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感染症新法
「感染症の予防及び感染症の
患者に対する医療に関する法律」
(法律第141号 平成10年10月2日公布)
                             


  我が国における新興・再興感染症への対応としては、現行の伝染病予防法・性病予防法・エイズ予防法が表題の新法 として公布されたので、その定義・類型、及び対象疾患の比較を示し、順次4分類感染症例それぞれについて概要を 紹介する。
資料「標記法律」の速報(厚生省)

(1)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の対象となる感染症の定義・類型
   感染症名等  性  格  主な対応・措置 
感染症類型 [一類感染症]
・エボラ出血熱
・クリミア・コンゴ出血熱
・ペスト
・マールブルグ病
・ラッサ熱
感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が極めて高い感染症 ・原則入院
・消毒等の対物措置
(例外的に、建物への措置、通行制限等の措置も適用対象とする。)
[二類感染症]
・急性灰白髄炎
・コレラ
・細菌性赤痢
・ジフテリア
・腸チフス
・パラチフス
感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が高い感染症 ・状況に応じて入院
・消毒等の対物措置
[三類感染症]
・腸管出血性大腸菌感染症
 感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が高くないが、 特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症 ・特定職種への就業制限
・消毒等の対物措置
[四類感染症]
・インフルエンザ
・ウイルス性肝炎
・黄熱
・Q熱
・狂犬病
・クリプトスポリジウム症
・後天性免疫不全症候群
・性器クラミジア感染症
・梅毒
・麻疹
・マラリア
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
・その他の感染症
 国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくこと によって、発生・拡大を防止すべき感染症 ・感染症発生状況の収集、分析とその結果の公開、提供
指定感染症  政令で1年間に限定して指定された感染症 既知の感染症の中で上記一~三類に分類されない感染症において一~三に準じた対応の必要が生じた感染症(政令で指定、一年限定) 厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いた上で、一~三類感染症に準じた入院対応や消毒等の対物措置を実施。
(適応する規定は政令で規定する)
新感染症 [当初]
都道府県知事が厚生大臣の技術的指導・助言を得て個別に応急対応する感染症
 
 


[要件指定後]
 政令で症状等の要件指定をした後に一類感染症と同様の扱いをする感染症
人から人に伝染すると認められる疾病であって、既知の感染症と症状等が明らかに異なり、その伝染力及び罹患した場合の 重篤度から判断した危険性が極めて高い感染症 厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いた上で都道府県知事に対し対応について個別に技術的指導・助言を行う。
 

 一類感染症に準じた対応を行う。

 
(2)現行法と新法の対象疾患の比較
 現 行 法









ペスト
痘そう
腸チフス
パラチフス
ジフテリア
コレラ
赤痢
発疹チフス
しょう紅熱
流行性脳脊髄膜炎
日本脳炎
 




ラッサ熱
腸管出血性大腸菌感染症
急性灰白髄炎(ポリオ)





急性灰白髄炎(ポリオ)
インフルエンザ
狂犬病
麻疹
マラリア
黄熱
百日せき
破傷風
つつがむし病
伝染性下痢症
回帰熱
炭疸
フィラリア症
性病予防法 梅毒
りん病
軟性下かん
そけいリンパ肉芽腫
エイズ予防法後天性免疫不全症候群
――→  
 新 法 
ペスト
エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
マールブルグ病
ラッサ熱




腸チフス
パラチフス
ジフテリア
コレラ
細菌性赤痢
急性灰白髄炎(ポリオ)




腸管出血性大腸菌感染症



インフルエンザ
狂犬病
麻疹
マラリア
黄熱
梅毒
後天性免疫不全症候群
性器クラミジア感染症
ウイルス性肝炎
クリプトポリジウム症
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
Q熱
 
 
その他の感染症
(省令で規定)
 
 
 
 





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