62.  地中ヒートポンプ  


  地熱は、自然エネルギー利用の一形態と位置付けされていて、 CO2の放出削除に寄与できる熱源システムである。
 従来は、火山性の熱水(100~200℃程度の高温水や蒸気)を地中から取り出して、蒸気タービンを駆動して発電に利用していた。 蒸気タービンを駆動できるような高いエンタルピーの熱水が得られるのは、都市部から離れた火山地域に限定されることが多く、 実施例は数少ない。

図1 地中温度年変化の例
出典:農業気象ハンドブック(新編農業気象ハンドブック編集委員会),養賢堂
 一方最近では、上記よりもっと低い温度レベルの地熱をヒートポンプの熱源として利用する形態が増加している。 地中温度は、土壌の種類などによって異なるが、およそ10~20m位になると年間を通じてほぼ一定温度になる(図1参照)。 このレベルの温度は冷暖房時の外気温度より高いので、大気を熱源とする従来方式より年間を通じてシステムの成績係数が 高くなり、一次エネルギーの消費量を減らすことができる。また、このような低レベルの地中エネルギーは、 火山性熱水のように場所を限定されることが少なく、都市部をはじめ広い地域で利用可能である。
 地中熱源の採熱方式は、井戸で地下水を汲み上げこれをヒートポンプの熱源として利用した後、別の井戸へ還す 方式と、地中に熱交換器を埋設して土壌と熱媒水の熱交換により採熱する方式とがある。