冷凍空調・食品冷凍技術者継続教育

■ 冷凍空調学会の継続教育(CPD)とは?

●どんな学習内容があるのか

 技術者は専門技術分野から周辺技術分野まで幅広く知識と技術を向上させる必要があります。これと同時に高い職業倫理、技術者倫理を持つことも必須となっています。
継続教育の内容は技術者に求められるすべての分野として次のものになります。

・専門技術分野:空調、冷凍、食品冷凍など
・周辺技術分野:環境、エネルギー、情報技術など
・総合管理分野:マネジメント手法、法律・契約など
・基礎共通分野:倫理、規格・基準、特許・商標など

●どんな学習形態で進めてゆくのか?

 技術は個人が自ら高めるものであり、技術者はあらゆる学習機会を通じて知識と技術の維持・向上に取組むことが求められます。これに応じて学習形態は次の通り幅広いものとします。

・参加学習:講習会の受講、見学会への参加など
・情報提供:講演、論文発表など
・実務経験:業務を通じて成果のあったもの
・自己学習:通信教育など

◎ 参加学習と自己学習
 参加学習及び自己学習は、次の7つのプログラムにて構成しました。
T.資格取得プログラム
 資格取得支援のためのプログラムです。技術者を育成する一貫システムのなかで資格の取得は
大きな節目に位置付けられ、会員のニーズも大きいものです。現行の高圧ガス保安協会「第一種冷凍機械講習」、
「第二種冷凍機械講習」および本学会「冷凍空調技士」、「食品冷凍技士」の受験支援講習に加えて「技術士」
の受験ガイダンスを新規に加えました。
U.初級講習プログラム
 入社1、2年の人を対象に冷凍空調及び食品冷凍入門のプログラムです。現行の「冷凍コース」と「空調コース」に
「食品冷凍」の講習を新規に加えました。
V.中級講習プログラム
 中堅の技術者を対象に現行の「実用冷凍空調講座」に「冷凍空調便覧」の内容をベースとした
「基礎講座」を新規に加えました。
W.上級講習プログラム
 資格取得以降、さらに技術者としてのレベルを向上させるという継続教育(CPD)もともとの目的に
対応したプログラムです。専門技術講習、周辺技術講習はテーマを固定せずにその時々でもっともニーズの高い
テーマを選定します。基礎共通、総合管理はテーマを特定し、他の学協会との共催を考えます。
また技士を対象に冷凍技士実技研修も行ないます。
X.ロングコースプログラム
 本プログラムは一つのテーマを毎月1回、6ヵ月にわたって講習するものです。
テーマは環境、エネルギー、食品冷凍、新技術を予定しています。
Y.遠隔教育プログラム
 現行の通信教育にインターネットを利用してのe-ラーニングを新規に加えました。
Z.地区主催プログラム
 関東、北日本、中部、近畿、西日本の各地区で行なっている講習会、セミナー、見学会などは
引き続き継続教育プログラムとして実施します。

 具体的なプログラムの全体像については、 ■CPD講座一覧表 をご覧下さい。

◎ 情報提供
  情報提供の内容は次の通りです。
(1) 論文等の口頭発表 学術講演会、研究発表会、セミナー、シンポジウム等での論文の口頭発表、技術報告など。本学会以外の学協会、民間団体、企業等が開催するものも含みます。
(2) 論文・記事等の執筆及び査読 論文集または会誌への論文、記事の執筆。本学会以外の学協会、民間団体、企業等が発行する学術誌、技術誌等での執筆も含みます。
(3) 講師・技術指導 講習会等における講師および技術指導。本学会主催のもの以外にも大学での非常勤講師、学協会、民間団体、企業における講師・技術指導も含みます。
(4) 技術図書の執筆 学会刊行図書、講習会の教科書、委員会報告の執筆など。その他出版社等から刊行された技術図書を含みます。

◎ 実務経験
実務経験の内容は次の通りです。
(1)成果のあがった業務業務上で特に技術的成果をあげた業務
(2)表彰・受賞学術賞、技術賞、優秀講演賞などを受賞した業務。本学会以外の学協会・民間団体・企業等からの表彰・受賞も含みます。
(3)特許特許を出願又は取得した発明
(4)資格取得技士、技術士などの技術資格の受験および取得。
(5)公的機関での委員長・委員への就任技術的な委員会における委員長、委員への就任。本学会以外にも公的な機関での技術に関わる審議会・研究会等も含みます。
(6)公募プロジェクト・学会等における研究への参加大学、研究機関(企業を含む)、公募プロジェクト等における研究開発・技術開発業務への参加。

 どうやってポイントは集めるのか

 日々の学習の結果を客観的に評価し、どのような教育内容、学習形態にも簡単に適用できるものとして、学習時間をベースにします。
 継続教育の実績評価は、学習に費やした時間(hr)に学習形態に応じた重みファクター(WF:Weighting Factor)を乗じた数値(単位は時間)とし、これをポイントと呼びます。

ポイント=学習に費やした時間(hr)×重みファクター(WF)

 継続教育の目標は年間50ポイントまたは3年間に150ポイントとします。
特定の教育内容や学習形態に偏らず、バランスのよい取得を心掛けて下さい。なおこの目標は冷凍空調技士及び食品冷凍技士の資格更新とはリンクせず、技士、会員の努力目標とします。
 本学会のポイント制度を ■CPDポイント一覧表に示しました。 学習時間をベースに学習形態の違いにより重みファクターをつけています。 またバランスのよい学習を心掛けるように内容によって実績に組み入れることのできる上限を設けています。
目標とする年間50ポイントの1例を次に示しました。

◆セミナーを受講した。受講時間3時間
学習形態T.参加学習 番号1 講習会、セミナー等の受講に該当 WF=1.5
ポイント=受講時間(hr)×WF =3×1.5=4.5
◆本学会の学術講演会にて論文を口頭発表した。
発表時間0.3時間、準備時間4時間
学習形態U.情報提供 番号2 論文等の口頭発表に該当 WF=3
ポイント=(講演+準備)時間(hr)×WF
=(0.3+4)×3=12.9
◆勤務先の業務として冷凍機の性能解析手法を開発した。
所要時間延べ 80時間
学習形態V.実務経験 番号6 業務経験に該当 WF=0.5
ポイント=実務時間(hr)×WF
=80×0.5=40

実務経験は最大20が上限のためポイントは20

◆自己学習として「地球環境」、「品質管理」、「情報技術」の図書を通読した。合計30時間
学習形態W.自己学習ほか 番号12 読書に該当 WF=0.5
ポイント=読書時間(hr)×WF
=30×0.5=15

年間合計=4.5+12.9+20+15=52.4ポイント

 これからの実施計画について

☆ 新教育の実施計画
  参加学習及び自己学習の全体像については前章に述べましたが、これは到達目標であり、これを目指して毎年新規講座を開設していきます。どのような講座を開設するかは、会員の要望をもとに決めていくことにします。
 平成15年度の講座開設にあたっては平成14年8月に会員にアンケートを実施しました。その結果、要望の高かったものは、資格取得に関係するもの、エネルギー、環境、新技術に関するものでした。
詳細は会誌「冷凍」の平成14年12月号に報告しています。また本学会として充実させていかなければならないものとしては食品冷凍の分野があり、これは早期に実施することで考えました。

  以上の結果平成15年に新規に開設する講習は、資格取得に係わるものとして「技術士受験ガイダンス」、中級講習として食品凍結の理論、食品素材の冷凍、加工・調理食品の冷凍などを内容とした「食品冷凍」、上級講習としては「専門技術」として冷凍空調機器の高性能化・高効率化をテーマとした講習、「周辺技術」としては新エネルギーをテーマとした講習を予定しています。

  またロングコースとしては「環境」をテーマに地球温暖化、炭素税と排出権取引き、廃棄物とリサイクル、循環型社会の経済学などを内容とした講習、
「エネルギー」をテーマに再生可能エネルギーと貯蔵技術、分散型エネルギー、廃棄物の資源化、水素エネルギー、 改正省エネ法とESCO事業などの講習を予定しています。

 インターネットを活用するE−Learningは、インターネットの家庭への普及とともに、近年ハイペースで我々の生活に入り込んできているオンライン学習の一つです.
E−Learningのメリットは、従来の郵便等を利用した通信教育と比べて経費が削減できるだけでなく、インターネットの特性を利用することにより、双方向性、同時性、即応性が高く、教育効果を高めることが期待できます。

  E−Learningは、本学会でも今後前向きに検討することにしており、システム構築および内容の検討にはさらに年月を要すると思われますが、まず通信教育の内容を順次WEB化していくことからスタートする方針です。


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