最近気になる用語 52
 
全熱交換器
                                


  一般的には空気対空気熱交換器であり、温度と湿度を同時に交換するものを全熱交換器と呼んでいる。 これに対し、温度のみ交換するものを顕熱交換器と呼んでいる。
 我が国では、昭和42年頃より導入され始め、最近では省エネルギー機器として家庭からオフィスビルや工場に 至るまで幅ひろい建築物に普及している。また特に最近では、住宅の高気密・高断熱化により換気の必要性が高まり 全熱交換器を組みこんだ換気扇が普及している。方式としては、回転形(図1)と静止形(図2)とがある。

(1)回転形の動作
 図1のように上記の素材をハニカム状のロータに成形し、このロータを回転させる。ロータの上半分に外気を通過させ、 下半分に室内空気を通過させる。冬の暖房時などでは高温高湿の室内空気が通る下半分のロータ部分ではロータの素材 が加熱されるとともに水分が吸湿され、ロータの回転とともに上半分に行き低温低湿の外気と接することになるため、 外気は素材から熱と水分を受けとり温度と湿度が上昇し室内に供給される。そして素材は再び下半分に戻り、室内から 排出される高温・多湿の空気と接し素材が加熱され水分が吸湿される。
(2)静止形
 図2のように、上記の素材を交互方向に方向を変えて積層し、1段ごとに排気―外気―排気の順に通過させることに より、仕切り板を通して温度、湿度が移転する。
 特徴として、仕切り板で排気と外気が仕切られているため汚染物質の排気から吸気(外気)へ移動が極めて少ない ことが挙げられる。
 最近では、内部負荷の増加などにより冬期や中間期にも冷房を必要とするオフィスなどが多くこのような時期では、 低温の外気による冷房効果を得るため全熱交換器をバイパスするバイパス風路を設ける必要がある。

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