77    CO2冷凍機


  
    従来CO2冷凍機は,CO2(二酸化炭素) の三重点が約-56 ℃(0.53MPa)であることより,-55 ℃前後のカスケード冷凍装置の低元機 (高元機:NH3など)として食品加工プロセスなどに実用されている. またCO2ガスは,液化CO2を大気圧に減圧するとドライアイス (約-78 ℃)となり寒冷剤として身近に利用されている.  
  最近,環境問題からCO2ガスの特性が,オゾン層破壊系数 :0,温暖化系数:HFCの約1/1000,非燃性,無毒,腐食性がない,熱的に安定,と非常に 安全かつ無公害な自然冷媒として見直され,常温凝縮サイクルのCO2冷凍機の研究 ,実用開発が国内外で展開されている.  
    ヨーロッパでは,自動車のカークーラーを中心として, また国内ではカークーラー,電力関連での給湯機の実用化開発が進められており,産業用では ,私立大学の研究棟の氷蓄熱型空調機として実負荷運転が実施されている.  
    しかしながらCO2ガスは臨界温度が31.06 ℃ (圧力:7.38MPa)と低いために,CO2冷凍機の高圧側は超臨界運転になり, 冷却運転のみでは成績係数はNH3冷媒などに比較して低い.しかし,高圧側の 超臨界運転を利用すると比較的容易に高温(80 ℃以上)が取り出せることより,冷・ 温熱同時取り出し装置(いわゆる熱回収機)としての総合効率(冷熱,温熱,両側のエネル ギー効率の和)が高く,食品加工プロセスなどへの応用が有望視されており,21世紀型ヒート ポンプの一つとして実用化開発が進められている.