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ダイナミックアイス 
 
学会誌「冷凍」に掲載された記事を集めました。
当時の記事をそのまま掲載していますので古い内容や、当会の専門分野とは無関係な内容もあります。
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  昨今の景気低迷に関わらず、電力の夏のピーク値は冷房需要の伸びから増加傾向にある。電力負荷平準化を行うため、 昼間の電力需要ピークを夜間に移行する蓄熱式空調システムが採用されるようになってきている。蓄熱式には水の顕熱 のみを利用する水蓄熱と水の顕熱と80kcal/kgの氷の潜熱を利用する氷蓄熱がある。蓄熱槽を小型化できることから 氷蓄熱式が最近、注目を浴びている。
 氷蓄熱の製氷方式としては、氷蓄熱槽内で伝熱コイル内側にブラインまたは冷媒を流しコイル外側で氷を生成する、 アイスオンコイル型が一般的な方式である。このアイスオンコイル型と、カプセル内で蓄熱剤を凍結させるカプセル型 を合わせてスタティック型と呼ばれる。これらの方式では、製氷が進行し、氷厚が増加すると、熱伝導抵抗が大きくなる ため結果的に冷凍機の蒸発温度が下がり、冷凍能力や効率が低下する。これを防ぐために、流動性のある微細な氷 (ダイナミックアイス)を生成する製氷方式がダイナミック型である。
 ダイナミック型製氷方式としては、過冷却方式は清水を熱交換器で-2~-3℃程度の過冷却水とし、これを大気中で 衝突させるなどして過冷却状態を解除させ、氷水を生成させる方式である。また、掻き取り方式は、冷却伝熱面に生成した氷を 掻きとって氷水を生成する方式である。ダイナミック型氷蓄熱システムは、製氷装置と氷蓄熱槽などの機器の配置に 自由度があり、熱負荷応答性に優れているという特長がある。また、生成された氷水を氷蓄熱槽より直接、二次側に搬送 することも可能となる。氷水による潜熱輸送のため、単位熱量当たりの搬送流量を小さくすることができ、配管径の 縮小、搬送ポンプ動力の低減が可能となる。特にブラインなどで生成された氷水では、清水でつくった氷水と比較して 搬送性に優れているため、高密度な搬送ができる。
 ダイナミックアイスによる氷水搬送システムは、すでに空調用途やプロセス冷却用として実施例があるが、 今後、地域熱供給施設などに期待されるシステムの1つになっている。

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