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環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)(2)
Environmental Hormones(Endocrine Disruptors)
                             


 ダイオキシン類(Dioxines)
ダイオキシンは有機塩素系化学物資の一種で、「ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン」が正式名である。しかしこの種 の化学物質のなかでも毒性の極めて強い物質なので、特別扱いされている。また「ジベンゾフラン」とPCBの中でも 毒性が強い「コプラナーポリ塩化ビフェニール」と合わせて通常「ダイオキシン類」とも呼ばれている。
 
 ダイオキシンの毒性
 1958年ドイツでウサギの耳に極微量のダイオキシンの塗布を行ったところ、ニキビ様症状で死んだことから初めて その毒性が知られた。1956年米国で数百万羽の若鶏が中毒死した事件があったが10年後の1966年にその究明が行われ、 その飼料に微量のダイオキシンの混入がつきとめられたことでその猛毒がクローズアップされた。更に1962~1970年の ベトナム戦争で枯れ葉剤中のダイオキシンによる流産、奇形の発生によるヒトに対する危険な化学物質として注目を集めた。
図1 ダイオキシンの骨格構造(上) 2・3・7・8-ダイオキシンの化学構造(下)

 
 ①ダイオキシン
 この化学構造は図1(上)の如く、2ヶの亀甲が2ヶの酸素で結びつけられたもので、その1~9の位置の 炭素に塩素がどの様に結合するかで75種の同族体があり、その毒性は千差万別である。その中で最も毒性の強いのが 図1(下)に示す、2・3・7・8の炭素に塩素が1個ずつ結合したもので「2・3・7・8-四塩化ジベンゾパラジオキシン」と 称せられ、通常ダイオキシンと呼ばれている。従ってこの毒性が基準となって他の同族体等の毒性が「毒性当量係数」または 「当量濃度」として相対的に換算され、毒の程度が確認されている。「2・3・7・8-TCDD」の毒性はフグ毒、サソリ毒の 10~100倍といわれている。
 
 ②ジベンゾフラン
 1970年にフランス製、ドイツ製、米国製のPCB(比較的弱毒といわれている)をヒヨコに与えた実験では、 前ニ者が死に、米国製はほとんど死ななかったことから、前二者のPCBに微量のジベンゾフランが含有され、米国製には なかったことが判明したことで、PCBの毒性は含有されているジベンゾフランの量によることが分った。1968年の カネミ油症事件の原因も1974~1975年の日本衛生学会で「ジベンゾフラン」であることが発表されている。すなわち 熱媒体として使用しなかったPCBに比し、250℃で加熱中のPCBには250倍のジベンゾフラン濃度が高かったことが 確認(1987年)されている。
  
 ③コプラナーPCB
 1930年に米国で製造されたのが初めてで(日本では1954年製造開始)、多用途(トランス、コンデンサー、熱媒体、 感圧紙、ペイント、印刷用インク、潤滑油、顕微鏡用油浸液、プラスチック添加剤等)に120万トン生産(うち日本6万トン) されたが、1966年に初めて環境汚染による被害が報告され、社会問題になった。特に強毒の「コプラナーPCB」が 究明された。化学構造は前二者のように亀甲間に酸素がないもので、同族体は209種類である。
 
文 献
1)長山淳哉:「しのびよるダイオキシン汚染」
2)朝日新聞、ほか
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