてゴマサバ筋肉の方が低かった.凍結中の普通筋における氷結晶サイズはマ サバ筋肉に比べてゴマサバ筋肉の方が大きかった.凍結貯蔵した筋肉を解凍し,普通 筋横断面に対する破断強度を測定した結果,マサバ筋肉に比べてゴマサバ筋肉の破断 強度は低かった.以上の結果から,凍結中の普通筋の氷結晶サイズは,マサバ筋肉に 比べて,ゴマサバ筋肉の方が大きかったことから,ゴマサバ筋肉の組織構造はマサバ のそれと比べて脆弱であり,凍結貯蔵中に比較的大型の氷結晶が形成されることが推 定された.また,未凍結の鮮魚および凍結解凍後のいずれの筋肉においても,マサバ 筋肉に比べて,ゴマサバ筋肉の方が柔らかかったことから,凍結前の筋肉の組織構造 が凍結解凍後の品質にも影響を及ぼすと考えられた.
キーワード: 氷結晶, 冷凍, 破断強度, ゴマサバ, マサバ

[原著論文]
主題 2成分系混合作動流体 R 245fa + R 134a 系の熱力学的性質の測定
−第1報:気液共存曲線および臨界軌跡の測定−
著者名 東 之弘

オーガニックランキンサイクル用作動媒体として期待されている2成分系混合作動流 体R 245fa +R 134a 系の熱力学的性質である気液共存曲線および臨界点を,90.00, 70.00, 50.00, 30.00, 20.00 mass%R 245fa の5組成について測定した.気液共存曲 線は,密封された圧力容器内の試料のメニスカスの消滅を,直接肉眼で観察すること により決定した.また,メニスカスの消滅位置および臨界タンパク光による着色の様 子を注意深く観察することにより,臨界温度および臨界密度を決定した.さらに決定 した5組成の臨界定数を使って,R 245fa + R 134a 系混合作動流体の臨界定数の組 成依存性を表す臨界軌跡を決定し,その相関式も作成した.
キーワード: 熱物性, 冷媒, R 245fa + R 134a 混合作動流体, 気液共存曲線, 臨界 軌跡

[原著論文]
主題 2成分系混合作動流体 R 245fa + R 134a 系の熱力学的性質の測定
−第2報:PρTx 性質および臨界圧力の測定−
著者名 東 之弘・赤坂 亮

オーガニックランキンサイクル用作動媒体として期待されている2成分系混合作動流 体R 245fa + R 134a 系のPρTx 性質を,90, 70, 50, 30, 20 mass% R 245fa の5組成について, 等容法を利用した測定 装置を使って測定した.また,PρTx 性質の測定においては,メニスカスの消滅の観 察で決定した臨界 密度近傍での等容線に沿った測定も行い,同じくメニスカスの消滅の観察により決定 した臨界温度に 対応する圧力として臨界圧力を決定した.さらに決定した臨界圧力の組成依存性を表 す臨界軌跡の相 関式を作成した.
キーワード: 熱物性,冷媒,R 245fa + R 134a 混合作動流体,PρTx 性質,臨界圧 力

日本冷凍空調学会論文集Vol.32,No.4 (発行日:2015/12/31)
[原著論文]
主題 CMC添加が水の凝固速度に及ぼす影響
著者名 大河誠司・遠藤恵介・寳積 勉

要 約:
保冷材は現在,おもに食品分野などで物質を低温に保持し鮮度を保つ目的で広く用いられている.溶媒は主に水や食塩水であり,その中にゲル化剤を2%ほど加えることにより,溶媒の分離と破損に伴う溶媒の散乱を防ぐことができる一方,凝固速度を抑制してしまう.本研究では数種類のナトリウムCMCを保冷材に添加するゲル化剤として用い,ゲル化剤の濃度,エーテル化度,重合度,動粘性係数などが凝固速度に及ぼす影響について検討した.その結果,重合度が高いほど,またエーテル化度が高いほど同じ動粘性係数でありながら凝固速度が高くなることを明らかにした.また,一般的にはCMCの濃度が高いほど凝固速度は低くなることが知られているが,高エーテル化度のCMCにおいては,低濃度域では凝固速度が純水より高くなる場合のあることを明らかにし,その原因について考察している.
キーワード:水,ゲル化剤,凝固速度,重合度,エーテル化度,動粘性係数,濃度

[原著論文]
主題 中性子ラジオグラフィを用いた除霜時の融解水挙動の評価
著者名 松本亮介・吉村智也・梅川尚嗣・網 健行・伊藤大介・齊藤泰司

要 約: フィンチューブ熱交換器の強制対流下の除霜において,霜および融解水から構成される霜層の水分 分布を中性子ラジオグラフィにより測定した.10 分間の除霜間の5 秒ごとの水分分布を定量評価した. さらに除霜開始時における水分分布との差を求めることで,融解水のフィン面方向の挙動を観察した. 除霜初期の状態は,融解水が霜層厚み方向に浸透する融解進行期間であり,融解水の熱交換器のフィ ンの面方向の移動は観察されなかった.フィン前端部やチューブ周囲の融解が始まると,水分浸透層 が飽和するためフィン面方向に融解水が浸透する様子が観察された.フィンの面方向の融解水移動は 全着霜量の約30%であった.
キーワード: 除霜,フィンチューブ熱交換器,融解水,中性子ラジオグラフィ,着霜量,熱伝達

[原著論文]
主題 異種吸着材を用いた二段式吸着ヒートポンプのサイクル特性評価
著者名 江ア丈裕,小林敬幸

要 約:
本研究では,吸着ヒートポンプの低温駆動特性に特化 した二段式システムについて検討した.一段目にゼオラ イト吸着材FAM-Z05,二段目に活性炭吸着材を用いる ことで,50 ℃以下の低温廃熱でも15 ℃の冷熱生成可能 なシステムを提案する.吸着材と熱交換器を一体とした 吸着コアを用いた実験検討により,本システムでは,50, 45 ℃の低温廃熱条件において,冷熱出力密度は単段式 システムより高い値が得られ,各過程での吸着速度もほ ぼ等しく冷凍サイクルを構成できることがわかった.ま た,二段式システムのCOP は,廃熱を二回投入するた め,単段式システムより低い.本システムでは吸着コア の投入顕熱量の差が生じるため,得られるCOP は45 ℃ の条件の方が高いことがわかった.
キーワード: 吸着ヒートポンプ,二段式システム,冷熱出力密度, COP

[原著論文]
主題 Effect of Dehydrofreezing on the Quality of Frozen Walleye Pollock Ovaries Used as a Raw Material for Preparing Tarako Products
著者名 Yu UCHIUMI, Toru SUZUKI

要 約:Eating pickled roes of various fishes is a popular custom in Japan. Tarako is a salted or salt-seasoned product prepared from walleye pollock and/or cod ovary, and accounts for the majority of pickled roe products in the Japanese market. These products are prepared using 90 % or more frozen ovaries as the raw material. Freezing damage, however, is a serious issue in tarako production. To prevent freezing damage of roes, cryoprotectants such as sugars are added before freezing. Further, it has recently been demonstrated that dehydrofreezing effectively prevents freezing damage in many foods. In this study, the use of high concentrations of NaCl solution in the dehydrofreezing process during tarako production was assessed. Walleye pollock ovaries were dehydrated using 3 %, 10 %, 17 % and saturated NaCl solution before freezing and storage. The ovaries were evaluated after thawing by drip loss, alteration in color and microscopic observation. The results revealed that the freezing damage decreased with increase in the concentration of NaCl solution.
キーワード: Dehydration, Freezing, Ice crystal, Microscopic observation, NaCl concentration, Tarako, Walleye pollock ovary

[原著論文]
主題 枝管付きダブルループ管型熱音響冷凍機における音場特性と冷却性能
著者名 経田僚昭,多田幸生,飯田祐也

要 約:構造の簡単さや有害冷媒を使用しないことから環境調 和型冷凍機として注目されている熱音響冷凍機を対象 に,流路形状の観点からの高性能化について検討した. 枝管付きループ管型熱音響冷凍機を基礎形状(シングル 型)として,新規にループ管とスタックを追加したダブ ルループ管形状を提案し,FDTD 法を用いた管内音場の 数値計算と実験装置を用いた冷却性能の測定を行った. ループ管を付設すると共鳴周波数が低下するとともに, 管内の速度振幅および位相差の分布が変化する結果,ス タック部の流動損失が減少することがわかった.また, 音波を供給するスピーカーの駆動電力一定の条件で比較 すると,ダブルループ管形状の冷却性能はシングル型を 上回る結果が得られた.
キーワード: 冷凍,冷却,熱音響冷凍機,ダブルループ管,スタック構造,FDTD 法

[原著論文]
主題 熱音響デバイス用熱交換器の性能評価
著者名 小清水孝夫,琵琶哲志

要 約: これまで,熱音響デバイスの設計やその内部現象の 理解に熱音響理論が広く用いられてきた.しかしなが ら,吸放熱を行う熱交換器に対して熱音響理論は適用で きず,その性能に関する理解が進んでいない.本研究で は,熱音響デバイス用熱交換器の吸放熱量に対する性能 を評価するために,熱音響理論を使用しない数値解析を 実施した.熱交換器の性能評価の指標として熱伝達率を 導入し,性能に対する運転周波数の影響を調査した結 果,運転周波数が高いほど熱伝達率の値は大きくなり, 熱交換器としての性能が高くなることがわかった.さら に,運転周波数が高いほど熱交換に寄与する半径方向の 範囲が狭くなり,管壁近傍の作動ガスの温度勾配が大き くなるため,管壁への放熱量が大きくなることがわかった.
キーワード:
熱交換器,熱伝達,熱音響現象,音波,数値解析
[原著論文]
主題 太陽駆動熱音響原動機に適したスタックに関する研究
著者名  松本航平,中村好翔,小林健一

要 約:
熱音響現象とは,熱エネルギーと音響エネルギーが相 互に変換される現象である.熱音響デバイスは外燃機関 の一種であり,熱源を選ばないという特徴がある一方, 機関内への入熱方法が効率を大きく左右する.本研究で は,熱音響原動機のための効率的な入熱方法として,太 陽光のふく射伝熱による入熱に注目した.原動機を石英 ガラスで製作し,パラボラ反射鏡を用いてスタック端面 へ太陽光を集光することで直接加熱を実現している.今 回は,材質と流路形状が異なるスタックを準備し,ス タック両端の温度差やスタック内部の温度勾配,発生音 波の圧力を測定した.ふく射による入熱を行う場合,低 流体抵抗かつ高比表面積を有するスタックが適している.
キーワード: 熱交換器,自然エネルギー利用,熱音響原動機,太陽光,パラボラ反射鏡

[原著論文]
主題 蓄熱器前後のテーパ角度が進行波型熱音響機関の熱効率に及ぼす影響
著者名 千賀麻利子,加瀬竜樹,長谷川真也

要 約:
Ceperley による計算では進行波型熱音響機関の蓄熱 器の熱効率は音響インピーダンスに依存し,音響イン ピーダンスが自由空間中の進行波音場の10 倍程度とな れば,カルノー効率の79 %に達する.その高インピー ダンスを実現する方法には蓄熱器の断面積の局所拡大が あるが,急な断面積変化による渦が生じ,熱効率の低下 にも繋がる.このロスは,断面積拡大箇所にテーパ管を 取り付けることで低減できる可能性がある.本報告で は,蓄熱器断面積を拡大した熱音響機関の蓄熱器前後に テーパ管を取り付け,蓄熱器の熱効率の測定を行った. また,テーパ管の角度を変更させ,テーパ角度が蓄熱器 熱効率に与える影響について測定を行った.その結果, テーパ角度7 °で熱効率は最大となり,カルノー効率の 50.6 %に達した.
キーワード:
ヒートポンプ,熱音響機関,熱効率,進行波
[原著論文]
主題  音波エンジン発電機の試作
著者名 大竹翔太,兵頭弘晃,琵琶哲志

要 約:
熱音響自励振動を応用すると可動部品のない熱機関 「音波エンジン」を実現できる.音波エンジンではこれま で気柱管の固有振動モードを利用することが多かった. 本研究では,気柱管の一端にボイスコイルモーター型の 発電機を接続した音波エンジン発電機の試作を試みた. この装置は,ループ管と枝管共鳴管からなる音波エンジ ンの枝管共鳴管の役割を発電機部分が担うことで,短い 全長と低い周波数を両立させている.エンジン部分と発 電機部分で構成させる合成系の動作条件について実験的 に検討し,動作させた結果について報告する.
キーワード:
熱音響現象,音響インピーダンス,発電機

日本冷凍空調学会論文集Vol.32,No.3 (発行日: 2015/9/30)
[原著論文]
主題 パッケージエアコンディショナの年間効率向上を目指した研究開発
副題 −第2 報:パッケージエアコンディショナの性能実証試験−
著者名 吉田康孝・長野克則・小山昌喜・戸草健治

要 約:
低負荷において効率向上を図った圧縮機,蒸気圧縮方式と自然循環方式で共用出 来る熱交換器,低 負荷での不要な断続運転を防止する適応制御,低外気温度にて高効率運転が可能な自 然循環方式とそ の運転制御を搭載したパッケージエアコンを開発し,効率を計測した.その結果,以 下の結論を得た.
(@)環境試験室においては,年間効率が現状比1.51 倍であった.
(A)実使用においては,2012 年の外気温度条件で,札幌にある北海道大学の共 同実験室で現状比1.58 倍,静岡にある日立アプライアンスのCAE ルームでは1.67 倍となった.
(B)実使用の計測データを平均的な外気温度に修正したところ,東京の標準的 な事務所において現状 比1.55 倍となる事が分かった.
キーワード:パッケージエアコン, 適応制御, 冷媒自然循環システム, 低 負荷, 断続運転, 年間効率, 実使用試験

[原著論文]
主題 小型ラジアルピストン型膨張機の基本特性
著者名 福田充宏・安西史弥・本澤政明・柳沢 正

要 約: 二酸化炭素を冷媒とする冷凍サイクルでは絞り損失が大きいため,膨張弁の代わりに 膨張機を用いて効率改善を図る試みが検討されている.しかし,これまでに研究され ている膨張機は大型のものが多く,自動販売機のような小型のサイクルには適用でき ない.本研究では流量5 kg/h以下の小型のラジアルピストン型膨張機を開発し,その 性能を検討するとともに,性能に大きな影響を及ぼすピストンシールの漏れと摩擦に ついて検討した.その結果,開発したラジアルピストン型膨張機は流量5 kg/h以下の 小流量で運転可能であり,その全効率は約0.45〜0.5であった.また,よい性能を得 るためには,まず漏れを抑えた上で摩擦損失を小さくできるピストンシールが必要で あることが分かった.
キーワード: 自然冷媒,膨張装置,膨張機,動力回収,最適設計

[原著論文]
主題 スマートキャンパスの運用による大学の二酸化炭素排出抑制
副題 −第1 報:個別建物の需要特性と外気エンタルピーによる夏期電力需要予測−
著者名 坂内正明・宮崎隆彦

要 約:
本論文では,大学キャンパスにおける電力需要計測値を用いて,大学内の個別建 物の需要特性を分 析し,外気エンタルピーとの相関を用いて夏期の電力需要を予測する手法について検 討した.年間の 需要特性を調べた結果,冷暖房のための電力消費量が増加する夏期と冬期には,外気 エンタルピーと 電力消費量の間に相関関係が見られ,空調による変動成分と電力需要のベース負荷と の区別が可能で あることがわかった.また,理系,文系,医系,事務系の4 種類の建物について電力 需要と外気エン タルピーとの関係を検討した結果,夏期の休暇期等学内の活動者数の変動も電力負荷 に影響を及ぼす ことが明らかとなった.ただし,全学の電力負荷は個別負荷の合成によって特異的な 挙動は緩和され るため,外気エンタルピーのみを用いた単回帰分析でも良好な決定係数が得られた.
キーワード: 教育施設,計測,需要予測,スマートキャンパス,二酸化炭素 排出抑制

[原著論文]
主題 球状活性炭とエタノールを用いた吸着式冷凍システムの性能予測
著者名 今村駿斗・宮崎隆彦・イブラヒムエリシャリカウィビデュットバラン シャハ・小山 繁

要 約:吸着式冷凍システムの性能向上を目指して新規に開発した球状活 性炭は,市販されている活性炭 と比較して大きな吸着量を有していることが確認されている.そこで,球状活性炭を 用いた吸着式冷 凍システムの性能を予測するために,吸着熱交換器の伝熱特性の予測とそれに基づく システムの動 的性能解析を行った.シミュレーションの結果,球状活性炭とエタノールを用いた吸 着式冷凍シス テムは,従来の粉体状活性炭を用いる場合と比較して,最適サイクルタイムにおける COP が12%向 上する可能性があることがわかった.
キーワード: 吸着冷凍機,成績係数,活性炭,エタノール,シミュレーショ ン

[原著論文]
主題 圧縮機運転時のモータ巻線・ステータ間静電容量および比誘電率の推定 著者名 唐一展弋・小笠原悟司・竹本真紹・金森正樹・石田圭一・遠藤隆久

要 約:本論文では,圧縮機運転中におけるモータ巻線とステータの間の 浮遊静電容量と,その時その空間に 存在する冷媒と潤滑油の平均的な比誘電率を推定する方法を提案する.提案法では, 特別な実験装置や センサを用いず,インバータエアコンの接地線に流れる漏れ電流波形から等価回路パ ラメータを同定し, さらに冷媒と潤滑油が封入されていない圧縮機用モータの浮遊静電容量との比較から 比誘電率を求め て,これを実現している.そのため,この方法は圧縮機内部の状態と浮遊静電容量な らびに比誘電率と の関係を検討することにも利用でき,これらの推定値はエアコン用圧縮機駆動システ ムの電磁妨害 (EMI)の検討や設計に有効である.
キーワード: 空調設備,圧縮機,冷媒,潤滑油,静電容量,誘電率,等価回 路

[原著論文]
主題 電圧印加による酢酸ナトリウム水溶液の過冷却解消に及ぼす影響
著者名 寳積 勉・松竹優樹・大河誠司

要 約: 近年,排熱回収システムにおいて,顕熱蓄熱と比較し て単位容量当たりの蓄熱容量が大きな潜熱蓄熱が実用的 なシステムとして注目されている.特に酢酸ナトリウム 水溶液は,過冷却時の安定性や高熱が実用的なシステム として注目されている.特に酢酸ナトリウム水溶液は, 過冷却時の安定性や高い蓄熱量が注目され,建材や給湯 器に利用できる蓄熱材として応用研究がなされている. 一方,過冷却状態の酢酸ナトリウム水溶液は,凝固開 始時期・凝固開始位置の予測が困難であり,実用化への 障害になっている.そこで本研究では,酢酸ナトリウム水溶液の過冷却能動制御に関 して,電圧印加に着目し, 比較的低過冷度の水溶液において電圧印加実験を行っ た.その結果,電圧印加が一定の効果を及ぼしているこ とを定量的に突き止め,かつ電圧印加による凝固現象の メカニズムについて考察した.
キーワード:
酢酸ナトリウム水溶液,過冷却,凝固,電圧印加
[原著論文]
主題 微細流路内沸騰熱伝達の整理式の修正
著者名  榎木光治,宮田一司,森 英夫

要 約:
筆者らは,先に,微細円形流路内の沸騰熱伝達率につ いて,強制対流蒸発と核沸騰の寄与に加え,新たに微細 流路に特有の液膜熱伝導蒸発の寄与を考慮した精度の高 い整理式を提案した.液膜熱伝導蒸発は,主にスラグ流 における気体プラグ周囲の薄液膜を通した熱伝導による 蒸発熱伝達である.しかしながら,近年広く用いられる 比較的高圧の冷媒に対して整理式で用いた核沸騰整理式 の予測精度が良くないこと,また,最近得た水平流の低 流量のデータに対して整理式の予測精度が低いことが明 らかになった.本研究では,この2 点について以前に提 案した整理式を修正し,予測精度の改善を行った.新 たに得られた整理式は,著者らのR 410A のデータのみ ならず,他研究者によるR 32,R 1234yf およびH2O や CO2 を含む広範囲のデータに対して,水平流の低流量の 条件を含め,高い予測精度を示した.
キーワード: 沸騰,蒸発,微細流路,熱伝達,整理式

[原著論文]
主題 HFE-7100の飽和蒸気圧力および飽和液体密度の測定
著者名 田中勝之

要 約:
HFE-7100(C4F9OCH3, methoxy-nonafluorobutane)の 飽和蒸気圧力と飽和液体密度を300 〜 400 K において 10 K 間隔で抽出法により測定した.得られた飽和蒸気 圧力の範囲は,28 〜 629 kPa,飽和液体密度の範囲は, 1203 〜 1516 kg・m−3 であった.測定不確かさは,温度 0.028 K,圧力0.4 kPa,密度0.7 kg・m−3 と見積もった. 測定結果を用いて,飽和蒸気圧力と飽和液体密度の相関 式をそれぞれ作成したところ,飽和蒸気圧力については 標準偏差が0.6 kPa 以内,飽和液体密度については標準 偏差が0.4 kg・m−3 以内で相関できた.
キーワード:
冷媒,熱物性,HFE-7100,飽和蒸気圧力,飽和液体 密度,相関式
[原著論文]
主題  電気自動車が京阪神地域の光化学汚染と気温に及ぼす影響の評価
著者名 安田龍介,小澤卓也,吉田篤正

要 約:
2010 年夏季の大阪平野を中心とした約100 km 四方の 領域を対象に,電気自動車の普及が光化学汚染と気温 に与える影響について,数値モデルを用いた評価を行っ た.現行の全ての乗用車と軽自動車が内燃機関自動車か ら電気自動車に置き換わる場合(EV 化)を想定し,汚染 物質と顕熱の排出量変化を既存の排出インベントリー を基にトップダウン的に推計した.電気自動車に対する 追加電力需要は地域電力会社の発電所から供給されると 仮定し,原子力発電所(Nuclear Power Plant, NPP)が稼 働している場合と全停止している場合について調べた. オゾン汚染レベルと熱環境に対するEV 化の影響をそれ ぞれ閾値超過積算値によって評価した.NPP が稼働して いる場合,EV 化によりNOx,NMVOC,CO2 の排出量 はいずれも減少し,地域内の汚染レベルは低下する.低 下量は領域北側と東側で大きい.この傾向は海風経路と 光化学レジームに関係している.地表近くの暑熱環境に 対する緩和効果は非常に小さい.NPP が停止し火力発電 により不足電力を代替する場合,NOx の地域排出量は大 幅に増加し,NPP 稼働時に比べ汚染レベルは微増する. また,EV 化によりCO2 排出量は増加するものの,汚染 レベルは現況ケースより低下する.
キーワード:
環境負荷,省エネルギー,電気自動車,光化学汚染, ヒートアイランド,数値シミュレーション
[原著論文]
主題 建物からの大気熱負荷量に占める空調排熱と対流顕熱の詳細割合に関する 数値解析
著者名 浅輪貴史

要 約:
数値解析により,実在街区における建物からの空調排 熱と対流顕熱の放出割合を明らかにした.解析システム は,屋外熱収支計算部,建物熱負荷計算部,空調用エ ネルギー計算部,人工排熱計算部により構成されてい る.12 階建の事務所ビルを対象に解析を行った結果,ガ ス焚吸収式冷温水発生機+冷却塔を使用する場合,空調 排熱は潜熱分が大部分であるため,12 時の時点の大気顕 熱負荷量には対流顕熱が約8 割を占めた.熱源機器を空 気熱源ヒートポンプチラーに変更した場合,トータルの 大気顕熱負荷量が2 倍以上に増加し,空調排熱の顕熱 分は対流顕熱の2 倍近くまで増加した.
キーワード:
大気熱負荷,空調排熱,対流顕熱,数値シミュレー ション,熱収支
[原著論文]
主題 実測調査に基づく冷却塔のヒートアイランド対策効果に関する研究
著者名  竹林英樹,笠原万起子,田辺慎吾,山 眞

要 約:
冷却塔によるヒートアイランド対策効果について,冷 却塔排熱の潜熱比に注目して,冷房負荷,気象条件との 関係に基づき分析した.冷却塔を導入することで,@空 調負荷が大きい場合(冷却塔定格値795 kW の3/4 以上) には,ファンが稼働して潜熱交換量が増加するが,顕熱 交換量も大きくなった.A空調負荷が中程度の場合(定 格値の3/4 程度)には,ファンが稼働してほぼ潜熱交 換量のみで熱交換が行われた.B空調負荷が小さい場合 (定格値の1/4 〜 3/4)には,ファンが稼働して潜熱交 換量が増加すると,潜熱比が100 %を超える結果となっ た.空調負荷が小さい時に冷却塔を稼動させ,強制的に ファンも稼動させると,顕熱交換量が負値となり,より 大きなヒートアイランド緩和効果が得られると考察さ れた.
キーワード:
冷却塔,ヒートアイランド,実測調査,潜熱,顕熱
[原著論文]
主題  冷却塔を併用したハイブリッド地中熱ヒートポ ンプシステムの設計・性能予測ツールの開発とその応用
著者名 葛 隆生,長野克則,中村 靖

要 約:
冷却塔を併用したハイブリッド地中熱ヒートポンプシ ステムの設計・性能予測とコミッショニングを行うため に,筆者らはシステムのシミュレーションツールを開発 した.そして,このツールを用いて,北九州市の新しい オフィスビルに導入されたハイブリッド地中熱ヒートポ ンプシステムの性能を予測した.その結果,このシステ ムの冷房期間の期間成績係数(SPF)は5.4 と高い値にな ることがわかった.また,ツールを用いて地中熱交換器 と冷却塔の接続方法や,冷却塔の運転方法を検討した. その結果,冷却塔を地中熱交換器の前に接続した場合 に,システムは最も高いSPF を示すことが確認された. さらに,この場合において,ヒートポンプの一次側入口 温度に応じて冷却塔の運転を行うことにより,更なる SPF の向上が可能であることがわかった。
キーワード: 熱源方式,ヒートポンプ,地中熱利用,設計・性能予 測ツール,冷却塔

[原著論文]
主題 複層地盤を考慮した地中熱交換器のシミュレーションツールの開発とその 応用
著者名  葛 隆生,長野克則,中村 靖

要 約:
本論文では,地下水流動存在下の地中熱交換器周囲温 度を計算する手法を,深度ごとに分割することで複層地 盤に対応させた,地中熱交換器内部熱媒温度の計算モデ ルについて示した.また,計算モデルを応用して,熱応 答試験時に得られる見かけ上の有効熱伝導率から,地 下水流動の存在する層の全層に占める割合や地下水流速 を推測する方法について検討した.結果より,加熱時 間50 h の熱応答試験で得られる見かけ上有効熱伝導率 が4.5 W・m−1・K−1 を超えると,全層に対して25 %以上 の地層で300 m・y−1 以上の地下水流動があることが示唆 された.また,地下水流速が300 m・y−1 以上の地層が 存在する地点での熱応答試験では,経過時間50 h から 150 h における見かけ上有効熱伝導率の上昇率に対する, 地下水流動の存在する層の全層に占める割合は,ほぼ一 致することが確認できた.
キーワード:熱源方式,ヒートポンプ,地中熱利用,地中熱交換 器,複層地盤,地下水流動,熱応答試験,見かけ上有効熱伝導率

[原著論文]
主題 Considerations for Horizontal Ground Heat Exchanger Loops Operation
著者名 Salsuwanda SELAMAT, Akio MIYARA,Keishi KARIYA

要 約:
Horizontal ground heat exchanger in ground source heat pump systems is susceptible to ground surface variations thus affecting its thermal performance. However, this configuration is desirable due to low installation costs as it mainly involved burying pipes in shallow trenches. The optimization of horizontal ground heat exchanger was investigated by simulating a cross section of the ground containing a single unit of slinkyloops. The analysis shows that although trench depth increased by one third in vertical orientation, there was no significant improvement on thermal performance compared to horizontal orientation. Unless land area is limited then it is suggested that loops are installed in vertical orientation. When the material used as ground heat exchanger was copper pipe, heat exchange rate improved by 20 % compared to conventional HDPE pipe. As expected, ground thermal resistance has a limiting effect on thermal performance although the pipe was changed to a material with thermal conductivity of over 800 times higher. The effect of distributing the flow into a group of loops in parallel was also examined. Thermal performance increases as more heat transfer area was provided in parallel loops. The spacing between adjacent loops was studied to elucidate heat interference in parallel loops operation.
キーワード:Heat exchanger, Environment, Ground source heat pump, Ground heat exchangers, Horizontal loops, Thermal performance.

[原著論文]
主題  動的シミュレーションを用いたNH3-H2O系溶 液輸送型吸収冷凍機の輸送配管が制御性および 冷媒,溶液受液器に及ぼす影響
著者名 渡辺 史,田中成吾,榎木光治,秋澤 淳, 武居俊孝

要 約: 溶液輸送型吸収冷凍機(STA)は熱エネルギーを濃度差 に転換し熱輸送するため,常温での熱輸送が可能となる. 本研究では,熱輸送距離10 000 m,冷凍出力3 517 kWの 大規模なSTA を想定し,冷凍負荷が20 %減少した時 の動的挙動をシミュレーションし,輸送配管の仕様が制 御性および冷媒受液器に及ぼす影響の解析を行った.同 条件の制御機構において,冷凍出力の動的挙動は輸送距 離によらずほぼ同じ追従性を有する.強溶液輸送配管内 の冷媒質量の増加は,冷媒受液器の冷媒を用いているた め,配管内容積が大きいほど受液器の冷媒が減少し,溶 液受液器の冷媒が増大する.よって,STA は従来の制 御機構により冷凍出力を制御可能であるが,受液器体積 や冷媒充填量の増加が必要となる.
キーワード: 吸収冷凍機,制御,熱輸送,排熱,動的シミュレー ション,冷媒濃度

[原著論文]
主題 低温熱駆動に向けた3 つの吸着器を用いる二段型吸着冷凍サイクルの実証
著者名 高橋郁也,榎木光治,秋澤 淳,窪川清一,吉江建一,米澤泰夫

要 約: 吸着冷凍機は低温排熱から冷熱を供給できることか ら,化石燃料削減やピーク電力負荷削減に有効である. 吸着冷凍機の導入を促進するためには,本体の小型化と駆動温度のさらなる低温化が 課題となっている.こ れらの課題を解決するために,本研究では,従来の二 段型吸着冷凍サイクルに必要な4 つの反応器を1 つ減 らした,3 ベッド二段型吸着冷凍サイクルに,アルミノ フォスフェート型吸着材FAM(Functional Adsorbent Material)を用いて実験的研究を試みた.その結果, 55 ℃の熱源を利用して冷凍能力0.6 kW 程度を出力する ことができた.このため,3 ベッド二段型吸着冷凍サイ クルと2 種類のFAM のそれぞれの特徴を活かすことで, 提案する二段型吸着冷凍サイクルが有効に動作すること を実証した.
キーワード:吸着冷凍機,冷凍サイクル,冷凍能力,FAM-Z01, FAM-Z05

[原著論文]
主題 熱駆動ケミカルヒートポンプにおける冷凍冷熱生成能力向上の検討
著者名 小倉裕直,三上弘文,鈴木彦司郎

要 約:筆者らは先に,走行中の冷凍車両の排ガス廃熱をケミ カルヒートポンプに化学蓄熱し,アイドリングストップ 時には蓄えられたエネルギーのみでコンテナ庫内に冷熱 を放熱するエネルギーリサイクル利用システムを提案し た.本報では,より低い冷凍温度レベルの長時間保冷を 目標とし,まず蒸発/凝縮器用水溶液としてエチレング リコール水溶液の蒸気圧および反応平衡線の分析を行っ た.さらに,ケミカルヒートポンプモデル装置で,蒸発 /凝縮器内エチレングリコール水溶液濃度を変えて反 応挙動および冷熱生成能力の比較検討を行った.その 結果,硫酸カルシウム系ケミカルヒートポンプ実験で は,蒸発/凝縮器に50 wt%エチレングリコール水溶液 封入により,蓄えられた熱のみで258 K 以下の冷熱を約 110 MJ/m3-CaSO4 以上にて12 時間以上生成可能なこと が示された.
キーワード:冷凍サイクル,凍結装置,化学蓄熱,蒸発,平衡,硫 酸カルシウム,車両

[原著論文]
主題  Importance of Pre-cooling and Pre-heating on Performances of One Bed Adsorption Cooling Systems with Activated Carbonethanol Pair
著者名 
 Fauziah JERAI, Takahiko MIYAZAKI, Bidyut Baran SAHA, Shigeru KOYAMA
要 約:This paper presents theoretical and experimental investigation of an adsorption cooling system to predict the cycle performance of one bed adsorber based on the equilibrium condition. For this particular study, activated carbon-ethanol pair was chosen as the adsorbent-refrigerant pair because of a high adsorption capacity of activated carbons against ethanol. The experiment was conducted on five different precooling and pre-heating settings. The experiments carried out were divided to two sections. First, the preliminary experiments were carried out on two extreme conditions. For the first extreme condition, the adsorption and desorption process were carried out without pre-cooling and pre-heating. Whilst for the second extreme condition, the adsorbent was pre-cooled and pre-heated until the adsorbent reach adsorption and desorption temperature. Then the experiments were carried out with three different time of precooling/ pre-heating time which was selected based on the preliminary experiments. The heat balance were analyzed critically and the optimum cycle time, namely the pre-cooling and pre-heating time for each adsorption and desorption process is discussed by identifying the suitable adsorbent pressure and temperature of the system.

キーワード: Adsorption, Cooling, Activated carbon-ethanol, Optimization

[原著論文]
主題 SrCl2アンミン錯体形成時の熱・物質移動速度
著者名  桑田和輝,小林敬幸,布施卓哉

要 約:
反応系として,SrCl2/NH3 系を用いた高出力・高密度 蓄熱装置の開発を見据え,種々の検討を行った.充填 層型反応器を用いて,熱源温度90 ℃,気化器温度0 ℃ の条件で蓄・放熱サイクルが構築可能であることを実証 し,反応材体積当たり1.1 〜 1.3 kW/L の放熱速度を得 た.また,放熱時の物質移動速度,化学反応速度,熱移 動速度を個別に評価した結果,放熱速度に対して熱移動 が律速過程であることを明らかにし,実際に層厚みの差 が総括反応速度に及ぼす影響を確認した.そこで,熱移 動抵抗を評価するため,SrCl2 充填層の有効熱伝導度を 測定した結果,λeff = 0.18 W/m/K であった.また,薄層 充填層をモデル化して熱移動解析を行った結果,接触熱 抵抗Rc = 2.3 × 10−3 m2・K/W であると予測した.
キーワード:蓄熱,熱伝導,物質移動,SrCl2,アンミン錯体

[原著論文]
主題 マイクロ波照射下におけるシリカゲルの加熱お よび水蒸気脱着特性
著者名 窪田光宏,島田直樹,松田仁樹,黄宏宇

要 約:
本研究では,マイクロ波加熱を用いた吸着材の再生操 作によるデシカント調湿システムの高効率化を目指して いる.本報では,水蒸気吸着特性の異なる3 種類のシリ カゲルについて,マイクロ波照射下における粒子充填層 の発熱特性および吸着水の脱着挙動に関する実験的基礎 検討を行った.この結果,マイクロ波吸収・発熱特性はシリカゲル種により大きく異 なり,シリカゲルRD が最 も優れたマイクロ波吸収特性,初期脱着速度,平衡脱着 率を示すことが確認された.さらに,シリカゲルRD で は初期吸着量が大きくマイクロ波出力が小さいほど平衡 脱着率が低下すること,マイクロ波出力の増大に伴い平 衡脱着率が向上することが明らかになった.
キーワード: デシカント空調,吸着,マイクロ波,シリカゲル, 水蒸気

日本冷凍空調学会論文集Vol.32,No.2 (発行日:2015/6/30)
[原著論文]
主題 VRF型圧縮式ヒートポンプ空調機の定常特性解析
副題 第1 報:室内機運転台数変更時の数値解析と実験による評価
著者名 松本邦康,大野慶祐,齋藤 潔,岸本哲郎

要 約:
近年,ビルや商業施設等の業務用の施設では,冷媒の 相変化を利用した圧縮式ヒートポンプ空調機の導入が進 んでいる.特に,複数台の室内機を個別に制御可能な空 調方式の普及が進んでいるが,制御が容易である反面, 運転条件が時々刻々と変化し,冷媒流量等が大きく変化 するため,最適な運転条件を判別することが非常に困難 となる.そこで本稿では,数理モデルによりシミュレー ションモデルを構築し,実験による評価試験でモデルの 妥当性を検証するとともに,本モデルを用いて静特性の 解析を実施するものである.特に,室内機の一部が停止 して,同時運転する室内機の運転台数が変化した場合に ついて,実験および解析により,システムの効率等に与 える影響を評価する.
キーワード: 計測,冷凍サイクル,成績係数,定常解析,ヒート ポンプ

[原著論文]
主題 戸建て量販店舗における個別分散空調の省エネ ルギー化に関する検討
副題 室内温度設定変更による省エネルギー効果
著者名 宮岡洋一,渡邉澂雄,中山 浩,廣田真史

要 約:
本研究では,個別分散空調が使用されている2 つの衣 料品量販店舗において,外気温度とエアコンのエネル ギー消費量を1 年間にわたり10 分間隔で測定し,それ らとエアコンの部分負荷性能とを組み合わすことで建物 内の空調負荷を求めた.さらに,既存空調設備の省エネ ルギー化手法として室内温度設定の変更を取り上げ,実 測された省エネルギー効果を,空調負荷モデルとエアコ ンの部分負荷COP 特性を組み合わせて予測される省エ ネルギー効果と比較した.その結果,測定された空調負 荷は外気温度に対し線形的に変化するが,冷・暖房の切り替わる温度帯や通年冷暖房負荷の割合がJIS の空調負 荷モデルとは異なることが明らかになった.また,室内 温度設定の変更による空調の省エネルギー効果について は,実測結果と予測結果が定量的にも良く一致したこと から,空調負荷モデルとエアコンのCOP 特性に基づき, 空調エネルギー消費量の予測が可能であることを示した.
キーワード: 空調設備,商業建築,省エネルギー,現地計測,個 別分散空調,部分負荷性能

[原著論文]
主題 パッケージエアコンディショナの年間効率向上 を目指した研究開発
副題 第1 報:パッケージエアコンディショナの開発
著者名 吉田康孝,長野克則,小山昌喜,戸草健治

要 約:
実負荷に合わせ現状比1.5 倍の年間効率の向上を目指 したパッケージエアコンディショナの開発を実施し,以 下を開発した. (@)空調負荷率30 〜 40 %において効率向上を図った 高効率ワイドレンジスクロール圧縮機 (A)蒸気圧縮方式と冷媒自然循環方式に共用できる 熱交換器 (B)低負荷での不要な断続運転を防止する適応制御 システム (C)低外気温度条件にて高効率運転が可能な冷媒自 然循環方式とその運転アルゴリズム また,机上検討にて現状機と開発機の年間効率の比較を 行ったところ,現状比1.52 倍となることがわかった.
キーワード: パッケージエアコン,圧縮機,最適熱交換器,適応 制御,冷媒自然循環方式,低負荷,断続運転,年間 効率

[原著論文]
主題 ナノ・マイクロ粒子懸濁水の凍結と凍結濃縮現象に関する研究
著者名 春木直人,堀部明彦,佐野吉彦

要 約: 機能性流体に使用する蓄熱粒子のナノサイズ化は,凝集や合一化による分離等の欠点を生じる.このため,ナ ノ粒子懸濁液を凝集が生じない低濃度で保存し,使用の 際に任意の濃度まで濃縮する凍結濃縮法に着目した.本 研究では,ナノシリカ粒子懸濁液の粒子径および初期粒 子濃度が凍結・凍結濃縮現象に及ぼす影響について実験 的に検討し,シリカ粒子径の減少によって過冷却度の増 大と低凝固速度での氷結晶構造の拡大を測定,さらにシ リカ粒子の結晶粒界付近の偏在を確認した.一方,界 面前進凍結法によるシリカ粒子懸濁液の凍結濃縮実験よ り,シリカ粒子のナノサイズ化は撹拌条件では凍結濃縮 現象に影響しないが,無撹拌条件では沈殿現象を抑制 し,適切な凝固速度下にて凍結濃縮を行えば,マイクロ 粒子よりも高い凍結濃縮効果を得られる可能性があるこ とを確認した.
キーワード: 凍結濃縮,凍結,ナノシリカ粒子,氷結晶,過冷却, 懸濁液

[原著論文]
主題 Measurement and Prediction of Absorbed Irradiation Energy Distribution in Narrow Channel of Desiccant Rotor 著者名 Jie LI, Yoshinori HAMAMOTO,Hideo MORI

要 約: The objective of this paper is to present experimental results on absorption characteristics of irradiation energy absorbed on the narrow channel wall of a regenerated desiccant rotor. Energy absorption rate was measured in conditions of different channel lengths, incident irradiation angles, temperatures and humidity. The results indicated no influence of ambient temperature and humidity on energy absorption rate, and showed symmetry with respect to the irradiation incident angle. In addition, two prediction models were proposed and examined to evaluate the absorbed energy distribution rate. Both models reproduce the measurements well. Among them, the prediction model based on view factor in radiative heat transfer is simpler than the other. These models are useful to predict desorption rate of water vapor in a desiccant rotor in which concentrated solar irradiance is used to heat and desorb from the rotor wall.
キーワード: Absorption, Adsorption, Irradiation energy, Laser, Narrow channel, Desiccant rotor, Experiment, Prediction

[原著論文]
主題 冷凍マグロ魚肉の解凍過程におけるタンパク質 変性がドリップ流出量に与える影響
著者名 小林りか,田村朝章,渡辺 学,鈴木 徹

要 約:食品冷凍において,凍結,低温貯蔵,解凍といった一 連の冷凍操作すべてが品質劣化に影響を与える.特に, 大部分をタンパク質で構成される魚介類の品質は,タン パク質の冷凍変性に大きく影響を受ける.そのような 中,解凍過程におけるタンパク質変性挙動に関する研究 は,凍結貯蔵過程と比較してあまり着目されてこなかっ た.そこで本研究では,マグロ魚肉の解凍過程でのタン パク質変性の反応速度をCa-ATPase 活性値を指標とし て算出し,解凍中保持温度よる影響を議論した.同時に ドリップ流出量を測定して両者の相関性を検証した.結 果として,10 ℃以下の解凍中保持温度によってタンパク 質変性進行は抑制され,Ca-ATPase 比活性値とドリップ ロスには緩やかな相関関係が確認された.
キーワード: 解凍,タンパク質変性,ドリップロス,マグロ魚肉, Ca-ATPase 比活性値

[原著論文]
主題 水平微細三角形流路内の沸騰熱伝達と気液二相 圧力損失
著者名 宮田一司,中津留拓哉,平田健人,森 英夫,濱本芳徳

要 約:
本研究では,微細冷媒流路を用いた空調機用熱交換器 への応用を目的として,水力直径が0.88 mm の水平微 細三角形流路における冷媒の沸騰熱伝達と気液二相圧力 損失の実験を行い,それらの特性を明らかにした.試 験冷媒にはR 410A を用いた.沸騰熱伝達実験は質量速 度30 〜 400 kg/(m2・s),熱流束2 〜 20 kW/m2,クオリ ティ0.05 〜 1.0 の範囲で行い,気液二相圧力損失実験は 非加熱条件下で質量速度30 〜 400 kg/(m2・s),クオリ ティ0.05 〜 0.9 の範囲で行った.冷媒の飽和温度はすべ て10 ℃とした.得られたデータを,既に得ている円形流 路,矩形流路のデータと比較することにより,流路形状 の違いが与える影響を検討した.実験結果の検討には, 以前発表した微細流路内の気液二相流動様相の観察結果 も参照した.
キーワード: 熱伝達,沸騰,圧力損失,気液二相,微細流路,三角形流路,冷媒

[原著論文]
主題 スクロール圧縮機の圧縮室給油量適正化に関す る研究
著者名 近野雅嗣,柳瀬裕一,松永睦憲,中村 聡,太田原 優

要 約:
低速で漏れ損失が増大する中間負荷条件では,圧縮室 への給油不足の場合に効率が著しく低下する.よって, 圧縮室への給油量を適正に制御し,圧縮室のシールに必 要な量の油を供給することが重要となる.そのためには, 油ポケット構造やスリット構造などの圧縮室への給油構 造について,その仕様と給油量の関係を把握することが 必須である.本稿では,要素試験により油ポケット構造 およびスリット構造での給油量を実測し,その給油特性 を明らかにした.また,得られた給油特性をもとに給油 量の予測式を構築した.本予測式により,圧縮室給油量 に対する効率特性に応じて,給油構造とその仕様を選択 し,圧縮室給油量を適正に制御することを可能とした.
キーワード: 圧縮機,パッケージエアコン,スクロール,部分負 荷運転,給油

[原著論文]
主題 東北産水産物からの不凍タンパク質(AFP)の探索
著者名 高橋幸幹,田口尭麻呂,宮城晃太,大瀧恵莉,ア山高明,萩原知明

要 約:
不凍タンパク質(AFP)は氷結晶の再結晶化を抑制す る機能があり,冷凍食品に添加することで,貯蔵および 流通過程での品質劣化を効果的に抑制可能であると期待 されている.本研究では,AFP を東北産の水産物から探 索することを念頭に置き,東北産の魚類,貝類などの水 産物21 種類を対象に,それらの水抽出液に氷結晶再結 晶化抑制活性が検出されるか調べた.その結果,マダラ およびマコガレイの抽出液に明確な氷結晶再結晶化活性 が見いだされ,東北産のこれらの魚種にAFP が含まれ ている可能性があることがわかった.
キーワード: 氷結晶,凍害保護物質,不凍タンパク質,東北地方, 再結晶化,マダラ,マコガレイ

[原著論文]
主題 東北産マダラ由来不凍タンパク質(AFP)の 特性解析と中間精製
著者名 田口尭麻呂,高橋幸幹,ア山高明,萩原知明

要 約:
前報において,我々は東北地方で漁獲されたマダラ (Pacific cod Gadus macrocephalus)およびマコガレイ (marbled sole Pseudopleuronectes yokohamae)に不凍 タンパク質(AFP)に含まれている可能性を明らかにし た.本報では,マダラからのAFP の中間精製を効率的 に行うことを目的として,マダラ水抽出液が示す不凍 活性の季節変動,加熱処理がマダラ水抽出液の不凍活性に及ぼす影響,限外濾過による分子量分画がマダラ水抽 出液の不凍活性に及ぼす影響を調べた.2013 年11,12, 3,5 月に岩手県宮古で漁獲された試料の不凍活性を調べ たところ,11 月及び12 月に漁獲された試料に明確な不 凍活性が確認できた一方で,5 月に漁獲された試料は不 凍活性が著しく弱かった.60 ℃,70 ℃,80 ℃で15 分間 加熱処理を施した水抽出液は,未加熱試料と同様の不凍 活性を有していた.限外濾過による分画の結果,分子量 10 000 〜 30 000 Da の範囲の抽出液分画に強い不凍活性 が確認され,マダラ由来のAFP の分子量はこの分子量 範囲内であることが示唆された.
キーワード: 氷結晶,凍害保護物質,不凍タンパク質,再結晶化, マダラ,中間精製,東北地方

[原著論文]
主題 Freeze Denaturation of Myofibrillar Protein from Unstable Winter Silver Carp(Hypophthalmichthys molitrix)and its Suppression by Sucrose
著者名 Chunhong YUAN, Kefeng YU,Shunsheng Chen, Xichang Wang,Yutaka FUKUDA

要 約:
Freeze denaturation of myofibrillar protein prepared from winter silver carp and its suppression by sucrose when frozen as mince and washed mince was investigated. The ATPase activity and salt-solubility of myofibrillar protein were measured as the indices of myosin denaturation. Sucrose at 8 % was used as cryoprotectant. All samples(with and without sucrose)were frozen at different freezing rates(1, 0.1,0.01 ℃/min)and then stored at −40 ℃, −20 ℃, and −10 ℃ for one month. Ca2+.ATPase activity decreased to near 50 % just by freezing for the washed mince, while the remaining activity for minced meat was about 80%. Addition of sucrose suppressed the Ca2+.ATPase inactivation by freezing and kept near 100 % activity regardless of the freezing rate. Myosin denaturation was determined by the frozen storage temperature, showing high remaining activity for the samples stored at lower temperature (−40 ℃). However, decrease in Ca2+., Mg2+.ATPase activity and salt-solubility upon frozen storage was almost completely suppressed by adding 8 % sucrose, even if the storage temperature was −10℃. These results indicated that sucrose at 8% was sufficiently high for protecting myosin denaturation. It is also suggested that the utilization of surimi is promising for the unstable winter silver carp.
キーワード: Sucrose, Freeze denaturation, Freezing rate, Frozen storage, ATPase activity

[原著論文]
主題 アニサキス亜科L3幼虫の生存に与える凍結の影響
著者名 竹内 萌,松原 久,高橋 匡,小坂善信,     工藤謙一,渡辺 学,鈴木 徹

要 約:
アニサキス亜科線虫L3 幼虫の生存に与える凍結およ び脱水の影響を検討した.冷却速度1℃/min に設定し てDSC(示差走査熱量計)中で−20 ℃まで冷却すると, 死亡および凍結しているものはなかったが,幼虫の温度 を過冷却解消点より1 ℃低いところまで冷却すると生存 しているものはなかった.故にL3 幼虫はその体内でひ とたび氷核が形成されると死亡することが示唆された. L3 幼虫は周囲の培地が凍結後,それ自体も直ちに凍結 した.10 %および23.3 %のNaCl 溶液に浸漬すると,浸 漬24 時間後に生存率が10 %以下まで低下した.マサバ のフィレーではさみこんだ状態もしくはセミドレスの腹 腔内に放置したL3 は,−20 ℃で90 分凍結後に−20 ℃ もしくは−60 ℃で保管すると,保管24 時間後に生存し ているものは見られなかった.
キーワード: 凍結,熱分析,過冷却,凍結濃縮,アニサキス

日本冷凍空調学会論文集Vol.32,No.1 (発行日:2015/3/31)
[原著論文]
CaCl2を用いた液固反応による移動体向け高出力高密度蓄熱システムの放熱基礎特性
丹羽亜衣* 小林敬幸*
* 名古屋大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻(464-8603名古屋市千種区不老町1)
要 約:
本研究は,環境汚染物質の排出抑制と燃費向上を目的とし,蓄えた排熱を加熱対象機器に放熱する蓄熱システムの開発である.化学蓄熱で,従来用いられる蒸発器は,移動体用に装置体積を減少させるために省略した.固液反応による溶解熱を用い,溶液を熱伝達媒体として加熱部に送る.CaCl2 (s) / H2O(l)反応に着目し,発熱量,発熱速度及び繰り返し性能を測定した.溶解熱は環境温度下で,飽和溶解度まで質量濃度に比例し上昇した.単位質量当たりの発熱量は高濃度に比べ低濃度がより高いことを示した.飽和溶解度下の出力は, 初期1分間で5.06 kW / L -H2Oを得た.50回の繰り返し反応の結果,化学組成に劣化は見られなかった.
キーワード: 蓄熱,熱物性,省エネ,CaCl2,固液反応

[原著論文]
低湿度空気を用いたゼオライト系水蒸気脱着のマイクロ波照射効果
伊藤聖也* 渡邉藤雄**黄宏宇* 架谷昌信*** 小林敬幸*
* 名古屋大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻(464-8603愛知県名古屋市千種区不老町)
** 愛知工業大学総合技術研究所(470-0392愛知県豊田市八草町八千草1247)
*** 愛知工業大学工学部機械学科(470-0392愛知県豊田市八草町八千草1247)
要 約:
デシカント空調機のコンパクト・高出力化を目指した熱・マイクロ波照射ハイブリッド空調機を提案し,本研究では,吸着過程と同湿度空気(Case-1)および吸着過程の湿度より低い湿度空気(Case-2)を用いた条件下のマイクロ波照射加熱による吸着水の脱着促進効果について脱着率,脱着速度を指標とする評価を行った.実験では,ゼオライト充填層による温風温度(50-100℃),マイクロ波強度(30-100W),3種の初期吸着量条件下の脱着過程における充填層内温度,層出入り口の湿度の測定を行った.その結果,以下が示された.1)Case-1,Case-2の熱収支は同一手法で評価できる.2)Case-2の温風系脱着率を基準とするマイクロ波併用系の脱着時間,熱効率は温風系のそれぞれ最小0.3倍および最大1.3倍となり,温風加熱型デシカント空調機に比べて処理空気量の1.25倍の増大,もしくは吸着ローター断面積の0.8倍の低減が可能になることを示唆している.3)マイクロ波の導入は効率的な高度脱着に寄与する.
キーワード: デシカント空調, 熱伝達, 脱着, マイクロ波, ゼオライト, 調湿

[原著論文]
筋肉と筋原線維で異なるミオシンとアクチン凍結変性
今野久仁彦*, 今野敬子*
*北海道大学大学院水産科学研究院(041-8611函館市港町3-1-1)
要 約:
 ヒラメ魚肉およびそこから調製した筋原線維(Mf)(0.1 M NaCl, pH 7.5)を-20°Cで凍結貯蔵した時のミオシン,アクチン変性を比較した.Mf ではCa2+-ATPaseの失活とミオシン単量体の減少は8日程度の期間で同様に進行したが,ミオシン溶解性の低下はほとんど起こらなった.キモトリプシン(Ch)消化で生成するRod量はほとんど低下せず,尾部の変性は少ないと判断した.凍結Mf のCh消化でアクチンが消失したので,アクチンの著しい変性が示された.このアクチン変性速度はCa2+-ATPase失活と同じであった.一方,ヒラメ筋肉を凍結した場合,全ての変性速度は著しく小さくなり,60日貯蔵でも75 %のCa2+-ATPase活性を維持していた.また,Ch消化パターンの解析からアクチン変性はほとんど認められなかった.以上のことより,Mf中のアクチンは魚肉中とは異なり,凍結に対して耐性が低く,容易に変性するので,結果としてミオシンを安定化できず早い変性を引きおこすと結論した.以上の結果から,凍結変性研究においてMfは筋肉のモデルとしては不適であることが示された.
キーワード:ヒラメ, 筋原線維,凍結変性,ミオシン,アクチン

[原著論文]
冷凍サバの品質に及ぼす影響要因の解明
中澤奈穂* 和田律子** 田中竜介*** 岡野利之****
福島英登**   前田俊道**   岡ア惠美子*  福田 裕*
*東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科(108-8477東京都港区港南4-5-7)
**独立行政法人水産大学校食品科学科食品安全利用学講座(759-6595山口県下関市永田本町2-7-1)
***宮崎大学農学部海洋生物環境学科(889-2192宮崎市学園木花台西1-1)
****一般社団法人海洋水産システム協会(103-0027東京都中央区日本橋3-15-8)
要 約:
 冷凍サバの品質への影響要因を明らかにする目的で,国内数ヶ所で製造された国産冷凍サバと輸入冷凍サバを用いて,品質指標として刺身としてのおいしさ,影響因子として鮮度指標K値,脂質含量,漁獲から凍結までの経過時間および冷凍保管期間などを相互に比較した.その結果,国産および輸入冷凍サバは,原料ごとにK値,脂質含量などが異なり,刺身としてのおいしさもそれぞれ異なった.主成分分析の結果,刺身としての品質には,脂質含量の高さと鮮度の高さが影響しており,脂質含量が高い方が刺身としての品質は高い傾向があった.しかし同じ脂質含量では鮮度が高い方が品質は高かった.また冷凍サバの品質を向上する手段の一つとして,漁獲後,鮮度の高い状態での凍結が考えられた.
キーワード: 凍結食品, 凍結貯蔵, 冷凍サバ, K値, 脂質含量, 官能評価, 凍結前氷蔵期間

[原著論文]
国内流通サバ類の冷凍期間・温度による脂質酸化ならびにアルデヒド類への影響
田 中 竜 介* 中 澤 奈 穂** 前 田 俊 道*** 福 島 英 登*** 和 田 律 子*** 杉 浦 義 正***  松 下 映 夫*** 幡 手 英 雄* 岡 野 利 之**** 福 田   裕**
*宮崎大学農学部海洋生物環境学科(889-2192宮崎市学園木花台西1-1)
**東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科(108-8477東京都港区港南4-5-7)
***独立行政法人水産大学校食品科学科(759-6595山口県下関市永田本町2-7-1)
****一般社団法人海洋水産システム協会(103-0027東京都中央区日本橋3-15-8)
要 約:
 日本国内で流通している冷凍Norway産タイセイヨウサバ (Scomber scombrus Linnaeus)ならびに冷凍国内産マサバ(Scomber japonicus Houttuyn)において,漁獲場所,漁獲時期,冷凍期間,冷凍温度による,脂質酸化ならびにアルデヒド類の影響について検討を行った.脂質含量はNorway産タイセイヨウサバと冬期に日本近海の低緯度で漁獲されたマサバが高かった.過酸化物価,アルデヒド類は冷凍温度が高く,冷凍期間が長くなると増加した.また,ビタミンE含量の減少とともに,アルデヒド類の一つである4-hydroxy-2-hexenal が増加したことから水産物に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸の酸化が示唆された.以上の結果から,国内で流通している冷凍サバ類は様々な脂質酸化レベルの商品が存在し,これらの品質を向上させるためには,冷凍期間・温度に留意する必要があることが示唆された.
キーワード: 脂質酸化,凍結貯蔵,過酸化物価,4-hydroxy-2-hexenal,ビタミンE

[原著論文]
冷凍サバの物性に及ぼす品温および脂肪含有率の影響
松 原  久*   竹 内  萌*   高 橋  匡**   小 坂 善 信* 工 藤 謙 一**   鈴 木 徹***
* 地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所(031-0831青森県八戸市築港街2-10)
** 地方独立行政法人青森県産業技術センター弘前地域研究所(036-8363青森県弘前市大字袋町80)
***東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科食品生産科学部門(108-8477東京都港区港南4-5-7)
要 約:
 ラウンド冷凍サバの品質を維持しつつフィレーにできる最低品温を明らかにするため,冷凍サバの力学的物性に及す品温と脂肪含有率の影響について検討した.  その結果,冷凍サバの侵入応力が,品温,脂肪含有率の低下に伴い高まること,?30?Cと?40?Cの間に侵入応力の変化点があること,脂肪含有率はその侵入応力を抑制する事を明らかにした.
キーワード: 冷凍 固化 力学的物性,脂肪含有率,サバ,品温

[原著論文]
ゴマサバにおける鮮度および凍結温度が氷結晶に及ぼす影響
橋本加奈子*   瀧口明秀**   
* 千葉県水産総合研究センター(295-0024千葉県南房総市千倉町平磯2492)
** 千葉県水産総合研究センター(295-0024千葉県南房総市千倉町平磯2492)
現所属 東京海洋大学(108-8477東京都港区港南4-5-7)
要 約:
 ゴマサバにおける鮮度および凍結温度が凍結貯蔵中の氷結晶生成に及ぼす影響を調べた.漁獲後,冷却貯蔵期間を変えて鮮度の異なる試料を調製し,-20 ℃,-30 ℃および-60 ℃で凍結し,それぞれを凍結と同じ温度で1か月間貯蔵した.筋肉中に生成した氷結晶の大きさは,鮮度の良い試料を凍結したものほど小さく,凍結温度の低いものほど小さかった.氷結晶の大きいものほどドリップ量は多く,両者には正の相関がみられた.また,鮮度の悪い試料は,低い温度で凍結しても氷結晶は比較的大きく,ドリップ量も多いことが判明した.
キーワード: 温度,ゴマサバ,鮮度,凍結,ドリップ,氷結晶

[原著論文]
遠洋まぐろはえ縄で漁獲されたマグロ類の品質評価
‐第1 報:凍結マグロ肉の部位による品質の差異‐
鈴木道子* 木宮隆* 岡ア惠美子** 平岡芳信***  大村裕治* 上原崇敬**** 横田耕介**** 澤田克彦****  伏島一平**** 今村伸太朗* 
*独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所(236-8648 神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−4)
**国立大学法人東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科(108-8477東京都港区港南4-5-7)
***愛媛県産業技術研究所食品産業技術センター(791-1101愛媛県松山市久米窪田町487-2)
****独立行政法人水産総合研究センター開発調査センター(220-6115神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-3クイーンズタワーB 棟15 階)
要約:
マグロ類などの魚体の大きな魚種では,エアーブラスト冷凍機等により魚体の外側から順次凍結され るため,中心部分が凍結されるまで時間を要する.そのため,部位により肉質の違いが生じると考えら れるが,それを調べた報告は極めて少ない.本研究ではメバチを対象とし,魚肉成分の分布と色調(a* 値)との関連を調べた.魚体断面におけるATP の割合は脊椎骨周辺で低かった.ATP の割合が低い部 位では乳酸含量が高かった.a*値はATP の割合および全糖含量と負の相関,乳酸含量およびミオグロビ ン含量と正の相関があった.以上から,魚体中の魚肉成分の分布は大きく異なり,それらが色調の部位 による差異に影響していると考えられた.
キーワード: 凍結,解凍,色調,魚肉成分,マグロ,ミオグロビン

[原著論文]
凍結条件がマガキのエキス成分組成に及ぼす影響
村 田 裕 子*   東 畑  顕*   
*独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所(236-8648横浜市金沢区福浦2-12-4)
要 約:
 マガキ殻付きおよびむき身における凍結条件によるエキス成分組成への影響について調べた.殻付きおよびむき身について液体窒素およびエタノールブラインを用いた急速凍結や冷凍庫内での緩慢凍結を施し,それぞれ-84℃で実験まで保管した.カキは凍結状態で過塩素酸で抽出を行い,抽出したエキス中の遊離アミノ酸,核酸関連化合物,有機酸組成を調べた.その結果,むき身では,有意差はないものの凍結によって有機酸総量と遊離アミノ酸総量が増加する傾向が見られた.一方,殻付きでは,凍結によって,遊離アミノ酸総量と有機酸総量が減少したが,これは,殻の中の水が凍結してむき身の重量に加わったためと考えられた.
キーワード: 凍結, 急速凍結,緩慢凍結,エタノールブライン,液体窒素

[原著論文]
数値計算モデルによる食品凍結時の過冷却解消予測および 過冷却状態維持のための冷却条件の検討
小山内泰亮*  森義樹**  牧内俊樹*  大河誠司*  宝積勉* 
* 東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻(152-8550東京都目黒区大岡山2-12-1)
** 東京工業大学工学部機械科学科(152-8550東京都目黒区大岡山2-12-1)
要 約:
 凍結による食品組織の損傷を抑制するためには氷結晶を均一にする必要がある.この方法の1つとして過冷却現象を利用した凍結が挙げられるが,食品中心部が過冷却状態に達する前に過冷却が自然解消するという問題がある.本稿では試料温度変化を基に,任意の形状の試料中に氷核が発生して試料全体の過冷却が解消されるまでを予測する数値計算モデルについて提案する.また,本モデルを用いて試料形状や冷却速度の違いが凍結開始時の温度分布に及ぼす影響について検討し,マグロ試料の凍結実験結果と合わせて評価した.その結果,試料内に温度分布が付かないように冷却することで,試料表面からの過冷却解消を抑制し,試料中心部の過冷度を高められることが分かった.
キーワード: 食品,過冷却,温度分布,凍結,数値計算モデル

日本冷凍空調学会論文集Vol.31,No.4 (発行日:2014/12/31)
[論  文]
リキッドデシカント空調システム用再生器の熱・物質移動特性
著者名:山口誠一,木村健,大野慶介,齋藤潔,原田政利,宮内彦夫
 本論文は,デシカント空調システムの一種であるリキッドデシカント空調システムを対象としている.リキッドデシカント空調システムでは,液体デシカントである吸収溶液と湿り空気とを直接接触させることで,湿り空気中の水蒸気を吸収分離している.しかし,システムの主要要素である充填層型除湿・再生器の熱・物質移動特性については,いまだ十分に解明されているとは言えない.そこで本研究では,充填層型除湿・再生器における再生過程での基本的な熱物質移動特性について実験的調べることを目的としている.具体的には,通風する空気の全面風速および散布する溶液の質量流束が変化した場合の,出口空気状態や平均総括熱物質移動係数への影響について明らかにする.実験の結果,各パラメータが熱物質移動係数に与える影響について明らかにした.これらの知見は,システムの基本的な設計に関する指針となることが期待できる.
キーワード:デシカント空調システム,熱移動,物質移動,リキッドデシカント,塩化リチウム水溶液

[論  文]
水平微細流路における気液二相流の流動様式とスラグ流における液膜厚さ
著者名:吉 永 祐 貴,党 超 鋲, 飛 原 英 治
本研究では,微細流路を流れる気液二相流の流動様式及びスラグ流における気泡速度と液膜厚さを, レーザー共焦点変位計と高速度カメラを用いて実験的に観察を行った.液相の物性や流路の寸法によ る影響を包括的に評価するため,内径が0.5 mm, 1.0 mm, 2.0 mm のガラス円管と,液相には水, エタノ ール, FC72, 二種類のシリコンオイルKF-96L-0.65cs とKF-96L-2cs を用いた.微細流路における流動様 式は,管径が大きくなり,液相の表面張力が小さくなるという影響により,微細流路を用いた既存研 究で提案されている流動様式線図と異なる一方,粘性による影響は小さいことが確認された.また, 気泡速度と液膜厚さに関しては,実験結果と既存研究における相関式がおおむね一致したが,特に液 相の表面張力や粘性が低い条件では,既存の相関式よりも実験値が低い値を示した.また管径が大き くなるに従って,その誤差も大きくなることが確認された.
キーワード: 流動様式,微細流路, スラグ流, 気泡速度,液膜厚さ

[論  文]
スクリュー圧縮機の吐出損失動力の低減
著者名:千葉 紘太郎,土屋 豪
給油式スクリュー型空気圧縮機の吐出完了直前における圧力の急上昇現象を指圧の測定により確認 した.この現象の原因は,吐出完了直前における吐出ポートの開口面積の急激な縮小にあると考え, 吐出空間と吸込圧力にある作動空間とを隔てている吐出ポート中央凸部を短縮した.その結果,内部 漏洩による損失動力が増大するものの,吐出損失動力が減少した.これにより,内部漏洩と圧力急上 昇現象に対する抑制効果が総合的に大きくなる吐出ポート形状の存在を明らかにした.
キーワード: 圧縮機,圧力損失,吐出ポート,指圧線図,過圧縮

[論  文]
R 245faの飽和蒸気圧およびpρT性質
著者名:丸 子 晃 平, 田 中 勝 之, 田 中 誠
R 245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)の飽和蒸気圧および液相,気相におけるpρT性質について,金属ベローズ法を用いて測定した.測定は310 Kから410 Kまでの温度範囲で行った.液相においては圧力範囲502から5002 kPa,密度範囲910から1323 kg・m-3において29点のデータを得た.気相においては圧力範囲209から2632 kPa,密度範囲12から184kg・m-3において44点のデータを得た.これより飽和蒸気圧も決定した.測定結果に基づき,液相においてはSato型状態方程式,気相においてはビリアル型状態方程式の各係数を決定した.その結果,Sato型状態方程式は相対標準偏差0.07 %,ビリアル型状態方程式は0.36 %で測定結果を再現した.また作成した状態方程式に飽和蒸気圧を代入し飽和液密度および飽和蒸気密度を決定した.さらに測定値を既存の状態方程式と比較した.
キーワード: 冷媒, 熱物性, 飽和蒸気圧, pρT性質, R 245fa

[論  文]
冷媒R245fa の水平加工管上での凝縮様相および凝縮熱伝達
著者名:松 野 友 暢, 野 口 照 貴, 地 下 大 輔, 井 上 順 広, 高 橋 宏 行
本研究では,水平な2 次元ローフィン付管および3 次元微細溝付管上でR245fa の凝縮実験を行い, 流動様相,液充満角度および凝縮熱伝達について検証した.試験伝熱管には外径19 mm の7 本の2 次 元ローフィン付管および3 本の3 次元微細溝付管を用いた.本実験では液滴モード,液滴・液柱共存 モードおよび液柱モードの3 つの流動様相が観察された.流動様相が遷移する膜レイノルズ数はロー フィン付管と微細溝付管とでは異なり,微細溝付管の方がローフィン付管に比してより小さい膜レイ ノルズ数で液滴モードから液滴・液柱共存モードへと遷移した.また,液充満角度および凝縮熱伝達 特性に及ぼすフィンピッチ,フィン高さおよびフィン形状の影響について検討した.
キーワード: 凝縮,伝熱,流動様相,ローフィン付管,微細溝付管,液柱モード,R245fa

[論  文]
A Three-Stage Adsorption Cycle with Three Silica-Gel Beds
著者名:I Gusti Agung Bagus WIRAJATI, Muhammad UMAIR,Koji ENOKI, Yuki UEDA, Atsushi AKISAWA
This paper proposes a three-bed three-stage adsorption cycle with a new operational strategy. The cycle consists of three adsorber/desorber heat exchangers, one evaporator, and one condenser. The two beds on the low-pressure side operate in a re-heat cycle, and another bed on the high-pressure side operates in a conventional cycle. The objectives of the current study were to evaluate the cycle at a low heat source temperature such that it can be driven by solar or waste heat and to reduce the number of heat exchangers from six beds to three beds. A simulation model was developed, and the system behavior and its performance were predicted. The performance of the proposed cycle was compared with that of a conventional six-bed three-stage adsorption cycle. The simulation results showed that the proposed cycle with the new operational strategy could operate at low heat source temperature i.e., 45 °C, and offers approximately five times higher performance in terms of SCP than the conventional cycle. Consequently, the proposed cycle is effective for use of a low-grade heat source, even with three beds.
Keywords: Adsorption cycle, Three-bed three-stage cycle, Silica gel, water, COP, SCP

[論  文]
太陽熱一重二重効用吸収式冷凍機の設計手法の確立
著者名:八 橋 元,齋 藤 潔,鄭 宗 秀
太陽熱一重二重効用吸収式冷凍機は太陽熱のバックアップとして量産型の高効率二重効用吸収式冷 凍機を備えているため,太陽熱利用空調システムとして普及が進みつつある.本論文では当該冷凍機 の主構成要素の熱・物質収支に関する解析モデルを構築して,太陽熱を利用して効率を高めることを 目的とした設計の最適手法の確立を試みた.従来,設計に際してKA 値を変えることは熱交換要素な どの製作が必要となるため,制約があった.本手法では与えられた仕様に対し,KA 値の特性を得て, 最適のCOP を得る解析を行った.本手法を用いることにより,多くの試作製作を省くことができ,設 計スピードの向上が期待できる.さらに溶液のフローパターンが異なる三種類の二重効用サイクルの 評価を行った結果,リバースフローをベースとしたサイクルが高い効率を得ることが判った.
キーワード: 吸収式冷凍機,成績係数,太陽熱, 解析モデル, 設計手法

[論  文]
冷媒R1234ze(E),R1234ze(Z),R134a およびR245fa の 水平平滑円管上の自由対流凝縮およびプール沸騰熱伝達特性
著者名:永 田 龍 一,近 藤 智 恵 子,高 田 信 夫,小 山 繁
著者らは,外径19.12 mm,有効伝熱長さ400 mm の銅製平滑円管を試験伝熱管として用いて, R1234ze(E),R1234ze(Z),R134a およびR245fa の水平平滑円管上における自由対流凝縮およびプール 沸騰熱伝達特性に関する実験的研究を行った.凝縮実験は冷媒飽和温度20〜60 °C,壁面過冷却度0.77 〜28.81 K の条件で行い,全試験冷媒において凝縮熱伝達率の実験値はNusselt の理論値に対して±11% 以内で一致すること,および飽和温度40 oC の条件においてR1234ze(Z)およびR134a の凝縮熱伝達率 はR1234ze(E)およびR245fa に比して高いことを示した.沸騰実験は冷媒飽和温度10〜60 °C,壁面熱 流束0.73 〜 80.13 kW m-2 の条件で行い, 全試験冷媒において, 沸騰熱伝達率の実験値は Stephan-Abdelsalam の式で比較的よく相関できることを確かめた.また,冷媒飽和温度20 °C の条件に おいては換算圧力の高いR1234ze(E)およびR134a の沸騰熱伝達率は換算圧力の低いR1234ze(Z)および R245fa に比して非常に高いこと,およびR1234ze(Z)について換算圧力が高くなると,沸騰熱伝達率は 上昇することを確認した.
キーワード: 凝縮,沸騰,熱伝達,R1234ze(E),R1234ze(Z)

日本冷凍空調学会論文集Vol.31,No.3 (発行日:2014/9/30)
[研究レビュー]
主題 冷媒/冷凍機油混合物の水平管内凝縮
著者名 野津 滋
冷媒/冷凍機油混合物の水平管内凝縮に関する研究レ ビューを行った.主として,油が凝縮熱伝達に及ぼす影 響を扱い,局所および平均の熱伝達と見なせる従来の実 験データを幅広く集約し考察を行った.その結果,油が 熱伝達に及ぼす影響は,液流量が低く蒸気せん断力の大 きな領域で顕著であること,および,圧力損失に及ぼす 影響は熱伝達よりかなり小さいこと等を示した.さら に,単純化された層流膜状凝縮理論を用いて,液相粘度 が熱伝達に及ぼす影響に関する定量的検討を行い,複数 の実験データとの関連を示した.あわせて,マイクロ フィン付管が平滑管より油の影響を受けやすい例も示 した.
キーワード
凝縮,気液二相流,熱伝達,圧力損失,冷媒/冷凍 機油混合物

[論  文]
主題 HFO-1234yf冷媒による扁平管内凝縮伝熱特性
副題 内壁突起と潤滑油の伝熱への影響
著者名 勝田正文,佐藤 遼,山下 暁,黒岩 透
現行のカーエアコンに使用しているR 134a 冷媒のGWP は1430 で,カーエアコン指令により使用ができなくな る.その代替としてHFO-1234yf 冷媒が開発された.本 研究は,この冷媒の伝熱(凝縮)特性を把握し,冷凍効 率を上げることを目的とする.実験装置は圧縮機,凝縮 器,膨張弁,蒸発器で構成される基本的な冷凍サイクル を使用し,テストセクションには突起を設けた扁平管と 平滑管の2 種類を用い,突起が伝熱特性と圧力損失特 性に及ぼす影響を評価する.また,オイルの混入率を変 化させ,同条件でデータを採取し,オイルの影響も評価 する.
キーワード
HFO-1234yf,凝縮,扁平管,内部突起,潤滑油

[論  文]
主題 蒸発器管内冷媒の流動特性と熱輸送を考慮した 冷蔵庫除霜運転の効率向上に関する研究
副題 第3 報:単列千鳥配列管および各種二列モデ ルによる冷媒流動特性評価
著者名 堀井克則,仮屋圭史,中嶋祐紀,松本駿介, 森 英夫
本報では,鉛直方向に千鳥状に並んだ配列管の単列モ デルおよび可視化管,フィン付きアルミ管,内面溝付き 管の各種二列モデルを用いて,無着霜状態での加熱実験 を行い,第1 報の単列直線配列平滑管モデルでの結果と 比較して,冷媒の流動特性を検討した.千鳥配列管およ び内面溝付き管モデルでは,直線配列平滑管の流動特性 と同様であるが,変化の経過時間が短くなった.また, 二列管モデルでは,アキュムレータと接続された列とも う一方の列で流動様相が異なることを明らかにした.さ らに,二列フィン付きアルミ管モデルでは,両列で流動 様相は異なるが,フィンの熱伝導により管表面温度変化 は類似することがわかった.
キーワード
冷蔵庫,除霜,蒸発器,流動様式,加熱実験

[論  文]
主題 蒸発器管内冷媒の流動特性と熱輸送を考慮した 冷蔵庫除霜運転の効率向上に関する研究
副題 第4 報:二列モデルによる除霜評価
著者名 堀井克則,仮屋圭史,中嶋祐紀,松本駿介, 森 英夫
前報と同じ二列モデルを用いて,第2 報同様,着霜状 態での除霜実験を行い,無着霜状態での加熱実験結果と 比較して,除霜時の冷媒流動を検討した.アキュムレー タと接続された列では,液を押し上げながら上昇した発 生冷媒蒸気が,上段で凝縮し下段から順次過熱蒸気単相 状態に至る単列と同じ様相だが,もう一方の列では,上 段への液供給はないが,発生蒸気が供給され,その蒸 気が凝縮して下段へ液が下降していると考えられた.ま た,冷媒を充てんしない真空条件での除霜実験と比較し て,上昇した発生蒸気が凝縮して凝縮潜熱を放出する冷 媒の熱輸送は,両列とも上段の霜の融解に有効であり, 除霜終了早期化に寄与していることを明らかにした.
キーワード
冷蔵庫,除霜,蒸発器,流動様式,除霜実験,熱輸送

[論  文]
主題 空調用スクロール圧縮機のPWM バイパス容 量制御の検討
著者名 飯島遼太,小山昌喜
空調用圧縮機では,低負荷運転時のモータ・インバー タ効率の低下や発停の繰り返しによる効率低下が課題で ある.そこで本研究では,インバータ制御と組合せ可能 な機械的容量制御であるPWM バイパス容量制御につい て検討した.PWM バイパス容量制御では,圧縮室の冷 媒をすべて吸込側へ戻すアンロード運転を行うためにバ イパス通路および電磁弁を設け,電磁弁のPWM 制御に よりフルロード,アンロード運転を任意の比率で切り替 えて容量制御を行う.本報告では,実機における効率お よびバイパス部圧力変動の測定結果,およびシミュレー タによる各制御パラメータの検討結果について報告する.
キーワード
圧縮機,空気調和機,省エネルギー,容量制御,パ ルス幅変調

[論  文]
主題 食品凍結時の過冷却現象が氷結晶の形態および ドリップロスに及ぼす影響
著者名 小林りか,兼坂尚宏,渡辺 学,鈴木 徹
食品冷凍において,氷結晶の形態は食品の最終品質に 大きく影響を与える.既往研究において,凍結過程で偶 発的に顕著な過冷却が生じる場合,微細かつ均質な構造 を持った,特徴的な氷結晶が生成したとの報告がある. この凍結過程を本編では過冷却凍結と呼ぶが,本研究で は,緩慢な冷却によって意図的に豆腐試料の過冷却凍結 を実現し,その過程での過冷却解消温度を変え,解凍後 の復元性,氷結晶の形態およびドリップロスに及ぼす影 響を調べた.その結果,過冷却解消温度が低いほど氷結 晶は微細になり,解凍復元性が良くドリップロスも抑制 された.これらの結果は,過冷却が深くなるほど氷核生 成頻度が上がることに関連すると考えられる.
キーワード 過冷却,氷結晶,氷核生成,過冷却解消温度,ドリッ プ,食品冷凍

[論  文]
主題 R 347mcc の飽和蒸気圧力および飽和液体密 度の測定
著者名 田中勝之
R 347mcc(CF3CF2CF2OCH3,1-methoxyheptafluoropropane) の飽和蒸気圧力と飽和液体密度を,300 K 〜 400 K にお いて10 K 間隔で測定した.測定装置は,大小2 つの容 器と圧力センサからなる抽出法を用いた.測定不確かさ は, 温度0.028 K, 圧力0.4 kPa, 密度0.7 kg・m−3 と見 積もった.測定結果を用いて,飽和蒸気圧力と飽和液体 密度の相関式をそれぞれ作成したところ,飽和蒸気圧力 については標準偏差が0.4 kPa 以内,飽和液体密度につ いては標準偏差が0.5 kg・m−3 以内で相関できた.また, 過去の文献値について本相関式と比較した.
キーワード
冷媒,熱物性,R 347mcc,飽和蒸気圧力,飽和液体 密度,相関式

特集:植物工場に関わる技術の展開


[論  文]
主題 植物工場空調の現状と課題
副題 完全人工光型植物工場の空調
著者名 伊能利郎,稲田良造
第3 次植物工場ブームといわれる現在,植物工場事業 へ参入する企業が増加し,完全人工光型植物工場の数も 増えてきた.植物栽培にあたって重要な要素となる環境 制御技術は,照明,空調などで構成されるが,空調に関 してはイニシャルコスト削減が主な目的でパッケージ方 式のエアコンを使用されることが多い.本報では,完全 人工光型植物工場空調の現状を空調方式や要求されてい る事項,負荷特性などから述べる.また,実際の完全人 工光型植物工場の空調環境を計測して分析した結果よ り,植物工場特有の負荷条件とそこで使用されている空 調機との組み合わせによる課題が発生していることがわ かったので,今後の取り組み課題と併せて述べる.
キーワード 植物工場,空調,温度,湿度

[論  文]
主題 吸収式冷房システムへの太陽熱の導入効果
副題 植物工場への適用可能性の検討
著者名 西村伸也,松原為敏,伊與田浩志,     白柳洋祐,山賀勇真
夏季の冷房負荷が大きい太陽光型植物工場への熱駆動 の吸収式空調システムの導入を想定し,長期間の実証試 験結果に基づいて,冷房運転時のシステムの運転特性と 太陽熱エネルギーの利用が性能に与える影響を実験的に 調べた.その結果,まず,太陽熱の利用により,通常の 都市ガス単独運転時と比べてCOPが20〜50 %程度向上 し1.3 から1.5 となることがわかった.また,太陽熱単独 による単効用運転時と,都市ガスのみによる二重効用運 転時のデータを抽出し性能を算出した.その結果,太陽 熱単独運転時のCOPは0.6 から0.8 程度であること,都 市ガス単独運転時のCOPは1.0から1.2程度であること を明らかにした.加えて空調負荷の少ない中間期には, COPは最大で1.8 程度を示した.以上より,吸収式冷房 システムへの太陽熱導入が効果的であることを実証した.
キーワード 植物工場,太陽熱エネルギー,空調,吸収式冷凍機, 太陽集熱器,COP,期間性能,二重効用

[論  文]
主題 CO2 施用時の高い相対湿度がキュウリの生育, 光合成速度,窒素含量に及ぼす影響
著者名 鈴木真実,松尾誠治,梅田大樹,岩崎泰永
より効果的なCO2 施用技術の開発に関する基礎的な 知見を得るため,CO2 施用時に相対湿度を高めに設定し た場合(レベル1;平均74.5 %,レベル2;平均86 %, レベル3;平均97.8 %)のキュウリ幼植物体の乾物重や 葉面積に及ぼす影響を調査した.CO2 濃度が1 000 ppm 程度の試験区では500 ppm の区に比べて光合成速度が 高まった.また湿度の影響を比較すると,レベル2 では レベル1 よりも葉面積が拡大したため,乾物重や相対成 長率が有意に高まった.一方でレベル3 ではレベル2 よ り乾物重が低下した.レベル3 はレベル2 と比べると 光合成速度,葉面積ともに低下する傾向がみられ,そ の相乗作用として乾物重が低下したと推察された.以上 より,加湿は光合成速度と葉面積の両方に影響し,乾物 重に反映されることが示された.CO2 施用時に相対湿度 を高めに設定する場合は最適値があることを意識し,光 合成速度,葉面積,蒸散による養分吸収の関係を考慮す る必要があることが示された.
キーワード 環境,制御,除湿装置,温湿度調整,光合成,生産量, 植物生理

[論  文]
主題 Production of June-bearing Strawberries in Summer under Controlled Day Length and Temperature
著者名 Teruo WADA
June-bearing strawberries cannot be produced in summer because they require low temperatures and short days for flower bud formation, and because high air temperatures decrease fruit yield and quality. I tried to produce fruits of June-bearing strawberry in summer by controlling day length and air temperature. Seedlings of three cultivars,‘ Sachinoka’,‘ Benihoppe’, and‘Marihime’, were transplanted to a greenhouse in autumn 2012 and grown in rockwool culture. In late spring 2014 the growing area was covered with shade cloth having heat-insulating properties. Day length was controlled to 12 h and the air was cooled initially to 28/15 ℃(initially)and then to 28/10 ℃ in summer. In the control, air temperature was not cooled. In the airconditioned area, the vapor pressure deficit was always lower and the CO2 concentration in the dark period was higher than in the control. In control plants, fruit yield after May was very low, and no fruit was harvested in September, while the air-conditioned plants produced similar yield as in winter. Soluble solids content and firmness of fruits in the air-conditioned area in summer were higher than in fruit harvested in winter.
キーワード Control, Environment, Heat pump, Temperature, Day length, Quality, Strawberry, Yield

[論  文]
主題 植物工場における栽培植物の活動を組み込んだ 最適空調シミュレーション手法の開発
著者名 小松紗代子,上田保司,岡村信弥,     伊能利郎,吉田篤正,木下進一
植物工場とは,一般に栽培環境制御システムを有する 植物栽培施設を指す.一年中安定した生産と短期間での 栽培が可能であることが特徴である.植物工場の空調シ ステム課題としては,コスト削減と最適栽培環境の実現 が挙げられる.本研究では,植物工場のための最適空調 システムを開発することを目的として,植物活動を考慮 した空調シミュレーション手法を提案した.植物活動 は,温湿度とCO2 濃度に影響を与える蒸散と光合成で ある.シミュレーションに必要な植物に関する諸数値を 栽培実験により同定した.また,シミュレーションによ り植物工場内の空調環境の状況を把握し,収穫量を評 価した.シミュレーション結果と栽培実験との比較から 本手法の妥当性を確認した.
キーワード 数値流体力学,空調設備,植物工場,栽培実験,収 穫量,光合成,蒸散

[論  文]
主題 温度変動が誘起する発芽期における概日リズム の集団同期
著者名 有働龍太,守行正悟,鵜飼和也,福田弘和
植物工場施設の大規模化に伴い,温度分布の不均一 性や時間変動が発生するリスクが高まる.このため,植 物の高い温度感受性に着目し,温度変動の影響を定量 化する研究が求められている.そこで本研究では,レタ ス発芽期の温度感受性を,概日リズムの集団同期現象を 指標として定量化することを目的に行った.実験には, 遺伝子組換えグリーンウェーブレタス(AtCCA1::LUC) を用い,レタス種子の発芽期における概日リズムを計測 することで,個体間の概日リズムの同期率を解析した. その結果,温度の周期的変動や急激な低下によって,個 体間の概日リズムが集団同期することが明らかとなっ た.これにより,植物工場において概日時計の計測に 基づいた生育のモニタリングや苗の生育診断を行う際に は,空調による温度制御には十分注意しなければならな いことが示唆された.
キーワード 産業用空調,制御,位相同期,温度揺らぎ,概日リズ ム,植物工場

[論  文]
主題 植物工場産フリルレタスの抗酸化成分および冷 蔵保存中の変化の評価
著者名 明神千穂,大房 健,粟田 智,小倉東一, 木下進一,吉田篤正,川西正子 本研究では,大阪府立大学植物工場研究センターで栽 培されたフリルレタスの抗酸化性と保存中の変化につ いて検討を行った.植物工場産フリルレタスと太陽光 栽培レタスと玉レタスを収穫後および4 ℃で4 日間冷蔵 保存したものを試料とした.DPPH ラジカル捕捉活性, ORAC 値,総ポリフェノール量,アスコルビン酸の分 析を行った.植物工場産フリルレタスのDPPH ラジカ ル捕捉活性と総ポリフェノール量は保存中に有意に増 加した(p < 0.01,p < 0.05).しかし,アスコルビン酸 は有意に減少した(p < 0.01).
キーワード 植物工場,冷蔵保存,フリルレタス,抗酸化性,ポ リフェノール

日本冷凍空調学会論文集Vol.31,No.2 (発行日:2014/6/30)
 魚類筋肉組織の死後変化が凍結時の氷結晶生 成に及ぼす影響 (pp.47-56)
著者名 小南友里,渡辺 学,鈴木 徹

魚類筋肉組織における死後変化と凍結時の氷結晶生成 の関係について検討することを目的とし,筋肉組織の保 水力と筋内膜に着目した実験を行った.冷蔵保存中の筋 肉組織についてATP 関連物質分析,保水力評価,結合 組織観察を行った.保存期間中にATP 分解生成物の増 加,保水力低下,結合組織の脆弱化がみられた.そし て,即殺直後に凍結した組織と2 日間冷蔵保存した組織 では異なる様相が観察された.画像解析の結果から,凍 結前保存期間の差によって凍結時の氷結晶のサイズおよ び数が異なることがわかった.以上より,魚類筋肉組織 において冷蔵保存期間中の死後変化の進行に伴う組織性 状変化が,凍結時の氷結晶生成に影響を及ぼすことが定 量的に示された.
キーワード: 凍結,氷結晶,保水力,筋内膜,筋肉組織,マアジ


 冷媒R 1234ze(E)およびR 32 の水平扁平 多孔管内沸騰・蒸発熱伝達および圧力損失 (pp.57-65)
著者名 地下大輔,小宮佑太,近藤智恵子,小山 繁

本報は,冷媒R 1234ze(E)およびR 32 における,水 力直径1.13 mm の微細矩形流路を有する水平扁平多孔 管内沸騰・蒸発熱伝達および圧力損失について,実験的 に検討した結果を報告する.熱伝達および圧力損失実験 は質量速度100 〜 400 kg/(m2s),熱流束5 〜 20 kW/m2 の条件で行い,圧力損失については断熱気液二相流の 実験も行った.熱伝達特性に及ぼす質量速度,クオリ ティおよび熱流束の影響について検討するとともに,冷媒 R 1234ze(E)とR 32 との比較を行った.また,熱伝達お よび圧力損失の実験結果と従来提案されている予測式と の比較を行い,予測式の適用性についても検討した.
キーワード: 沸騰,熱伝達,圧力損失,R 1234ze(E),R 32,扁平 多孔管,ミニチャンネル


 メソポーラスシリカ系デシカントロータの低温 吸脱着特性に関する研究 (pp.67-77)
著者名 中川直紀,古谷野赳弘,党 超鋲,飛原英治

近年,ヒートポンプのさらなる高性能化,省エネル ギー化を目指しデシカント材を適用した空調機器が考案 されている.このようなシステムを設計するためには, デシカントロータの吸脱着特性を把握する必要がある. したがって本研究では,重量法を用いてデシカントロー タの吸脱着速度計測実験を行い,等価物質拡散係数を決 定することでデシカントロータの吸脱着特性を明らかに した.また,本実験で採用したデシカントロータは再生 温度が低いメソポーラスシリカおよび高分子収着材を用 いた.実験条件は,幅広い環境下においてデシカント ロータが使用されることを想定し,供給空気の流速の影 響および温度の影響について調査し,吸脱着特性を明ら かにした.
キーワード: デシカントロータ,メソポーラスシリカ,吸脱着速 度,重量法,等価物質拡散係数


 デシカントハイブリッドヒートポンプの冬季 ノンフロスト運転性能評価 (pp.79-90)
著者名 古谷野赳弘,中川直紀,党 超鋲,飛原英治,神戸正純,綾目久雄,黒田尚紀

冬季多湿となる寒冷地ではヒートポンプの蒸発器への フロストが問題となっているが,デシカントロータを用 いて,蒸発器に流入する空気を除湿することにより,フ ロストを防ぐことができる.本研究では,低温下で利用 可能な吸着材,メソポーラスシリカを用いたデシカント ロータとヒートポンプを連結し,デシカントハイブリッ ドヒートポンプシステムを作成した.環境試験室での試 験で,ノンフロスト運転が可能であることが示された. また,吸着した水分を部屋の加湿に利用することで高い システム効率を示すことがわかった.ハイブリッドシ ステムのシミュレーションモデルを作成し,ロータの回 転数や脱着空気に凝縮器から投入される熱量の影響を調 べた.本システムでは潜熱供給が可能であり,居室へ の供給空気をSHF 0.5 〜 1 の範囲で調整できることがわ かった.
キーワード: デシカント空調,デフロスト,加湿,シミュレーション, SHF


 強制対流下における凹凸平板間の着霜現象
副題 空気条件が伝熱と流動に与える影響
 (pp.91-98)
著者名 勝田正文,金子 智,浜野友樹,高野雄督

自動車業界ではEV の普及が加速しており,それに伴 い車両用空調機器に対して高効率化や暖房熱源の確保が 求められている.車両燃費(電費)を考慮するとヒート ポンプによる暖房を行うのがもっとも有効であると考え られるが,室外熱交換器の着霜現象による熱伝達率低下 と圧力損失増加が大きな課題となることが予想される. そのため,熱交換器での着霜の抑制が特に求められてい る現状にある.以上を背景に,結露水の滞留を抑制する ことによる着霜耐力・除霜性能の向上効果が期待されて いるフィンレス熱交換器の着除霜特性の評価手法を確立 するとともに,空気側伝熱・圧損や霜成長の基礎特性把 握を実施した.
キーワード: 着霜,フィンレス熱交換器,圧力損失,熱伝達,湿度


 小型吸収ヒートポンプ給湯機における断熱吸収 器の性能解析 (pp.99-110)
著者名 岡本洋明,党 超鋲,飛原英治

本研究では,H2O/NH3 型吸収ヒートポンプ給湯機の 小型化を目指し,従来の流下液膜式吸収器に換えて,ノ ズル噴射式,トレイ散布式,充填式の3 種類の断熱吸 収器を用いた場合の吸収性能とサイズの検討を行った. ノズル噴射式では,主にFraser et al. の理論にもとづい て微粒化のモデリングを行った.その結果,システム側 で要求される吸収器入口溶液量を1 つで賄えるノズルを 用いた場合でも,50μm 以下の液滴径を得ることがで き,ノズル噴射口から最大60 mm 程度で吸収が完了す ることがわかった.また,それをもとに容積を概算し た結果,1.1 × 10−3m3 程度で十分であると考えられる. トレイ散布式では,吸収性能解析に際して,Grant and Middleman の液ジェット分裂条件を実験によって補正し, 液柱分裂条件を与えた.その結果,アンモニア水溶液で は液柱分裂距離が非常に短く,液滴が大きくなること, そのことで気液接触面積が拡大せず,1 500 mm 以上とい う非常に大きな吸収高さが必要となることがわかった. 充填式では2 種類の不規則充填材を用いた場合につい て,Onda et al. の充填材有効濡れ率相関式を用いて,吸 収性能を解析した.その結果,充填材を流下する液膜の 厚さは2.5 〜 4.8 mm と厚くなり,十分な吸収に要する充 填高さと吸収器直径は,1 000 mm 以上と大きくなると考 えられる.ノズル噴射式は小流量で高吸収率を得るよう な設計に向いており,トレイ散布式と充填式は低吸収率 で大量に流す設計の方が向いていると考えられる.
キーワード: 吸収冷凍機,吸収器,断熱吸収,シミュレーション, ヒートポンプ給湯機


 稚内層珪質頁岩を用いたデシカント空調の開発
副題 第7 報:外気条件に対する予冷・再生温度の 検討
 (pp.111-121)
著者名 鍋島佑基,長野克則,外川純也

本研究の目的は,稚内層珪質頁岩を用いたデシカント 空調の開発である.本報はその第7報である.これまで の研究において,稚内層珪質頁岩(WSS)デシカントロー ター2 枚とフィンチューブ熱交換器を4 枚搭載したデシ カント空調機を開発した.本報では,供給空気の状態を 予測できるように,空調機を再現した数値シミュレー ターを作成し,再生,予冷送水温度条件について検討を 行った.まずは,本シミュレーターの結果が実験結果と 一致していることを確認した.次に,予冷による結露を 生じさせない範囲において,投入熱量が最小となるよう な送水条件を明らかにするため,再生,予冷温度につい て検討した.その検討結果をもとに,夏期における性能 予測計算を日本の5 都市で行い,除湿に必要な投入冷 熱量を比較した.その結果,従来の冷却除湿プロセスに 比較して18 〜 30 %の冷熱量が削減できることが明らか となった.
キーワード: デシカント空調機,稚内層珪質頁岩,システムシ ミュレーョン,熱物質移動,制御方法


 デシカントハイブリッドヒートポンプの夏季ノンドレイン運転性能評価 (pp.123-131)
著者名 綾目久雄,神戸正純,黒田尚紀,古谷野赳弘,中川直紀,党 超鋲,飛原英治

ノンドレイン化の達成のため,従来品と比較してフィ ンピッチを半減化し伝熱面積を増加させた熱交換器を組 み込んだルームエアコンと,デシカントロータを接続し たハイブリッドシステムの性能試験を行った.また,デ シカント室内空気入口の前段にプレクール用の熱交換 器(蒸発器)を追加した際の性能試験も行った.熱交 換器フィンピッチ半減化は,冷房運転においてシステ ムCOP 改善に有用な手法であった.また,蒸気圧縮式 冷凍サイクルのスーパーヒート熱量を利用してプレクー ルを行うシステムは,ヒートポンプ・デシカントハイブ リッドシステムのノンドレイン化に対し,有用な手段で あることが確認された.
キーワード: デシカント空調,ヒートポンプ,ドレイン,除湿, 熱交換器


 廃熱利用高温ヒートポンプサイクルの基本性能 に関する熱力学的考察 (pp.133-144)
著者名 近藤智恵子,小山 繁

工場のプロセス設備などでは蒸気ボイラが用いられて いるが,利用後の熱が回収されずに排出されている場合 が未だ多い.そこで近年,廃熱を昇温して再利用する産 業用ヒートポンプを導入し,エネルギー消費を低減する ことが試みられているが,一次換算エネルギー基準では ヒートポンプの効率が燃焼式に劣るのではないかという 懸念も依然強い.本稿ではその検討事例として,加熱媒 体として圧縮水を用い,これを80 ℃の廃熱源を利用し て160 ℃まで昇温するというシステムについて,ヒート ポンプを適用した場合の計算検討を行った.本論文で は,そのシステムに対し,4 つの具体的な高温用ヒート ポンプサイクルを提示し,それらに新規低GWP 冷媒を 含む,臨界温度の異なる数種の冷媒を適用した場合の 性能を熱力学的に評価し,目標昇温温度と最適冷媒の 選択について重点的に考察を行った.三連のタンデム サイクルは,後流側サイクルの圧縮比が大きくなり総合 COP は他のサイクル構成よりも低くなる.これに対し 多段抽気サイクルは,膨張損失,凝縮器内エクセルギ損 失,および圧縮比を低減できるため,計算した事例中で は比較的高いCOP を示した.3 段抽気サイクルへ体積 能力の最大点が目標昇温温度160 ℃にもっとも近い冷媒 R 1234ze(Z)を使用した場合に,もっとも高い総合COP を達成した.さらに,圧縮機効率および熱交換性能の低 下する場合を検討したが,今回検討した範囲において, これらの影響があった場合にも一次エネルギー換算効率 にして約1.4 以上となる結果が示され,提案する廃熱利 用高温ヒートポンプシステムの導入によりエネルギー消 費低減を達成できる見込みを得た.
キーワード:
成績係数,冷媒,高温ヒートポンプ,廃熱回収,温 暖化係数


 スクロール圧縮機における歯型間に作用する押 接力の解析 (pp.145-156)
著者名 福田充宏,木村航太,本澤政明,鶸田 晃, 野場圭佑

スクロール圧縮機は,冷媒の漏れ防止のために,ラッ プ同士を半径方向に適切な力で押しつけており,最近で は固定クランク式の圧縮機でも,軸受け隙間内の軸の移 動を利用してラップ同士を押しつけているものがある. この押しつけ力を押接力と呼ぶ.本研究では固定クラン ク式スクロール圧縮機の軸受部で発生する油膜力に注目 し,軸および旋回スクロールに作用する力やモーメント のつり合いより押接力を解析的に求めた.軸受け内の軸 の傾きを考慮しないモデルとすることで,計算時間を短 縮し収束性を改善し,解析において,ラップ間に形成さ れる油膜の影響も考慮した.その結果,押接力の発生メ カニズムおよび設計パラメータの影響が明らかとなった.
キーワード:
圧縮機,潤滑,スクロール圧縮機,漏れ,接触力


 情報通信装置向けフリークーリング併用型ハイ ブリッド空調システムに関する研究
副題 第1報:高精度数理モデルの構築と静特性解析
 (pp.157-168)
著者名 宇田川陽介,関口圭輔,柳 正秀,齋藤 潔,大野慶祐

近年,情報通信装置を収容するデータセンタの消費電 力は年々増加傾向にあり,消費電力の低減が強く求めら れている.データセンタにおける空調は,情報通信装置 の運用時に常時発熱を伴うことから年間を通じて冷房を 行う必要がある.そのため,年間での消費電力低減に は,中間期から冬期の低温外気の有効利用が効果的であ る.本研究では,低温外気を利用するフリークーリング サイクルを併用した空調システムを対象に詳細な特性解 析を行い,安定した運転を実現する制御手法の確立を目 的とする.本論文では,まずシステム全体の静特性数理 モデルを構築し,実験結果との比較により数理モデル の妥当性を検証するとともに,システムの静特性解析 を行う.
キーワード:
フリークーリング,電算機室,空気調和機,システ ムシミュレーション,ポンプ


霜・雪・氷に関わる技術の進展(その3)
 V 字型障害物を用いた極低温冷却円管の着霜 低減 (pp.169-177)
著者名 佐藤颯大,吹場活佳,園部誕紀,山田悠太

本研究では,V 字型障害物を用いた極低温冷却円管の 着霜抑制方法を提案し,その有効性を検証した.V 字型 障害物を冷却円管の上流に配置することで,円管に主流 が直接衝突するのを妨げるのが狙いである.強制対流下 で−20 ℃および−196 ℃の冷媒を用いて着霜実験を行っ た.冷媒温度が−20 ℃の場合,円管前方に付着する霜の 低減には成功したものの,圧力損失の低減や熱交換量の 増加には至らなかった.一方,冷媒温度が−196 ℃の場 合,円管前方に付着する霜の成長を抑制し,圧力損失を 低減し,熱交換量を増加させることができた.これらの 結果から,本手法は冷却面温度が低い場合に有効な手法 であるとの結論を得た.
キーワード: 冷凍,除霜,着霜,極低温,円管,強制対流


 強制対流中の金属フィン上の着霜現象に関する 実験研究 (pp.179-185)
著者名 吉田憲司,片岡 勲

フィン形状伝熱面の強制対流下での着霜の基礎的現象 を明らかにするため,空気湿度と流速を変化させた場合 の着霜過程について,ビデオカメラによる詳細現象観察 ならびに熱電対によるフィン表面での温度測定を行い, 空気流の温度・湿度の影響より生じる特徴的な現象を明 らかにした.また,フィン上流側エッジ部直ぐ下流部に 発現する少霜領域について,フィン表面上の温度分布測 定により,熱伝達と物質伝達の低下に起因することを表 す合理的な結果を得た.
キーワード: 着霜,金属フィン,湿度,熱伝達,物質伝達


 冷凍機用フィンレスフラットチューブ熱交換 器の着霜下の伝熱性能に関する実験的検討 (pp.187-198)
著者名 大西 元,御堂翔太,多田幸生,瀧本 昭

冷凍貨物車などの冷凍機で使用される熱交換器への着 霜は伝熱量低下や流動抵抗増大をまねき,大きな問題と なっている.そこで本研究では,このような着霜条件下 で有効性が期待できるフィンレスフラットチューブ熱交 換器を対象に実験的に追究した.具体的には,着霜,圧 力損失,熱通過特性に風速,入口空気温度が与える影響 を実験的に検討し,着霜条件下の伝熱性能を評価した. さらには,この熱交換器をフィンアンドチューブ熱交換 器と比較することによって,着霜環境下でのその有効性 を評価した.その結果,フラットチューブ熱交換器の方 が霜層の成長が大きくなるものの,フィンアンドチュー ブ熱交換器に比べ優れた伝熱性能を示すことが確認で きた.
キーワード: 熱交換器,熱伝達,フィンレス,フラットチューブ, 冷凍,着霜,実験


 霜層厚さに及ぼす冷却面姿勢の影響 (pp.199-206)
著者名 大久保英敏,松下 将,齋藤 修

氷と空気の多孔質層である霜層を形成する着霜現象 は,熱移動と物質移動が同時に起こる非定常現象であ る.現象は複雑であり,この現象の系統的な理解は未だ 十分でないのが現状である.本研究では,着霜現象の基 礎的な理解を目的として,着霜現象の諸量の一つである 霜層厚さに着目し,着霜の低減化に効果があると期待さ れている冷却面表面のぬれ性をパラメータとして,霜層 厚さに及ぼす冷却面姿勢の影響を検討した.結果とし て,霜層厚さに及ぼす冷却面姿勢の影響は顕著であり, 霜層厚さを変化させる原因として,霜結晶の線成長速度 に及ぼす重力の影響,熱移動と物質移動の相関関係,霜 結晶の脱落および傾斜(→結晶が倒れる現象)が挙げら れることを明らかにした.
キーワード: 着霜,物質移動,氷結晶,結晶成長,過冷却,冷却 面姿勢,ぬれ性


 中性子ラジオグラフィを用いた着霜の評価
副題 冷却平板での着霜量と物質伝達率の評価
 (pp.207-217)
著者名 松本亮介,吉村智也,梅川尚嗣,網 健行, 伊藤大介,齊藤泰司

本研究では,中性子の物質による減衰率の差異を利用 した放射線透過法の一つである中性子ラジオグラフィを 用い,強制対流下における単一冷却平板上の着霜につい て,冷却平面に対し垂直方向から中性子を照射し,霜層 による中性子の減衰から平面上の着霜量の定量的分布の 評価を行った.中性子源の照射強度の時間的変動につい て画像内の基準輝度値を用いて補正を行い,その有効性 を確認した.水の質量減衰係数を用いて着霜量を評価し た結果,掻き取った霜の質量と一致することが示され た.さらに,時間的な着霜量分布の変化から局所物質伝 達率分布の評価を行った.以上の結果より,中性子ラジ オグラフィは着霜現象の定量評価に有効であることが示 された.
キーワード: 着霜,中性子ラジオグラフィ,強制対流,着霜量, 物質伝達,画像処理


 除霜時の霜層変化に関する研究 (pp.219-227)
著者名 下村信雄,片山真一郎

上部からの自然融解による除霜時の融解水の霜層への 内部浸透を可視化観察し,氷・空気・水の3 相で構成さ れる霜層の熱物性値を推算し,非均質霜層成長モデルで 計算した霜層をベースに融解終了の予測が可能かを評価 した.融解は上部より進み,融解水は融解部に隣接する 下部霜層に順次移動すると同時に毛細管力により霜層最 下部まで一気に移動する.浸透距離や浸透量の計算,最 下部へ移動する融解水の挙動を毛管力により予測するの が困難なため,3 相の割合で決定される熱物性値が不確 かになり,実験結果と大きく異なる結果となった.
キーワード: 着霜,水分内部浸透,除霜モデル,融解,数値計算


 無落雪住宅向けフェンス状太陽光発電架台部に おける堆雪挙動に関する研究 (pp.229-236)
著者名 平野繁樹,川南 剛,保科秀夫

北海道などの積雪寒冷地に多い屋根部が平坦な無落雪 住宅の屋上に設置する太陽光パネルおよびその架台の設 置について,屋根部からの設置高さの違いによる雪の吹 きだまりが発電性能に与える影響について実験的に検討 を行うとともに,架台高さの違いによる吹きだまり形成 の違いについて実験的および解析的に検討を行った.粒 子法を用いて流れのある空気中に雪粒子を一定の比率で 発生・流入させ,太陽光パネルを模した構造物との相互 作用により雪による吹きだまりの発生過程を再現した. その結果,概ね屋根部からの高さが200 mm 以上の場合 には,雪による吹きだまりによる発電面の被覆が見られ ないことがわかり,実験結果とも良い一致が見られた.
キーワード: 雪,数値流体力学,特殊設備,住宅,物質移動


 ギ酸カリウム水溶液の基本的性質の温度・濃度 依存性 (pp.237-244)
著者名 田中三郎,小川 清,佐々木直栄

昨今の環境問題の高まりにより,環境負荷が低く,安 全で省エネルギー性が高いブラインの開発が必要とされ ている.このような観点より次世代ブラインとして有機 酸塩系ブラインであるギ酸カリウムが注目されている. しかし,広範囲な温度ならびに濃度についての詳細な物 性に関する報告例が極僅かであることが現状である.本 報では,ギ酸カリウム(Potassium Formate:PF,分子 量:84.12,分子式:HCOOK)水溶液の基本的な物性で ある屈折率,密度,比熱および粘性率に及ぼす温度およ び濃度の影響を明らかにし,測定結果に基づき実験式を 作成したので,その結果について報告する.
キーワード: ギ酸カリウム水溶液,屈折率,密度,比熱,粘性率


日本冷凍空調学会論文集Vol.31,No.1 (発行日:2014/3/31)
シリカゲル/FAM-Z01を用いた凝縮熱による二重効用吸着冷凍サイクルの性能解析 (pp.1-9)
 Marlinda,上田祐樹,秋澤 淳,宮崎隆彦(東京農工大学・九州大学)
 
本論文では,シリカゲル/FAM-Z01 を用いた凝縮熱 による二重効用吸着冷凍サイクルの動的解析を行った. 本サイクルは2 つのサイクルからなり,高温サイクル側 と低温サイクル側である.高温サイクル側で発生した凝 縮熱を再利用し,低温サイクル側を駆動させる.出口温 度を10 ℃に固定した時,シリカゲル/FAM-Z01 二重 効用サイクルは,90 〜 150 ℃においてシリカゲル/シ リカゲル二重効用サイクルより高いSCP・COP が得ら れる.熱源温度が130 〜 150 ℃の時にサイクルタイムは 1 100 〜 1 300 s の範囲でCOP が最大値を取る.高温サ イクル側と低温サイクル側に充填された吸着材の質量比 は,二重効用サイクルのCOP に影響することがわかっ た.また,FAM-Z01 の質量を28 kg に固定した時に, 質量比r が1.0 〜 1.15 の時にCOP が最大になる.
キーワード 吸着,吸着冷凍サイクル,二重効用,凝縮熱,シリ カゲル,FAM-Z01



R 245faの飽和蒸気圧力と飽和液体密度の測定  (pp.11-17)
 田中勝之(日本大学)
 
R 245fa の飽和蒸気圧力と飽和液体密度を2 つの等容 容器からなる装置を用いて測定を行った.測定範囲は, 温度310 〜 400 K,圧力224 〜 2 203 kPa,密度957 〜 1 306 kg・m−3 であった.なお,測定不確かさは,温度 ±0.028 K,圧力±0.4 kPa,密度±0.7 kg・m−3 であった. 本測定結果を用いて,飽和蒸気圧力と飽和液体密度につ いてそれぞれの相関式を作成した.測定結果は文献値と 比較した.
キーワード 冷媒,熱物性,飽和蒸気圧力,飽和液体密度,R 245fa



微細加工面を利用した着霜の低減化  (pp.19-26)
 大久保英敏,松下 将,池本 駿(玉川大学)
 
低温機器の熱交換器に発生する霜層は熱抵抗層であ り,低温機器のCOP 向上の妨げになっている.近年, 省エネルギー技術の向上を目的として,着霜の低減化技 術の進展が望まれている.着霜の低減化のためには,着 霜現象を評価するための諸量の中で,霜層厚さおよび着 霜量を減少する必要があるが,革新的な低減化方法はい まだ見出されていないのが現状である.本研究では,霜 結晶生成・成長の制御および抑制を目的として,冷却面 表面に筋状の微細加工を施し,着霜現象に及ぼす表面の 微細加工形状の影響を検討した.さらに,霜層の掻き取 り力に及ぼす影響についても検討した.結果として,物 質移動量および霜層の掻き取り力を減少させることに成 功した.
キーワード 着霜,物質移動,氷結晶,結晶成長,省エネルギー, 熱交換器



給湯用コルゲート管内の単相熱伝達および圧 力損失 (pp.27-37)
 渡邊和英,地下大輔,井上順広,高橋宏行(東京海洋大学・潟Rベルコマテリアル銅管)
 
給湯用ヒートポンプ機器のさらなる省エネルギー化に は,給湯水側の熱伝達性能向上による熱交換器の高効率 化が必要である.本研究は,給湯用ヒートポンプ機器の 水用伝熱管に使用されているコルゲート管を用いて,低 レイノルズ数域から高レイノルズ数域までの広範な流量 条件下で単相熱伝達および圧力損失実験を行った.コル ゲート溝ピッチや溝深さの異なる9 種のコルゲート管, 平滑管および内面溝付管の実験結果より,本論文では, コルゲート溝ピッチや溝深さが,熱伝達特性および圧力 損失に及ぼす影響について明確にし,コルゲート管の最 適な溝形状について実験的に検討を行った.
キーワード 熱伝達,圧力損失,コルゲート管,単相流,臨界レ イノルズ数



微細三角形流路における気液二相流の流動様相 (pp.39-45)
 松P裕大,中津留拓哉,榎木光治,森 英夫,仮屋圭史,濱本芳徳(九州大学・東京農工大学)
 
本研究では,可視化ガラス管と高速度カメラを用い, 微細三角形流路内を水平に流れるR 410A の流動様相観 察実験を行った.可視化ガラス管の冷媒流路の等価直 径は0.82 mm 程度である.観察結果に基づき,流動様 相をいくつかの典型的な流動様式に分類し,重力に対す る流路配置の流動様相への影響を明らかにした.さら に,過去に報告した三角形流路の垂直流,および円形, 矩形流路の水平流の結果と比較検討し,流動方向や流 路形状の影響についても明らかにした.
キーワード 冷媒,流動様式,流動様相,気液二相流,水平微細 三角形流路

日本冷凍空調学会論文集Vol.30,No.4 (発行日:2013/12/31)
枝管付きループ管型熱音響冷凍機における冷却性能の数値シミュレーション (pp.341-352)
 経田僚昭,多田幸生,瀧本 昭,大西 元(富山高等専門学校・金沢大学)
 
微細流路内での音波による熱輸送現象を利用する熱音 響冷却システムは,可動部がない簡単な構造で実現でき る環境調和型の冷却技術として注目されている.本論文 は,枝管付きループ管型熱音響冷凍機を対象に,音波に よる熱輸送効果をスタック構造と関連づけて理論的に追 究したものである.具体的には,時間領域差分法を用い た音場解析とスタック流路内での熱輸送解析を連成した 数値計算を行い,管内の音場特性とスタック内の温度場 の詳細を熱的応答性と関係するスタック流路径と関連づ けて明らかにした.また,冷却性能を最大とするスタッ ク流路径を数値計算結果から予測する方法を提示し,実 験結果との比較によりその有効性を明らかにした.
キーワード 冷凍,熱音響冷凍機,FDTD 法,スタック構造,エネ ルギー変換



ドライエア製造条件におけるデシカントロータの除湿挙動
第1 報:ロータ回転方向湿度・温度分布の測定と考察
 (pp.353-364)
 綾目久雄,永坂茂之,神戸正純,辻口拓也,児玉昭雄(新日本空調株式会社・金沢大学)
 
本研究の最終目的は,低露点空気生成時のデシカント ロータにおける除湿挙動および性能を予測できる,数値 計算手法の開発である.数学モデルの妥当性を検討する には,実験データとの比較が必須であるため,まず低露 点空気生産条件でのデシカントロータ出口空気温湿度 の回転方向角度分布を,正確に実測した.ロータ回転速 度,再生空気温度,吸着入口空気絶対湿度を変化させて 実験を行った.得られた結果を空気線図にて整理した結 果,除湿・再生運転中のデシカントロータ出口空気状態 の変化は,一般空調用途の場合とほぼ同様の傾向を示し た.低湿度域での物性値を測定し適用すれば,既存の 熱物質移動解析による計算手法が適用できることが示 唆された.
キーワード デシカント空調システム,吸着,数値計算,熱物質 移動,低露点



蒸発器管内冷媒の流動特性と熱輸送を考慮した 冷蔵庫除霜運転の効率向上に関する研究
第1 報:単列モデルによる冷媒の基本流動特性の評価
 (pp.365-375)
 堀井克則,仮屋圭史,宮崎祐輔,森 英夫(パナソニック株式会社アプライアンス社・九州大学工学研究院・パナソニック株式会社エコソリューションズ社)
 
本研究では,家庭用冷蔵庫の省電力化に向けた除霜性 能向上のため,除霜運転時における蒸発器管内冷媒の流 動による熱輸送現象に着目した.本報では,この現象解 明の第一段階として,蒸発器を単純化した多段単列管モ デルを用い,無着霜状態での加熱実験により冷媒の基本 流動特性の検討を行った.加熱中,下段冷媒液の蒸発 により発生した冷媒蒸気が管内を上昇する際に,冷媒液 も押し上げられるが,一部は逆流する繰り返しで,下段 に冷媒液が最後まで残り,加熱とともに上段への液供給 量が減少して,最上段より順に過熱蒸気になることがわ かった.また,測定した冷媒圧力,冷媒温度および管 表面温度の変化と冷媒流動の変化の特性の関係を議論 した.
キーワード 冷蔵庫,除霜,蒸発器,流動様式,加熱実験,可視化



蒸発器管内冷媒の流動特性と熱輸送を考慮した冷蔵庫除霜運転の効率向上に関する研究
第2 報:単列モデルによる除霜評価
 (pp.377-387)
 堀井克則,仮屋圭史,宮崎祐輔,中嶋祐紀,森 英夫(パナソニック株式会社アプライアンス社・九州大学工学研究院・パナソニック株式会社エコソリューションズ社)
 
前報と同じ単列モデルを用いて,着霜状態での除霜実 験を行い,無着霜状態での加熱実験結果と比較して,除 霜時の冷媒流動を検討した.基本的には,下段で蒸発し た冷媒蒸気が上段に冷媒液を押し上げながら上昇し,上 段で冷媒蒸気が凝縮する様相であり,霜の融解が終了し た下段では,上段からの液の下降が滞り,下段から順次 過熱蒸気単相状態に至ると考えられる.さらに,冷媒を 充てんしない真空条件での除霜実験と比較して,上昇し た冷媒蒸気が上段で凝縮して凝縮潜熱を放出する冷媒の 熱輸送は,特に,ヒータから離れた上段の霜の融解に有 効であり,除霜終了を早めるのに寄与していることを明 らかにした.
キーワード 冷蔵庫,除霜,蒸発器,流動様式,除霜実験,熱輸送



HC 600a をドロップイン冷媒としたR 410A用ルームエアコンの性能評価 (pp.389-399)
 大野慶祐,木村 健,山口誠一,齋藤 潔,糸永俊介,松田憲兒,岸本哲郎(早稲田大学・日本空調冷凍研究所・日本冷凍空調工業会)
 
本論文は,R 410A 用ルームエアコンにHC 600a をド ロップインした場合の性能評価を報告するものである. 本報告では,定格および中間冷房条件で性能評価を実施 する.また,冷房能力をパラメータとした場合について 取り扱う.本報告では,実際にR 410A 用に設計されて ルームエアコンを用いて実験を実施し,またシミュレー ションによっても評価を行う.結果では,HC 600a をド ロップインした場合では,COP,消費電力と冷房能力が 低下した.これは,HC 600a の比体積が小さいことから 圧縮機行程容積が不足し,冷媒循環量が低下したためで ある.この時,管内冷媒流速が増加したことから圧力損 失が増大し,COP が低下した.
キーワード 冷媒,家庭用空調機,ドロップイン,成績係数,圧 縮式ヒートポンプ



低GWP 混合冷媒R 32/R 1234ze(E)の水平ら旋溝付管内凝縮および蒸発特性 (pp.401-411)
 近藤智恵子,三島文也,小山 繁(九州大学大学院総合理工学研究院)
 
本稿は,新規代替冷媒R 32/R 1234ze(E)の水平ら旋 溝付内伝熱を実験的に検証するものである.平均内径 約5.4 mm のら旋溝付管を用い,凝縮では飽和温度約 40 ℃,蒸発では約10 ℃で,その熱伝達率と圧力損失を 測定した.混合冷媒の凝縮熱伝達率は循環組成(R 32 質 量分率)約0.45 で最小値をとる.この組成は,温度勾配 が最大となる値よりも幾分R 32 質量分率が高い.一方, 蒸発熱伝達率は,乾き度0.2,0.5,0.8 のとき,気液間の モル分率差が最大を取る循環組成約0.15,0.2,0.25 で 最小値をとる.また,非共沸性による熱伝達率の低下率 は,凝縮流よりも蒸発流の方が大きい.混合物質圧力勾 配は,物性値の変化のみを考慮することで的確に予測で きる.このことは,凝縮流と蒸発流に共通する.
キーワード 熱伝達,圧力損失,蒸発,凝縮,ら旋溝付管



CO2 ヒートポンプ給湯機用ガスクーラの熱交換性能に関する実験的研究
副題 伝熱管形状が給湯水側の熱伝達および圧力損失 特性に及ぼす影響
 (pp.413-423)
 松尾叔美,小山 繁(九州大学)
 
CO2 ヒートポンプ給湯機のガスクーラ内で給湯用水の 流れは層流となり,給湯用水流路における熱伝達性能が 低下することが技術的な課題である.本研究では,給湯 用水流路の伝熱促進を目的として開発されたディンプル ツイスト管の各形状要素である窪みおよび捻りが,給湯 用水流路の熱伝達および圧力損失特性に及ぼす影響を明 らかにするため,5 種類の異なる形状の試験伝熱管を用 いた熱交換実験を実施した.また,超臨界圧のCO2 に 代えて液単相の水を用いて給湯用水側の熱伝達特性を評 価する簡便な実験方法を提案した.その結果,ツイスト 形状を用いることで1000 以下の低レイノルズ数域にお いて既に平滑直管よりも高い伝熱性能を示した.
キーワード CO2ヒートポンプ給湯機,熱伝達特性,圧力損失特性, ガスクーラ,給湯用水流路



微細流路内気液二相流の圧力損失 (pp.425-437)
 榎木光治,森 英夫,宮田一司,仮屋圭史,濱本芳徳(東京農工大学大学院・九州大学大学院・東北大学)
 
本研究では,内径1 mmの円管と一辺が1 mmの矩形 管におけるR 410A の水平流の圧力損失の実験を行った. 実験は,飽和温度10 ℃の断熱条件で,従来の研究より も低質量速度を含む条件で行った.実験結果を,既に 得ている流動様相の観察結果を参照し,また垂直流の実 験結果と比較をして,圧力損失に及ぼす流路形状と流動 方向の影響について,より詳細で包括的な検討を行って いる.また,水平流の実験結果を従来の摩擦圧力損失の 整理式と比較し,整理式の適用性について検討している.
キーワード 圧力損失,微細管,気液二相流,水平流,垂直流, 冷媒



伝熱面一体型吸着体の熱抵抗の測定と吸着材粒子充てん層との比較(pp.439-449)
 大内崇史,濱本芳徳,森 英夫,江藤淳朗(九州大学)
  
吸着冷凍機およびデシカント除加湿器の小型化には, 吸着熱交換器の小型化が重要である.吸・脱着現象は 発・吸熱反応を伴い,これらは吸・脱着現象の進行を阻 害するため,冷凍能力を維持して吸着熱交換器を小型化 するには,吸着熱交換器の伝熱性能を向上させて,吸・ 脱着現象を速やかに進行させる必要がある.そこで,伝 熱面に膜状吸着材を直接生成した伝熱面一体型吸着体を 対象に,伝熱性能向上の程度を検討した.そして,一体 型吸着体の熱伝導率を測定し,厚さが変わったときの熱 抵抗を推算した.その結果,吸着材を厚膜化するほど従 来の粒子充てん型に比べて伝熱性能が向上し,1 mm 程 度の厚さで2 倍程度となることを明らかにした.
キーワード 吸着,熱抵抗,アルミニウム陽極酸化皮膜,測定, 推算



水平細管内の冷媒R 1234yf の沸騰熱伝達に対する潤滑油の影響 (pp.451-462)
 斎藤静雄,党 超鋲,飛原英治(東京大学大学院)
 
内径2 mm,4 mm の水平平滑管内において,低GWP 冷媒R 1234yf の沸騰熱伝達に与える潤滑油の影響を調 べた.局所熱伝達率の測定,流動観察そして圧力損失の 測定は,蒸気クオリティ,質量流束,熱流束,オイル 循環率を変えて行った.低クオリティ域ではオイル循環 率の増加とともに局所熱伝達率の増加がある.この熱伝 達率の増加はオイル混入による泡立ちが要因している. 高クオリティ域ではオイル循環率の増加とともに単調に 減少する.オイル混入による流動様相をオイル循環率, クオリティ,質量流束,熱流束を変えて示した.
キーワード 沸騰,熱伝達,低GWP 冷媒,冷媒R 1234yf,潤滑油, 流動様式

日本冷凍空調学会論文集Vol.30,No.3 (発行日:2013/9/30)
冷水・冷却水変流量制御時における吸収式冷凍機の動特性解析 (pp.191-202)
 藤居達郎,長野克則(鞄立製作所・北海道大学)
 
セントラル空調の主要な省エネルギー手段である VWV 制御について,吸収式冷凍機の動特性シミュレー タにVWV 制御ルールを適用することにより,エネル ギー削減効果と機器の信頼性を同時に解析可能なツール を開発した.本論文では,一例として負荷率を40 %か ら80 %,60 %に変化させた解析を行い,(1)冷水ポン プ68 〜 70 %,冷却水ポンプ59 〜 63 %の動力削減効果, (2)負荷変動後20 分以内に冷水出口温度が目標値の± 1 ℃以内となること,(3)三位置制御の吸収式冷凍機に対 してもVWV 制御方式が適用可能であること,(4)吸収 式冷凍機のエネルギー効率に対するVWV 制御の影響は 1 %未満であること,を確認した.
キーワード: 吸収式冷凍機,自動制御,シミュレーション,VWV 制御,動特性,省エネルギー,三位置制御


エリスリトールの過冷却に関する研究
副題 試料容積,容器接触面積,及び異質浮遊粒子の影響
 (pp.203-211)
 安達卓宏,中嶋達也,田中 学(千葉大学大学院)
 
本論文では,潜熱蓄熱材(PCM)であるエリスリトール をガラス製試験管に密封し,試料容積0.004 0 〜 16 cm3, 容器接触面積0.40 〜 28 cm2 の範囲で過冷却度を測定し た.エリスリトールの融点は118 ℃,潜熱は336 J/g で ある.試料容積と容器接触面積は,直径0.4 〜 27 mm の 試験管を用いて変化させた.さらに,試料内の異質浮遊 粒子を孔径0.7 〜 25μm の濾紙で濾過した実験も行っ た.実験では,液体状態の試料を冷却速度0.5 ℃/min で 30 ℃まで冷却した.その結果,過冷却度は試料容積に 強く相関し,試料容積の減少に伴って増大することがわ かった.また,孔径0.7μm で濾過した試料は過冷却度 が増大することもわかった.これらの結果より,過冷却 解消には異質浮遊粒子による不均質核生成が影響を及ぼ していることがわかった.
キーワード  蓄熱,過冷却,核生成,潜熱,相変化材料,エリス リトール


直交流熱交換器型吸着器を用いたデシカント 調湿システムの水蒸気吸着特性 (pp.213-220)
 窪田光宏,柴田翔子,松田仁樹(名古屋大学)
 
我々はデシカント除湿システムの除湿性能向上を目指 し,冷却空気により吸着熱を除去しながら等温条件下で 除湿を行うシステムに着目している.本研究では,直交 流熱交換器の一方流路にシリカゲルを塗布した熱交換器 型吸着器を試作し,冷却空気,処理空気流速,シリカ ゲル塗布量を変化させた水蒸気吸着実験をバッチ操作に て実施した.この結果,冷却空気の流通により,吸着初 期において水蒸気の吸着率が大幅に向上することを実証 した.また,冷却空気,処理空気流速が増大するほど, 各時間における吸着率も向上することを確認した.しか し,除湿性能のさらなる向上に向けては,吸着器の伝熱 促進,装置顕熱の低減の必要性が示された.
キーワード  デシカント空調,除湿装置,熱交換器,シリカゲル, 水蒸気吸着


クライオプローブまわりの模擬生体組織の凍結 (pp.221-230)
 高松 洋,内田 悟,安達健二,久保範明,藏田耕作,藤野淳市,神村 岳(九州大学・福岡大学・前川製作所)
 
癌の凍結手術には癌組織を細胞の死滅温度以下にする ことが重要であるが,凍結領域の形成の際に考慮すべき 凍結マージンに関する有用な指針が与えられていないの が現状である.そこで本研究では,まず,軸方向にほぼ 一様な氷が形成されるプローブを用いた模擬生体試料 の凍結実験を行い,得られた温度分布や凍結界面位置と ソースターム法でモデル化した理論解析結果を比較して, 解析法の妥当性を確認した.その後,市販のクライオプ ローブに対する凍結シミュレーションを行い,必要な凍 結マージン量が冷却速度に依存せずアイスボールの大き さで決定できることを示すとともに,施術する医者に とって有用な情報提供の仕方を提案した.
キーワード  凍結,凍結手術,低温医学,クライオプローブ,模 擬生体組織,理論解析モデル,シミュレーション


冷蔵庫用レシプロ圧縮機に用いる低摩擦スラスト軸受に関する研究 (pp.231-241)
 永田修平,香曽我部弘勝,関山伸哉,小野利明(鞄立製作所・日立アプライアンス梶j
 
冷蔵庫用レシプロ圧縮機の高効率化を考える上で,摺 動部の摩擦損失低減は重要な開発項目の一つである.本 研究では,微細加工により摺動面に動圧を発生させる周 期構造を設けた低摩擦スラスト軸受を開発し,実験的に その特性を明らかにするとともに理論計算との比較を 行った.摩擦試験では,開発したスラスト軸受は現行構 造と比較して20 〜 60 %摩擦損失が低減することを示し, 理論計算との比較から開発した軸受では流体潤滑状態が 保持されていることを示した.また,開発した軸受を用 いた圧縮機は現行構造と比較して,冷蔵庫運転相当条件 にて圧縮機入力を1.4 %低減できることを示した.
キーワード  圧縮機,冷蔵庫,摩擦損失,スラスト軸受,動圧軸受


収着剤デシカントにおける内部拡散作用の影響
副題 熱・物質伝達率の逆温度依存性の解明
 (pp.243-254)
 前田健作,稲葉英男(前田技術士事務所・就実大学)
 
高分子収着剤の総括熱・物質伝達率に温度依存性があ ることがわかってきた.そこでデシカントロータの数値 解析方法として,収着剤内部への拡散現象と表面での吸 着現象を別々の伝達抵抗によるものとして扱い,それら が並列接続されたモデルを設定し,それぞれについて計 算で伝達率を求め,重ね合わせによって総括伝達率を求 める手法を導出した.また,温度依存性には物質拡散 率と物質伝達ビオ数が深く関与していることが明らかに なったため,それらを実験データ等から算出した.さら にシミュレーション解析から,高分子収着剤は低温排熱 利用用途ではNTU が極めて大きくなるため,デシカン トロータの小型化やコスト削減の可能性が高いことを 示した.
キーワード  デシカント空調,高分子収着剤,収着,物質伝達,熱 伝達,デシカントロータ,数値解析,物質伝達ビオ数


<特集・固液相変化現象に関わる最新技術>


細孔付き伸縮性膜を用いたカプセルの凝固伝播 と濃度変化に関する研究 (pp.255-263)
 大河誠司,久保田英之,宝積 勉(東京工業大学)
 
食品輸送の分野では,近年,潜熱を利用した保冷材の 需要が高まっている.しかし,過冷却現象が起こるた め,凝固点以下でも凍結しないという問題点がある.著 者らの一人は前報で,部分的に膜の構造を持った水の 入ったカプセルを用いて冷媒の過冷却現象を抑制する方 法を提案した.膜の中央に細孔が加工されており,細孔 から氷核が発生する仕組みになっている.本報では,細 孔の作成方法を変化させることにより,凝固の伝播への 影響を検討した.その結果,孔径が小さすぎると伝播が 起こらず,孔径が大きすぎるとカプセル内の水の濃度が 上昇してしまう,最適な孔径の存在することがわかっ た.また,細孔を作成する際の銅線の先端の形状の違い と銅線の温度により,凝固伝播の有無と濃度変化には違 いの現れることがわかった.
キーワード  膜,過冷却,保冷材,凝固伝播,氷,細孔,濃度


油中の電場付与用電極板と衝突する過冷却水滴の凍結開始
副題 電極板材質の影響
 (pp.265-275)
 川崎直仁,栩谷吉郎(金沢工業大学大学院)
  電場を付与した油中の帯電水滴は,二枚の電極板と交 互に衝突しつつ往復運動する.系が凝固点以下ならば, 衝突が凍結開始の誘因となる可能性があり,現象は電極 板材質の影響を受ける.実験はシリコーン油中で,過冷 結マージン量が冷却速度に依存せずアイスボールの大き さで決定できることを示すとともに,施術する医者に とって有用な情報提供の仕方を提案した.
キーワード  凍結,凍結手術,低温医学,クライオプローブ,模 擬生体組織,理論解析モデル,シミュレーション


Phase Field 法を用いた固体面上における氷の結晶成長シミュレーション (pp.277-287)
 熊野寛之,浅岡龍徳,山本祐治(青山学院大学・信州大学・潟jチレイ)
 
本研究では,結晶成長の異方性をより良く再現できる Phase Field 法を用いて固体面上で氷がどのように成長 するかシミュレーションを行い,固体面の物性値が変化 した場合に氷結晶の成長速度にどのような影響を及ぼす かについて検討を行った.また,氷結晶の異方性が生じ る方向を変化させたときの,固体面上における氷の成長 速度に関して検討を行った.その結果,熱浸透率を大き くすることにより結晶の成長速度は大きくなり,熱浸透 率がある程度以上となると成長速度は一定値に収束する ことがわかった.また,優先成長角度が10 °の時に成長 速度は最大となり,優先成長角度と法線方向の角度が小 さい場合に,成長速度が最大となることがわかった.
キーワード  氷結晶,凍結,過冷却,結晶成長,フェーズフィールド法


Pressure shift freezing を利用した氷スラリー連続生成に関する基礎的研究 (pp.289-295)
 麓 耕二,佐藤敏貴,川南 剛,稲村隆夫,城田 農(弘前大学・神戸大学)
 
本研究は,生鮮品の保冷技術分野および医療分野に おいて直接接触用保冷剤として利用可能な生理食塩水 程度の塩分濃度を有する塩化ナトリウム水溶液を用い た氷スラリー生成装置に関する研究である.本報告で は,水および水溶液の加圧に伴う凝固点降下を利用した Pressure shift freezing に基づく新しい氷スラリー連続 生成方法について実験的研究を行った.氷スラリー生成 装置は,対象溶液の圧力と温度を制御することによって 容易に氷スラリーを生成でき,さらに凝固(減圧)のタ イミングを任意にコントロールできる特徴を有している. 結果として,氷スラリーの生成特性におよぼす諸条件の 影響について以下の事を明らかにした.(1)PSF により, 連続生成可能な氷スラリー生成装置を完成させた.(2) PSF により,氷のIPF は対象溶液の付加圧力と温度の 調整により設定できることを示した.(3)氷スラリーの 氷粒形状は,過冷却度が高いほど微細かつ球形状に成る ことがわかった.
キーワード  氷スラリー,Pressure shift freezing,連続生成,塩化 ナトリウム水溶液,過冷却凝固



氷粒子充填層内の空隙率分布を利用した融解形状の能動的制御に関する研究 (pp.297-306)
 浅岡龍徳,熊野寛之,岡田昌志,五十嵐史雄(信州大学・青山学院大学)
 
本研究では,空隙を利用した氷粒子充填層の融解形状 の制御手法を提案した.また,その初期段階の検討とし て,空隙領域の位置と融解形状の関係に関する基礎的な 検討を行った.その結果,適切な位置に空隙領域を設置 することで,融解領域の形状を変化させることができる ことを示した.また,融解領域が分岐することで2 つの 突出部が生じ,その間の領域において氷の融解が促進さ れることを示した.また,融解領域の突出部の高さの差 が大きくなることで,一方からの融解が停止することの 対策として,複数の空隙領域を適切な位置に設置する方 法を提案し,これにより,融解領域の突出部の高さを揃 え,安定的に融解領域を広げることが可能となることを 示した.
キーワード 氷蓄熱,融解,熱伝達,氷粒子充填層,水路


クランク型流路内における氷スラリーの流動および熱伝達 (pp.307-318)
 川南 剛,富樫憲一,波多野周平,麓 耕二,平澤茂樹(神戸大学・弘前大学)
 
トレハロース水溶液を液相とする氷スラリーを対象 に,クランク形状流路内における流動と熱伝達に関する 実験的検討を行った.実験パラメータとして,氷スラ リー流速,流路壁面熱流束,流路の設置姿勢,および曲 り部における流路幅を変化させ,流動模様の観察を行う とともに各流路壁面における熱伝達率分布の評価を行っ た.さらに,同様の条件において単相の水溶液を用いた 実験を行い,双方の結果を比較することで氷スラリー特 有の伝熱現象について検討を行った.
キーワード  対流,融解,蓄熱,混相流,氷スラリー,流れ模様


氷スラリーによるチルド水供給設備に関する研究
副題 蓄氷解氷同時運転での満蓄制御と給水制御
 (pp.319-329)
 三戸大介,万尾達徳,谷野正幸,松本浩二(高砂熱学工業株式会社・中央大学)
 
過冷却方式の氷蓄熱システムは,ビル空調や地域冷暖 房向けのシステムとして実用化されている.これらのシ ステムの蓄熱材である氷スラリーは解氷特性に優れてお り,食品工業向けの低温冷水供給にも適している.しか し,氷スラリーを食品工業で用いるためには,工場独特 の使用条件に即した運転制御技術を新たに開発する必要 がある.本報では,運転制御の内容を説明した上で,取 水温度の予測シミュレーションを用いて氷スラリーの解 氷特性を評価した.その結果,製氷解氷同時運転にて約 1 ℃の低温冷水を安定的に供給できることがわかった. また,氷層盛り上がり高さによる満蓄制御や,氷層空隙 率の計測結果に基づく給水制御が,有用であることがわ かった.
キーワード 蓄熱,氷スラリー,チルド水,食品工業,氷充填率


乳製品加工工場における氷スラリーによるチルド水供給設備 (pp.331-339)
 三戸大介,万尾達徳,谷野正幸,本郷 大,若佐和夫,松本浩二(高砂熱学工業株式会社・中央大学)
 
水の過冷却現象を利用したダイナミック型氷蓄熱シス テムは,空調負荷平準化のための大型熱源として実用化 されてきた.我々は,本氷蓄熱システムが淡水のみを蓄 熱媒体としていることや優れた解氷特性を有しているこ とから,食品冷却プロセスへの適用について検討してき た.その結果,本氷蓄熱システムをチルド水供給設備と して乳製品加工工場に納入した.本報では,冷凍機や蓄 熱槽容量決定のための設計計算結果や,チルド水温度の 維持に必要な蓄熱槽の氷充填率を計算した結果を紹介す る.さらには,満蓄制御や給水制御などの新技術を食品 工場に導入した結果として,実際の負荷処理下でのIPF やチルド水温度の時間変化を紹介する.
キーワード 蓄熱,氷スラリー,チルド水,食品工業,氷充填率, 運転制御