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アイ・ピー・ハンドリング
IP (Identity Preserved) Handling
                                


  学会誌「冷凍」99年12月号に遺伝子組換え食品の諸外国における表示を紹介したが、その中に遺伝子組換え食品(GMO)の 表示を不要とする確認について「善良なる管理者の注意義務」として「アイ・ピー・ハンドリング」の確認が必要とあ ったので、この「アイ・ピー・ハンドリング」について紹介する。これは「分別生産流通管理」といわれ、非遺伝子組 換え農産物(非GMO)が外国農場から輸入国食品製造業者までの各段階でGMOに混入しないように管理し、その管 理結果が書類で証明されることである。また、新しく大きく変わるJAS法の品質表示基準(案)でもIPHについて 「GMOまたは非GMOを生産流通および製造の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別管理されたことを明確に した管理の方法」としている。更にそれらの実施確認をスムーズにするために「バルク輸送のマニュアル」(非GMO の原料確保のため)などで、「コンテナ等の区分流通」など細かくマニュアル化させている。更にバルク輸送の食用大 豆などは実際面では意図せざるGMOの混入を5%以下を目安とした取引を認めている。もちろん、社会的検証として 農水大臣の定める基準が適用されている。
 次に例として、米国大豆の日本への輸入経路とそれらについてのアイ・ピー・ハンドリングを簡単に示す。その前に、 その取扱いに責任を持つ当事者について次のように定めている。
 
 ①「管理主体」生産から製造業者まで各段階で分別管理を行う者。
 ②「確認主体」更に分別管理が正確に実施されたか確認し、証明する者。
 ③管理主体が発行する「証明書」が基本となって、各段階ごとにその主体証明書とコピーを添付し、最終段階までの 管理状況が確認される。なお、輸入業者の証明書は「海外一括管理証明書」という形になる。
 ④また「記録等書類」について、管理主体は証明書内容を担保するものとして保存し、最低2年は保持しなければ ならない。
 
 一般的な実務の流れは各段階A~Gにおいて、①チェックポイント、②管理方法、③管理主体、④記録、⑤確認主体 で細かくマニュアル化されている。各段階では、
A:農家 (種子名No、混入防止の収穫、農器具機械の専用化または併用の場合のクリーニング状況)
B:カントリーエレベータ ①集荷保存輸送の証明書発行
C:リバーエレベータ ①の証明コピー、②保管輸送等の証明書発行
D:エクスポートエレベータ ①②の証明コピー、③保管輸送等の証明書発行    輸入業者(日本の港)は④海外管理証明書を発行
E:港湾サイロ ④の証明書コピー、⑤保管輸送証明書発行
F:卸売業者 ④⑤の証明書コピー、⑥保管選別等証明書発行
G:加工業者 ④⑤の証明書コピー、⑦保管加工業の証明書発行
H:食品製造業者 F、Gよりそれぞれの証明書を得る。
 GMOの有用性、安全性は今後とも議論が活発になるが、同時にGMO、非GMOの取捨選択も政治上、経済上の 思惑がからみ、難しい局面が予想されるが、ますます「食品表示」の重要性が高まることは間違いない。

  
 

  輸入業者が
発行する証明書の事例

年 月 日

××殿

○○会社

証 明 書

(1)品名
(2)生産地
(3)収穫年度
(4)数量
(5)海外搬出港
(6)国内搬入港
(7)本船名及びハッチ番号
(8)輸入年月日
 
 上記農作物は非遺伝子組換え品種を集荷し、他の農産物と混入しないよう保管・輸送されているものである事を証明します。
 
(注意事項)
弊社は上記農産物を厳密な管理の下、最善を尽くして分別管理しておりますが、分別生産流通管理の性質上意図せざる 混入が避けられないため、100%非遺伝子組換えであることを保証するものではありません。
グリッツ・スターチメーカが
発行する証明書の事例
年 月 日

××殿

○○会社

証 明 書

(1)品名
(2)ロット番号
(3)数量
 
 上記製品は別紙証明書(コピー添付)による原料を他の農産物と混入しないよう当社で選別、製造、(袋詰め)輸送 したものであることを証明します。
国内卸売業者が
発行する証明書の事例
年月日

××殿

○○会社

証 明 書

(1)品名
(2)生産地
(3)収穫年度
(4)数量
 
 上記貨物は別紙証明書(コピー添付)による原料を他の農産物と混入しないよう当社で選別、袋詰め、保管 したものでることを証明します。
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